家族が介護する場合でも、施設職員やホームヘルパーが介護をする場合でも、介護事故が起こる可能性はゼロではありません。
今回は介護事故について、特に起こりやすい事故の内容を紹介するとともに、介護にかかわる当事者が知っておくべき事故の背景についても解説していきます。
介護事故は、どのようなトラブルが多いの?
介護事故として起こりやすいものには、転倒や転落・入浴時の事故・誤嚥または誤飲・食中毒や感染症・人為的なミスの5パターンが挙げられます。
それぞれ、以下に具体例を交えながら見ていきましょう。
- 転倒や転落の介護事故
- 介護事故のなかでも特に多い、歩行中の転倒や、ベッドから落ちることによるものです。
- 入浴時の介護事故
- 入浴には、介護事故の原因となるリスクが多数潜んでいます。
事故の具体例としては濡れた床で滑る、または移動に伴う体重移動がうまくいかないことによる転倒や、お湯の温度が高すぎることによる火傷、ヒートショックが挙げられます。
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誤嚥または誤飲の介護事故
飲み込む力が衰えている高齢者には、飲食物を気管に詰まらせてしまう誤嚥や、誤って物を飲み込んでしまう誤飲による介護事故も起こり得ます。
食中毒や感染症による介護事故
免疫力が低下している高齢者は、入居する施設の衛生管理が不十分だと、集団で食中毒や感染症を起こすことがあります。このようなケースも、介護事故としてカウントされます。
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人為的ミスによる介護事故
身体介助中に起きたケガも、介護事故として扱われます。
例えば、高齢者の体を支えるために体を掴んでケガをさせた、ベッドから車いすへの移乗中に指をはさみ骨折させた、などのケースが人為的ミスによる介護事故となります。
介護事故防ぐために、知っておくべき事故の背景とは?
介護事故が起こる要因は、大きく介護する側・介護される側・環境によるものの3つに分類できます。
介護事故の要因1:介護する側の問題
まずは介護を提供する施設職員や家族、地域の人などに潜む要因。
高齢者と接する側の人間にも、日々体調や精神状態の変化はありますよね。
心身の調子が悪い、または疲労から集中力が低下していると、介護事故を起こす可能性が高くなります。
介護事故の要因2:介護される側の問題
次に、介護される高齢者側に潜む要因。
高齢者の状態は、その日の心身の調子や過去に培ってきた人生観・価値観、そして日常生活動作によってつくられています。
介護する側が本人の心身の不調に気づけない、または、本人の価値観や意思を無視した介護ケアを行うと、介護事故が起こる可能性が高くなるでしょう。
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介護事故の要因3:介護が行われる環境の問題
最後に、介護が行われる施設や自宅など、環境に潜む要因。
例えば段差があることによる転倒や、うまく扱えない車いすやベッドを使っていたことによるケガなどが、環境要因による介護事故に当たります。
環境要因は、介護者が気を付けていれば改善が可能ですが、高齢者の状況が変わればまた生じる可能性があります。
ここまでに挙げた介護事故の要因3つは、いずれもその時々によって変化し、常に介護現場に潜み続けているリスクです。
介護事故を予防するには、以下の視点を常に持つことが大切だと、心得ておきましょう。
介護事故予防のために大切な視点
- 介護する側が、自身の心身の状態を見極め管理する
- 心身の調子を整え、介護に適した状態で介護にのぞみましょう。どうしても調子が悪いとき、疲れたときは無理せず休むことで、介護事故を予防できます。
- 介護される側の観察と理解を怠らない
- 高齢者が歩んできた人生や、彼らが持つ背景・価値観は千差万別です。彼らを日々観察し、理解を深めようとする姿勢が、介護事故予防につながります。
- 介護する環境や、福祉用具は定期的にチェックを
- 高齢者に介護ケアを提供する空間、また使用する福祉用具の高齢者の状態とのマッチング度や不具合の有無は、定期的にチェックしましょう。
おわりに:介護事故は介護者・高齢者・環境の3つの要因から起こる
転倒によるケガや骨折、体調の悪化、食中毒や感染症などの介護事故は、自宅であれ施設であれ、介護現場で起こり得るものです。ときに高齢者を死に至らしめる介護事故の背景には、介護を提供する人、介護をされる高齢者、介護ケアを実施する場所の環境の3つの要因が絡み合っているとされます。しかし介護ケアは、介護者が自身と高齢者、介護環境を観察・管理することで予防できます。本記事を参考に介護事故予防に努めましょう。
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