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介護うつで休職したい人は「介護休業給付」の活用を!

老後の不安・悩み

超高齢化社会と呼ばれる日本では、介護や看護を理由に離職した人の数が年間10万人にものぼります。しかし、離職する前に頭に入れておきたいのが、「介護休業給付を活用して休職する」という選択肢です。受給条件やどれくらいの給付が得られるのかについて、お話していきます。

介護うつで休職する際に使える「介護休業給付」制度とは?

高齢化が進む日本では、「高齢の親が認知症になった」等の理由で家族を介護している人の数が627万6千人にものぼります。このうち、約346万人は仕事をしながら介護をしており、そのために離職せざるを得なかった人は、年間9万9千人もいるのが実情です(「平成29年(2017年)就業構造基本調査」)。

長期間にわたる介護は肉体的・精神的負担が大きいため、仕事との両立が難しいことから心身の限界を感じ、退職してしまう人は少なくありません。

しかし退職すると収入が減るために、民間の介護サービスにお金を費やせない状況に陥り、介護者の負担はますます増えてしまいます。中には、「介護破産」に追い込まれるケースもあります。

こうした介護離職に伴う負のスパイラルを防ぐためにある制度が、「介護休業給付」です。
介護休業給付とは、加齢や病気などによって介護が必要な親や配偶者、子供等がいる人が利用できる介護休業制度の一つです。通算93日分まで休業が可能で、その間は給与の2/3程度の支給を受けることができます。

「介護休業給付」を受けられる人の条件は?

介護休業給付は、全ての人が受けられるものではありません。受給するには、下記の条件の全てを満たす必要があります。

給付金を受ける本人が労働者であり、雇用保険に加入している
正社員(無期雇用労働者)は受給可能ですが、契約社員やパート等の有期雇用労働者は、受給できる場合とできない場合があります(※詳しくは後述の「パートや契約社員は「介護休業給付」を受けられないの?」をご覧ください)。
介護休業開始日前の2年間、「被保険者期間が12ヶ月以上」ある
「給与の支払い日数が11日以上の月」が、12ヶ月以上あることが条件です。なお12ヶ月に満たなくても、被保険者期間中に本人に疾病などがある場合は、受給要件を満たすケースもあります。
家族の病気やケガ、精神上の障害等で、2週間以上「常時介護」をする必要がある
「常時介護」とは、歩行や排泄、食事等の日常生活の介護が必要な状態を指します。また、対象家族は、被保険者の「配偶者(事実婚を含む)」「父母(養父母を含む)」「子(養子を含む)」「配偶者の父母(養父母を含む)」「祖父母」「兄弟姉妹」「孫」に限ります。
介護休業期間中に賃金が支払われていない
介護休業期間中に、会社から賃金の80%以上が支払われている場合は、給付対象外です。なお、80%に満たない場合でも、収入額によっては給付金が減額されることもあります。

上記は、厚生労働省「Q&A〜介護休業給付〜」を元に作成したものです。詳しい条件については、この厚労省のページを必ずご確認ください。

パートや契約社員は「介護休業給付」を受けられないの?

雇用形態がパートや契約社員など、契約期間が決まっている人が給付を受けるには、追加で以下の条件も満たす必要があります(厚生労働省「Q&A〜介護休業給付〜」)。

介護休業の開始時に、同じ会社で1年以上雇用が続いている
介護休業の開始予定日から93日経過した日〜6ヶ月後まで、労働契約が続く
この期間に労働契約が満了することが明らかな場合は、給付を受けることができません。

「介護休業給付」の支給期間や回数に制限はある?

介護休業給付が受けられる期間は、「介護休業の開始日から最長3ヶ月間(対象家族ひとりにつき、通算93日が限度)」です。

3ヶ月間を一度に使い切ることもできますが、「3回まで支給回数を分けることも可能(対象家族ひとりにつき)」なので、93日分の休業を3分割して休業給付を受けるのも選択肢の一つです(ハローワーク「介護休業給付の内容及び支給申請手続について」)。

休業給付を3回に分けるメリット

93日分の給付を3回に分けると、最初の1ヶ月は介護手続きの対応、次の1ヶ月は在宅介護から介護施設に移行するときの対応、最後の1ヶ月は看取りや終末期の付き添い等、介護の状況に合わせて活用することができます。

一度に3ヶ月分使い切ってしまうと、介護段階が変わった際に休業給付が受け取れず、生活に負担がかかってしまう可能性もあるので、「分割する」という手も頭に入れておくといいでしょう。

「介護休業給付」で、いくら支給されるの?

介護休業給付の支給額は、原則「休業開始時賃金日額(※1)×支給日数(※2)×67%」です。
(ただし、2016年8月1日より前に介護休業を開始した人は、給付率が「40%」に下がります。)

収入別の、支給額のおおよその目安は以下の通りです(厚生労働省「Q&A〜介護休業給付〜」)。

平均して月額15万円程度の人
支給額:月額約10万円
平均して月額20万円程度の人
支給額:月額約13〜14万円
平均して月額30万円程度の人
支給額:月額約20〜21万円

(※1:原則は、介護休業開始前6ヶ月間の総支給額(保険料等が控除される前の額。賞与は除く)を180で割った額)
(※2:介護休業給付金は、介護休業開始日から1ヶ月ごとの期間を「1支給単位期間」として区切って換算するため、支給日数は「原則30日」です。支給単位期間ごとに支給額を計算し、合計額を1回で給付することになります。)

詳しくは、ハローワークの「介護休業給付の内容及び支給申請手続について」も必ずご確認ください。

「介護休業給付」の申請方法は?

申請先は、在職中の会社や事業所を管轄するハローワークになります。
申請の手続きは原則、事業主を経由して行う必要がありますが、被保険者本人が希望する場合は本人が手続きすることも可能です。

申請時に必要な書類

「受給資格確認に必要な書類」と「支給申請に必要な書類」を持参し、ハローワークの窓口で申請を行ってください。

受給資格確認に必要な書類
①雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書、②賃金台帳、出勤簿又はタイムカード(賃金の額及び賃金の支払い状況を証明することができる書類)
支給申請に必要な書類
①介護休業給付金支給申請書、②被保険者が事業主に提出した介護休業申出書、③住民票記載事項証明書等(介護対象家族の氏名、申請者本人との続柄、性別、生年月日等が確認できる書類)、④出勤簿、タイムカード等(介護休業の開始日・終了日、介護休業期間中の休業日数の実績が確認できる書類)、⑤賃金台帳等(①に記載した支給対象期間中に支払われた賃金の額、及び賃金の支払い状況、休業日数及び就労日数を確認できる書類)

おわりに:仕事と介護の両立で疲れた人こそ、制度の活用を

雇用保険に加入して働きながら介護をしている人なら、知っておきたいのが「介護休業給付」。介護に疲れ切ってしまい、この制度について知る機会がないまま離職してしまう人もいるのは、とても勿体無いことです。介護うつ気味になってしまったり、仕事との両立で悩んだりしている人は、是非活用しましょう。

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