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介護うつで仕事をやめたとき、「失業保険」は貰えるの?

老後の不安・悩み

介護と仕事の両立が難しく、介護うつや介護疲れを理由に仕事をやめた時、気になるのが「失業保険」が貰えるかどうかです。介護による離職をした人や、離職を検討している人は、「失業保険」の給付条件のポイントを知っておきましょう。

介護離職で「失業保険」は貰える?

超高齢化社会の日本では、年間およそ10万人もの労働者が、高齢の親の介護や看護を理由に離職しています(「平成29年(2017年)就業構造基本調査」)。介護離職をした人は収入がなくなってしまうため、「失業保険」が貰えるかどうかが気になるところでしょう。

まず、正確に言うと「失業保険」という保険は存在しません。正式には、「雇用保険で貰える失業給付」のことを指します。つまりお金は雇用保険から給付されるので、雇用保険に一定期間以上加入していない人は貰うことができません。

原則として、「離職をする日以前の2年間のうち、通算12ヶ月以上雇用保険に加入していること」が給付条件になります。ただし、介護や介護うつを理由にした場合は「特定理由離職者」に認定されるため、「離職する日以前の1年間のうち、通算6ヶ月以上雇用保険に加入」していれば、給付対象になります。

介護離職は「完全な自己都合による退職」ではない

離職の理由が倒産等の「会社都合」ではなく「自己都合」であり、「雇用保険に通算12ヶ月加入していない」場合は、原則として失業給付を貰うことはできません。しかし「自己都合」にも、「完全な自己都合」と「正当な自己都合」の2種類が存在し、前者は「一般離職者」、後者は「特定理由離職者」に分けられます。

一般離職者
完全な自己都合(「他の会社に転職したい」等の理由)による退職
特定理由離職者
父や母の扶養介護が必要になった等の家庭事情、心身の障害によって仕事の継続が困難になった、会社の人員整理によって希望退職の募集に応じた等、正当な理由による退職

介護や介護うつは「正当な理由による退職」なので、「特定理由離職者」として、失業給付に必要な雇用保険の加入期間条件が緩和されます。

パートやアルバイト、自営業でも、介護離職による失業保険は貰える?

パートやアルバイトでも、週の所定労働時間が20時間以上あり、31日以上雇われる見込みがある場合は雇用保険への加入義務があるので、加入期間を満たしていれば失業給付を受けることはできるでしょう。

しかし、自営業やフリーランスの人は雇用保険に加入していないため、介護離職をしても失業手当は給付されません。

介護うつですぐ働けなくても、失業保険は貰える?

原則として失業給付は、「就職しようとする積極的な意思と能力があり、仕事を探している人」が貰えるお金です。給付を受けるには、ハローワークに求職の申し込みをしておく必要があります。

つまり介護離職の後に再び就職する意思がある人なら失業給付を受けられますが、介護や介護うつですぐに再就職が難しい人は受給できません。
ただし、失業給付の受給期間の延長手続きをすれば、介護や介護うつの症状が落ち着いて就職可能になってから、失業給付を貰うことができます。

失業保険の受給期間と注意点

雇用保険の受給期間は、原則「離職した日の翌日から1年間」です。これを過ぎると受給資格はなくなります。

しかし両親や配偶者の介護、及び介護うつで離職から30日以上働けなかった人の場合は、働けなかった日数だけ受給期間を延長することができます。延長期間は最大3年間までで、その期間までに心身や環境を整え、再就職可能な状態になっていれば、そこで失業給付が貰えます。

延長手続きについては、離職から30日以上継続して職業に就くことができなくなった日の翌日以降、早期に行うのが原則です。延長後の受給期間の最後の日までの間であれば申請可能ですが、申請が遅い場合は、延長手続きをしても基本手当の所定給付日数の全てを受給できない可能性があります。なるべく早く手続きは行いましょう(ハローワーク「失業された方からのご質問」)。

介護離職による失業保険、いくら貰える?

1日に貰える金額(基本手当日額)の計算式は、原則として「離職直前の6ヶ月間の給与÷180日×(45~80%)」です。最後の%部分に、年齢などの条件が加味されます。

基本手当日額の下限額は「1,984円」で統一されていますが、上限額は以下のようになります(「休職中に活用できる社会保障制度を理解 しよう」を元に作成。平成30年8月1日時点の情報になります)。

離職時の年齢基本手当日額の上限額
30歳未満または65歳以上6,750円
30歳以上~45歳未満7,495円
45歳以上~60歳未満8,250円
60歳以上~65歳未満7,083円

介護離職による失業保険はいつから貰える?

介護や介護うつによる離職は、基本的には正当な理由として認められるため、受給資格が決定してからの7日間の待機期間の後、失業給付を受け取ることができます。
なお、完全な自己都合による離職の場合は、7日間の待機期間+3ヶ月経過後になります。

介護離職による失業保険はどこで申請すればいい?

失業給付を貰うには、

  1. 離職後に住所地を管轄するハローワークに申請
  2. ハローワークで雇用保険受給説明会を受ける
  3. ハローワークで求職活動をする
  4. ハローワークで失業認定を受ける

という4つのステップが必要になります。また翌月も継続して受給したい場合は、月に1回失業認定日にハローワークに行く必要があります。

申請の際は、以下の書類や持ち物が必要です(厚生労働省 こころの耳「第10回 メンタル不調で休職中の社員が退職する場合雇用保険はもらえるの?」)。

  • 離職票
  • 延長理由を確認できる書類
  • 給期間延長申請書
  • 印鑑

おわりに:介護うつによる離職でも、条件を満たせば失業保険は貰える

介護や介護うつを理由にした離職を「完全な自己都合」と思ってしまう人も少なくありませんが、基本的には「正当な理由のある離職」と認められるため、雇用保険に一定期間以上加入している人であれば、失業保険は貰えます。延長手続きなど細かい注意点が必要なので、詳しくは住所地を管轄するハローワークに一度お尋ねください。

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