噛む力・飲み込む力が衰えてくると、介護食が必要になってきます。市販もされていますが、「家族のためにできるだけ手作りしたい」という方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、基本的な介護食の作り方と食べやすくするための調理のコツを、介護食を作るときに役立つ調理器具の情報と一緒に紹介していきます。
介護食を作るときに必要な作業は?
噛む力・飲み込む力が衰えた高齢者向け介護食をつくるときに必要な作業は、食べ物を刻む・つぶす・ミキサーにかける・とろみをつけるの4つです。
以下に、それぞれ詳しく見ていきましょう。
食べ物を刻む
通常よりも、2~3㎜を目安に料理の具材を細かく刻む作業です。
食べ物を刻むことで、食べ物の食感はのこしつつ、噛みやすく飲み込みやすい介護食を作れます。
食べ物をつぶす
煮込んでやわらかくした具材を、スプーンなどでつぶす作業です。
この作業により、飲み込む力はあるものの、噛む力が低下している高齢者でも食べやすい介護食を作ることができます。
ミキサーにかける
調理した食材をミキサーにかけ、トロトロのポタージュ状にする作業です。
この作業により噛む力・飲み込む力の両方が低下した高齢者でも、食べやすい介護食を作ることができます。
とろみをつける
刻む・つぶす・ミキサーにかけたる処理をした具材に、さらにでんぷんなどからできた「とろみ剤」でとろみをつける作業です。
ポタージュ状の介護食や、水分でも咽て咳き込むほど飲み込む力が低下した高齢者でも、とろみ食なら食べられる場合があります。
介護食を作るときおすすめの調理器具って?
前項で見た通り、介護食作りには食事を細かく、食べやすくする工程が不可欠です。
このため以下のような調理器具があると、調理時間の短縮や労力の削減に役立ちます。
- 食べ物を食べやすく、やわらかく調理するのに適した調理器具
- 蒸し器、圧力鍋
- 食べ物を細かく、食べやすくするのに役立つ調理器具
- おろし器、すり鉢、裏ごし器、マッシャー、フードプロセッサー、ミキサー、ミルサー
- 食べ物を楽しく食べてもらうのに、役立つ調理器具
- クッキーなどに使われる、食材を成型する型
より食べやすく調理するためのポイントは?
以下に食材ごとに、より食べやすい介護食を作るためのポイントを解説していきます。
高齢者がおいしく、栄養バランスの良い食事を楽しめるよう、参考にしてくださいね。
野菜類
- 大きさや硬さのあるものは、隠し包丁を入れてやわらかく食べやすいようにする
- 刻むときは、食べ物の硬さによって大きさを調節し、繊維を断つように切る
- 栄養が逃げるのを防ぐため、葉野菜は下茹でしたから切る
- 特に噛む力の低下が見られるときは、葉野菜の葉の部分を優先的に使用する
- 豆類やイモ類をつぶすときは、やわらかくつぶすのが簡単な熱いうちに作業する
果物類
- 硬くて食べにくい果物は、すりおろしてペースト状にするか、果汁を飲ませる
肉類・卵・魚類
- 肉類
- 筋を切って叩く、細く削ぎ切りにするなどして、噛みやすくする
- 噛む必要のないひき肉を使用すると、調理が簡単になる
- 飲み込む能力が落ち、ひき肉で咽てしまうようなら、調理後に卵やじゃがいもと一緒にハンドミキサーにかけてペースト状にし、形を整えると良い
- 卵
- やわらかいだし巻きやスクランブルエッグにして、飲み込みやすくする
- 茶碗蒸しや卵豆腐なら、噛む力・飲み込む力がかなり落ちても食べられる
- 魚類
- ぱさぱさした焼き魚は飲み込みにくいので、煮魚にしてとろみをつけると良い
- 焼き魚ははんぺんと一緒に練り、かたちを整えて出すと食べやすい
高野豆腐やこんにゃく
- 弾力のあるものは食べにくいので、硬めの豆腐やこんにゃくは避ける
- 高野豆腐はやわらかく作られたものか、粉状のものなら食べやすい
海藻類
- わかめや板状の海苔はのどに貼りついて食べにくく、介護食には適さない
- 青のりのように細かく刻むと、食べやすくなる
揚げ物の衣やナッツ類
- 食感が硬く、細かくなりやすいものはのどにのこり咽てしまいやすい
- ナッツやごまはペースト状のものを、揚げ物の衣はソースやつゆでやわらかくする
おわりに:介護職はやわらかく・飲み込みやすく作るのが基本!
介護食は、年齢を重ね噛む力・飲み込む力が弱った高齢者でも食べられるよう工夫された食事の事です。このため、介護食はとにかく「やわらかさ」「飲み込みやすさ」を重視して作らなければなりません。本記事を参考に圧力鍋やすり鉢、マッシャー、ミキサーなど便利な調理器具を使って、高齢者ができるだけ楽しくおいしく食事を摂れるよう、介護食を作ってあげてくださいね。
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