本メディアではアフィリエイト広告を利用していますが、コンテンツ制作は老後リサーチ編集部が独自で行っています。メーカー等はコンテンツの内容や商品のランキング・評価等の決定に一切関与していません。

高齢者が筋トレすると、どんな良いことがあるの?

介護

年齢を重ねていくにつれて、体力や筋力、内蔵の機能など、体のさまざまな機能が衰えてくるのを感じる人も多いでしょう。これらの変化はある程度仕方がないことですが、日常生活に必要な程度の筋力は、トレーニングによって十分維持できます。

そこで、高齢者が筋力トレーニングを行うメリットや注意点、すぐにできる簡単なトレーニングについてまとめました。ぜひ、できることから行っていきましょう。

高齢者が筋トレすることのメリットは?

年齢とともに筋力も衰えている高齢者では、筋力トレーニングは非常に重要です。筋力トレーニングでは、トレーニングというとおり筋力を増強したり、骨格筋量を増やしたりすることができます。筋力を増強して体を支える「抗重力筋」を強くすれば、姿勢を保ったり、転倒を予防したり、移動しやすくなったりするため、生活の質もアップします

抗重力筋とは、地球の重力に逆らって体の姿勢を保つために働く筋肉のことで、背中・お腹・お尻・太もも・ふくらはぎなどの筋肉を指します。これらの筋肉が前後に伸び縮みすることで、地球の重力にも負けず、バランスの良い姿勢を保てるのです。さらに、骨格筋が太くなって筋肉量そのものが増えれば、体を動かすためのエネルギー量が増えて基礎代謝がアップし、血流も良くなると期待できます。

筋力や筋肉量が増えると、他にも以下のような副次的な効果が期待できます。

体脂肪が減る
  • 筋力トレーニングに有酸素運動を組み合わせれば、体脂肪が燃焼しやすい体の状態にできる
  • ゆっくりと動作するスロートレーニングや、速筋繊維を鍛えられるダンベル・マシーンを使った筋力トレーニングがおすすめ
生活習慣病の予防・改善
  • 筋力トレーニングでインスリン抵抗性・糖代謝の改善が期待できる
  • 筋肉に適切な負荷をかけることで血圧や血管に良い影響が期待できる
  • 食事と持久性トレーニングを組み合わせれば、メタボリックシンドロームの改善が期待できる
  • 以上から、糖尿病を始めとした生活習慣病への予防・改善効果が期待できる
サルコペニア・フレイル・ロコモティブシンドロームなどの予防・改善
  • 加齢に伴って筋肉が衰えるサルコペニアや、加齢による虚弱で要介護となるフレイルなどの予防や改善
  • 運動器の疾患によって日常生活に支障が生じるロコモティブシンドロームの予防や改善
  • 筋力トレーニングによって、これらの状態も予防・改善できると期待される
生活能力の向上
  • 日常生活に必要な、姿勢を保ったり移動したりする筋力がつく
嚥下機能の維持・改善
  • 食べ物や飲み物を飲み込む「嚥下機能」に関わる筋力が低下すると食事量が減り、栄養状態も悪くなる
  • 筋力トレーニングでこれらの筋力を鍛えれば、誤嚥(誤嚥性肺炎)などのリスクも軽減できる
腰痛や膝痛の改善
  • 筋力や筋肉量が増えれば、関節への負担が減り、腰痛や膝痛が軽減される

このように、筋力トレーニングにはさまざまなメリットがあります。とくに、何もしなければ高齢になるにつれ筋力が衰えていくことは避けようがありません。そこで、筋力トレーニングによって筋力低下を防ぎ、日常生活に必要な筋力や筋肉量を維持したり、取り戻したりすることは、これまでと同じように元気な生活を続けていくためにも、既に衰え始めた人が生活の質を取り戻すためにも重要なことなのです。

関連記事:認知症の予防に役立つ運動って?運動するときの注意点は?

高齢者が筋トレするときの注意点は?

一方で「筋力低下が避けられないのなら、高齢者では筋肉はつかないのでは」と考える人も少なくないでしょう。しかし、高齢者でも適切な負荷の筋力トレーニングを続けていれば、筋力トレーニングの効果が得られると言われています。一般的には、筋トレで高い効果を得るためには強い負荷をかけるのが良いとされますが、高齢者の場合はいきなり強い負荷をかけることはおすすめできません。

それは、高齢者は若年者と比べて筋組織が傷つきやすく、強すぎる負荷は筋肉の断裂や関節の痛みなどの怪我や病気を招きやすいためです。高齢者が筋力トレーニングを行うときは、個人に合った強さの負荷で無理のないトレーニングを行いましょう。具体的には、以下のような注意点を意識して行うと、無理をせずに済みます。

呼吸を止めない
  • 筋トレのとき、息を止めて下腹部に力を入れる「怒責」が起こりがち
  • 怒責で筋力は発揮しやすくなるが、血圧が一気に上がってしまう
  • 中高年者に限らず、筋トレの際には呼吸を続けると体に負担がかかりにくい
無理をしない
  • 筋トレの中でもダンベルやバーベルなどを使う「フリーウェイトトレーニング」では、自分の体力や筋力に合った負荷で行う
  • 筋力測定や1RMテストなどを行うのが理想だが、環境がなければ軽いものから少しずつ負荷を上げていく
  • 決していきなり重い負荷をかけず、正しいフォームで行うのが怪我をしないために重要
超回復のため、時間をあける
  • 筋トレでは筋線維が損傷し、その部分が回復することでだんだんと強く太くなっていく「超回復」が重要
  • 同じ筋肉を鍛える場合は、48時間〜72時間の間をあけて超回復の時間をとる
  • 回復させないまま筋トレを繰り返すとオーバートレーニングとなり、逆に筋力低下を招く

どのくらいの強度がちょうど良い負荷なのかわからないという人は、上記のように徐々に負荷の大きさを変えていくほか、まず自分の体重を負荷とする「自重トレーニング」から行うのがおすすめです。高齢者の場合は、この自重トレーニングでもスロートレーニングによって、大きな効果が期待できるとされています。

とくに、高齢者は加齢によって抗重力筋の筋力が低下したり、筋肉量が減少したりしていることから、体幹筋・膝伸筋群・臀筋群などのレジスタンス運動を続けることで、筋肉を強く大きく育てることが非常に重要です。部位別の筋トレに加え、日常的にウォーキングを行ったり、活動的な生活を送ったりすることで、鍛えた筋肉を使い続け、維持する工夫もしていきましょう。

関連記事:高齢者の高血圧のリスクを防ぐための対策とは?

転倒予防にはどんな筋トレがおすすめ?

転倒予防のためには、主に下半身にある筋肉を鍛える必要があります。とくに、お尻にある「大殿筋」「中殿筋」に加え、ふくらはぎの奥にある「ヒラメ筋」が転倒防止に重要な役割を持っています。それぞれの筋肉の役割は、具体的に以下のようになっています。

大殿筋
  • 全身の筋肉で2番目に大きく、立ち上がったりきちんと座ったりするのに欠かせない
  • 首から下のすべての筋肉を支える「大黒柱」とも言える重要な筋肉
中殿筋
  • 大殿筋のさらに奥にあり、体のバランスを保っている
  • 下半身のバランス感覚を保つ鍵を握っている筋肉でもある
ヒラメ筋
  • アキレス腱とつながるふくらはぎの奥にある筋肉
  • 歩くとき、最後に地面をしっかり押し出して前進するための筋肉

大殿筋や中殿筋はどちらも骨盤を支えていて、これらの筋力が低下すると立ち上がるときや階段の上り下りでバランスを崩し、転びやすくなります。ヒラメ筋は安定した歩き方に重要で、ここが弱まるとつまずきやすくなってしまいます。では、これらの筋肉を個別に鍛えるためのトレーニングを詳しく見ていきましょう。

大殿筋を鍛える
  1. 仰向けに寝て片足は膝を曲げて床につけ、もう片足は膝を伸ばしてまっすぐ上げる
  2. お尻を持ち上げ、3秒キープする(※足や背中の力で持ち上げないよう注意)
  3. 左右を変え、3回ずつ行う(つらいときはできるだけでOK)
※曲げている脚の角度は、なるべく曲げておく。中途半端だと太ももの裏側のハムストリングス筋を使ってしまう
中殿筋を鍛える
  1. 仰向けに寝て足を床につけ、肩幅分くらいまで開くようにして紐で太もも部分を軽く結ぶ
  2. いったん脚を閉じ、紐いっぱいまで脚を開いたら3秒キープする
  3. 3:左右を変え、5回ずつ行う(つらいときはできるだけでOK)
※紐なしでは、中殿筋にうまく負荷がかからない。中殿筋を意識しながら、開いて閉じるを繰り返す
ヒラメ筋を鍛える
  1. 立った姿勢で壁に両手をつき、大きくつま先立ちする
  2. そのまま3秒キープし、かかとを下ろす
  3. 5回程度繰り返す(つらいときはできるだけでOK)
※つま先は指の付け根までしっかりと上げ、上げたときにふくらはぎの下の方にあるヒラメ筋を意識する
※慣れてきたら、10回くらいまで回数を増やしてもOK

これらのトレーニングは、特別な道具や体力を必要としませんので、誰でもすぐに始められます。ぜひ、できる回数からで構いませんので、日常生活の中にこれらのトレーニングを取り入れてみましょう。

関連記事:高齢者の骨折は、どうやって防げばいいの?

おわりに:高齢者が筋トレすると、生活の質が上がる!

高齢者は、若年者と比べると一般的には筋力が低下しやすいですが、日常生活に必要な筋力や筋肉量はトレーニングで十分維持できます。筋力や筋肉量が増えれば、サルコペニアやフレイルなどの予防・改善にもなり、生活の質がアップします。

とくに、転倒防止のため大臀筋・中臀筋・ヒラメ筋を鍛えるのがおすすめです。筋トレの際にはいきなり高い負荷をかけず、自重など軽めの負荷から始めて、徐々に負荷を大きくしていきましょう。

関連記事:認知症のリスクは歩き方で変わってくるって本当?

コメント