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高齢者の高血圧のリスクを防ぐための対策とは?

老後の不安・悩み

高血圧が体に良くないということは、多くの人に知られています。とくに、そのまま放置していると生活習慣病を招きやすい「メタボリックシンドローム」と関連して、中年に対し語られることが多いのではないでしょうか。

では、もう少し年齢を重ねた高齢者の高血圧には、どんな特徴やリスクがあるのでしょうか。その予防法と合わせて、詳しく見ていきましょう。

高齢者の高血圧の特徴とは?

高齢者に起こる高血圧は、中年者に起こる高血圧とは少し異なる「最高血圧が高くなりやすい」「脳に流れる血流量が少ない」「血圧変動のリズムが異なる」という3つの特徴があります。それぞれについて、もう少し詳しくお話しましょう。

最高血圧だけが高くなりやすいのはなぜ?

そもそも、血圧は常に一定というわけではなく、心臓が収縮して血液を送り出すときに血管の壁にかかる圧力を「最高血圧(収縮期血圧)」と言い、心臓の筋肉が最も広がったときに血管の壁にかかる圧力を「最低血圧(拡張期血圧)」と言います。心臓が縮んで血液を押し出すときには大きな力がかかりますが、逆に心臓が広がって血液を受け入れるときには力がかかりにくいということです。

青年・中年・高年に関わらず、成人の場合「最高血圧が140mmHg以上または最低血圧が90mmHg以上」で高血圧と診断されます。高齢者の場合、最高血圧だけが高くなりやすく、最低血圧との差が大きくなりやすい傾向があります。これは、加齢によって血管の弾力性が低くなり、血液の流れが悪くなることや、自律神経の働きが低下して血管の収縮・拡張がうまくできなくなることが原因と考えられます。

ですから、高齢者の場合、最高血圧が少し高めであっても、他に糖尿病・腎臓病・脂質異常症などの合併症がなければ、薬剤などを使った治療よりも生活指導を優先させることが多いです。高齢者では薬が効きにくかったり、逆に効きすぎてしまって危険な状態になったりすることもありますので、生活指導で改善する方が高齢者自身に最も負担が少ないからです。

ここで注意したいのは、「薬を飲まなくていいということは、まだそれほど心配しなくてもいい状態である」とは限らない、ということです。血圧が高いことは、やはり動脈硬化を進行させてしまいますので、脳卒中や心筋梗塞のリスク因子であることに何ら変わりはありません。医師による生活指導をよく守り、食生活や運動習慣を改善していきましょう。

血圧が高いのに、脳には血液が少ないの?

血圧は高いのに、脳を流れる血流は少なくなりやすいというのも高齢者の血圧の特徴です。私達の体には、もともと脳にあまり血圧の変動の影響が出ないよう、一定の血液量を維持できるような調節機能が備わっています。しかし、高齢になるとこの調節機能も低下しますので、脳に血液を送るためには「高い圧力=高血圧」が必要になる、というわけです。

こうした理由があって高血圧になっている場合、薬で無理やり血圧を低下させることは、脳の血液量を低下させることにもつながります。すると、めまい・立ちくらみ・だるさなどの神経系の症状が出ることがあり、最悪の場合は脳梗塞などの脳血管障害を引き起こす可能性もあります。このような理由からも、高齢者が高血圧になっても安易に薬剤を使うわけにはいかないのです。

また、高齢者本人はこうした症状に気づかないことも少なくありません。家族など身近な人もぜひ高齢者の様子には気をつけておき、めまいなどが見られるようなら本人を連れて主治医に相談すると良いでしょう。

血圧変動のリズムって?

血圧は一定ではなく、一日のうちでも変化します。一般的に朝から日中にかけては高くなり、夜間には低くなる傾向があります。とくに、就寝中の深夜には血圧が最も低くなります。これは、朝から日中は活動しているため体内の臓器が活発に酸素や栄養分を必要とし、そのために血液をよく流す「交感神経」が優位になっていますが、夜間には多くの臓器が休んでいることから、血液の流れを穏やかにする「副交感神経」が優位になるためです。

しかし、高齢者の場合、こうした自律神経の働きが低下していたり、動脈硬化がみられたりして、血圧変動のリズムが崩れ、夜間や就寝中であっても血圧が下がらない「夜間高血圧」や、早朝に血圧が一定以上に高くなってしまう「早朝高血圧」があります。

このような状態を知らずにいると、気づかないうちに心臓や血管に負担をかけてしまい、脳卒中や心臓病などのリスクが高くなります。夜間高血圧や早朝高血圧は、病院での日中の血圧測定ではなかなか発見できませんので、家庭でも血圧測定を行い、その記録を主治医に見せて判断してもらうと高血圧のリスクに早く気づけます。

気をつけたほうがいい高血圧の合併症は?

高血圧は一般に「サイレントキラー」とも呼ばれるほど、自覚症状がないままに進行し、さまざまな生命に関わる合併症を引き起こします。高血圧の状態が続くと、加齢による動脈硬化に加えてさらに動脈硬化が進行し、血管の弾力がなくなるとともに壁が分厚くなり、ますます血液が流れにくく、血圧が高くなります。

すると、「脳梗塞・脳出血・狭心症・心筋梗塞・心肥大」などの脳血管性障害や、「糖尿病」などの生活習慣病、「腎不全・腎硬化症」などの腎障害といった重篤な合併症を引き起こす可能性があります。高血圧は決して放置せず、食生活や運動習慣などの生活習慣を改善するとともに、定期的な検査で自分の状態を確認しておきましょう

高齢者はどうやって高血圧を予防すればいい?

高齢者であっても、基本的な高血圧の予防法は中年者と同じで、運動習慣・禁煙・食生活の見直しです。さらに加えて、気温の寒暖差に気をつけることや、定期的な血圧測定なども重要です。基本の予防法と、高齢者にとくに必要な予防法に分けて、詳しく見ていきましょう。

基本的な高血圧の予防には「運動習慣・禁煙・食生活の見直し」が重要

高齢になると、どうしても日中の活動量が少なくなりやすいことから、定期的な運動習慣を身につけることが大切です。理想は毎日何かしらの運動を行うことですが、1日30分程度の軽く汗ばむような有酸素運動(ウォーキングやストレッチなど)を週に3〜4回行うと、効果を得やすくなります。

もちろん最初は無理をせず、1日5分や10分の軽い散歩や体操から始めてみましょう。また、寒い冬には外に出る前に室内で軽く足踏みをするなどのウォーミングアップを行えば、室内外の急な温度変化によって血圧が上がるのを抑えられます。

喫煙していた人は、禁煙するのがおすすめです。喫煙すると、交感神経が興奮状態になり、急激に血圧が上がってしまいます。さらに血管が収縮して酸欠状態になることも、血液を流そうとして高血圧を促進してしまうため、高血圧の人が喫煙するのは危険なのです。しかも、喫煙は動脈硬化の一因にもなってしまい、脳卒中や腎臓疾患のリスクを高めますので、できるだけ禁煙しましょう。

高血圧の予防と改善のためには、食生活の見直しも必要です。とくに塩分の摂りすぎは血中の塩分濃度を調節しようとして血圧が上がってしまいますので、塩分は1日6g未満を目安とし、栄養バランスのとれた食生活を心がけましょう。塩分の多い調味料は控え、スパイスや柑橘類・香味野菜などを上手に利用して食べごたえのあるメニューにするのがおすすめです。

過度な飲酒や、肉ばかり・野菜ばかりといった偏った食事も高血圧の予防のためには良くありません。また、果物も砂糖菓子などに比べれば体に良いのですが、糖質が多いため食べ過ぎると血糖値が上がり、中性脂肪を増やしてしまいます。食べる量には気をつけましょう。

そのほか、カリウムには血圧を下げる効果がありますので、ひじきや昆布などの海藻類、さつまいもや里芋などのイモ類、大豆やインゲン豆などの豆類を意識的に摂取すると良いでしょう。これらに加えて体を作るタンパク質を十分に摂取でき、かつ動物性食品と植物性食品のバランスの良い食事が理想です。

高齢者はさらに「寒暖差・家庭血圧」に気をつけよう

上記の一般的な高血圧予防に加え、高齢者の場合は寒暖差や家庭血圧にも注意すると良いでしょう。気をつけるべき寒暖差とは、朝の起床時や入浴時など、温かいところから寒いところへ移動するときに毛細血管が収縮し、急激に血圧が上がることを指します。

起床時に温まった布団から寒い気温の部屋に出るとき、脱衣所で服を脱いで寒い浴室に入るとき、熱い湯船から寒い浴室に出るときなどには、とくに注意が必要です。人によっては脳卒中や心筋梗塞を引き起こすこともありますので、油断は禁物です。脱衣所や室内を温めておくなど、暖房設備をうまく活用して急激な温度差が生じるのを防ぎましょう

また、家庭血圧を測り、記録をつけておくことも重要です。毎日、朝と晩の2回、同じ時間に測定することが大切ですから、測りやすい時間帯を自分で決めておきましょう。薬を飲んでいる場合は飲む前、夜は入浴前に測らないと正確な血圧を測定できませんので、注意が必要です。

おわりに:高齢者の高血圧予防には、一般的な予防法に加えて寒暖差に注意しよう

高齢者は、加齢による血管の変化や自律神経の働きの低下などによってそもそも最高血圧が上がりやすい傾向にあります。また、薬に対する反応も個人差が大きくなってくるため、基本的には薬剤を使わず、生活指導で改善していきます。

具体的には、一般的な高血圧予防である運動習慣・禁煙・食生活の見直しに加え、寒暖差に注意したり、普段から家庭血圧を測っておいたりしましょう。日頃から良い生活習慣を心がけることが大切です。

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