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一人暮らしの高齢者の食事の偏りや低栄養、どう支援する?

介護

一人暮らしをしている高齢者は、「孤食」によって低栄養になりがちな傾向があります。高齢の親と離れて暮らす子供からすれば、「親が元気に食事が摂れているのか」が気がかりの1つではないでしょうか。今回は一人暮らしの高齢者が直面しやすい食生活の問題と、遠くからでも親の食事を支援する方法をお伝えしていきます。

一人暮らしの高齢者は食事が偏りやすい

少子高齢化や核家族化が進む現代日本では、配偶者との離別等を機に、一人暮らしをする高齢者の数が増えてきています。そして「孤食」が習慣化するうちに起こり得るのが、食事内容の偏りや低栄養の問題です。

高齢夫婦の場合、男性は妻に食事の用意や栄養管理を任せきりなケースが少なくありません。そのため妻が先に他界してしまった後、自分ではうまく料理ができず、手軽に買えるコンビニ弁当やインスタントフードに頼ってしまう傾向があります。
一方で夫に先立たれてしまった妻は、以来、自分だけのために料理を作る気力が湧かず、食事を簡易的なもので済ませたり、食事が不規則になったり、少食になってしまったりすることがあります。

なお、国の統計によれば、高齢であればあるほど低栄養の割合が高いことがわかっています。特に高齢の女性は約5人に1人がBMI20以下と、低栄養に陥りやすい傾向にあります(厚生労働省「令和元年度 国民健康・栄養調査」)。

一人暮らしの高齢者は、食生活の課題が多い

高齢者の孤食に伴う低栄養には、下記のような問題が潜んでいます。

食事を作る意欲の低下
家族のために食事を用意する必要がないため、栄養バランスを気にかける意識が薄くなりがちです。
孤食による食欲の低下
一人暮らしでは誰かと食事を共にすることがないので、食欲が湧きにくく、食べる量も減る傾向にあります。
加齢に伴う口腔機能の低下
加齢によって噛む力や飲み込む力が低下すると、普通の食事を摂るのが困難になります。しかしゼリー食などでは食べる楽しみも減り、食欲も食事量も低下してしまうことがあります。
運動量の低下
一人暮らしでは誰かと外出する機会が減るため、引きこもりがちになり、活動量が減ります。すると筋肉量が減少し、活力・食欲も低下して栄養不足になることがあります。
食料品を買いに行くのが困難
食料品を買える店までの道のりが遠く、歩けない、自動車を運転できない等の理由で、十分な食材を買えない高齢者は約4人に1人とされています。これも高齢者の低栄養の原因の1つです。

上記からわかるように、「一人で食べることによる食欲の低下」「口腔機能の低下に伴う食事困難」「食料品を買いに行けない」等の生活面・健康面の事情も、一人暮らしの高齢者の食生活に大きな影響を与えています。つまり孤食による低栄養等の問題を解決するには、一人一人の事情に合わせたケアが必要になっていきます。

一人暮らしの高齢者の食事を支援する方法

一人暮らしの高齢者の食生活をサポートするには、遠くに住む子供や親族が高齢者本人に合った支援方法を探し、民間や自治体のサービスを活用するという視点も不可欠です。
いくつか、具体的な対策をご紹介していきます。

食事の宅配サービスの利用

「食事を作るのが面倒くさい」「健康上の理由で自炊ができない」「食事を買いに行くのが困難」という一人暮らしの高齢者に向いているのが、食事の宅配サービスです。

配食サービスの内容は業者によって異なりますが、大まかに下記の3種類に分けられます。

「お弁当」が毎日配達される
調理済み惣菜の「冷凍食品」が数日分まとめて配送される
飲み込みやすく調理された「介護職」(糖尿病などの「治療食」)

近年では需要の高まりから、高齢者向けの配食サービスを運営する民間企業がかなり増えてきています。まずは、「固いものは食べにくい」「毎日決まった時間に食事を受け取るのが難しい」「自炊もしたいので、宅配頻度は少なめでいい」など高齢者自身の事情に合わせて、どの宅配サービスが適当かを調べてみることをお勧めします。

一部では自治体と提携し、介護保険も活用可能な配食サービスを行っている業者もあるので、費用面を抑えたい人はその点もチェックしてみるといいかもしれません。

食材の宅配サービスの利用

食事の宅配サービスは便利ですが、「メニューにすぐ飽きてしまう」「定期的には自炊をしたいが、買い物に行くのが面倒くさい」等の要望がある高齢者には、「食材」の宅配サービスもお勧めです。

一人暮らしの高齢者は食事の摂取量が少ないため、スーパー等で買った食材を余らせてしまうケースも少なくありません。しかし食材宅配サービスを活用すれば、1人分の食材を届けてくれるので、食材ロスや無駄な出費を減らせるというメリットがあります。

さらに、業者によってはレシピをつけて食材を届けてくれるので、献立を毎日考える手間が省かれ、調理経験のあまりない男性高齢者でも取り入れやすいのも嬉しいポイントです。

会食サービスの利用

食事や食材の宅配サービスの利用によって、栄養バランスの改善は期待できますが、「孤食による食欲の低下」で悩んでいたり、「誰かと一緒に食事を食べたい」と思う高齢者に有効なのが、地域の会食サービスの利用です。

配食に比べてまだ全国的な普及が行き届いていないサービスではありますが、地域によっては、非営利活動法人などが一人暮らしの高齢者向けに定期的な「会食サロン」を開いていることがあります。

高齢者の孤食は、うつ病の発症や食事回数の低下などと密接な関係があるとされています。しかし、会食サロンに参加して似た境遇の高齢者と出会うことで、会話をしながら食事を楽しむことができ、新たな交友関係が築きやすくなります。

この会食サービスやサロンは、一人暮らしの高齢者のうつ病の発症予防、低栄養等の問題解決に間接的につながるとして、今期待を集めている取り組みの1つです(農林水産省「3 一日の全ての食事を一人で食べている「孤食」の状況」)。

宮城県や神奈川県、富山県、和歌山県、大阪府、石川県、大分県、長崎県などの一部の市では、すでに先進的な会食サービスが実施され始めています(公益社団法人 全国国民健康保険診療施設協議会「在宅高齢者の口から食べる楽しみの支援の在り方に関する調査研究事業 報告書」)。

おわりに:高齢者が十分に食事を摂れない理由はそれぞれ。事情に合ったサポートを

一人暮らしの高齢者が低栄養等の問題に陥るのには、「孤食による食欲の低下」「口腔機能の低下」「料理をするのが面倒」「買い出しが困難」など様々な理由があります。理由や健康状態に即して食事のサポートをすることが大切なので、遠く離れた一人暮らしの親がいる人は、電話などで定期的に食事の状況を確認し、必要な支援を案内してあげることが望ましいでしょう。

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