高齢者てんかんと認知症の症状を、どうやって見分ければいい?

介護

大脳の神経細胞に異常が起こり、意識消失やけいれんを起こす病気をてんかんと言います。

今回はてんかんのうち、50歳以上の人が発症する「高齢者てんかん」について、誤診されやすい認知症との症状の違いとあわせて解説していきます。

高齢者てんかんって?

一般的に小児が引き起こすイメージの強いてんかんですが、アメリカの調査では、小児の発症数を上回るほど多くの高齢者がてんかんを発症しています。

高齢者のてんかんは、部分てんかんと呼ばれる発作の現れ方をするのが特徴です。
小児のようにけいれんを伴わず、前兆となる症状も現れず、発作として以下のような症状が数時間~数日にわたり現れます。

高齢者てんかんの代表的な症状の例
ぼーっとする、意識がもうろうとする、注意散漫、無反応、奇異な行動が見られる、発作のあった間の記憶をなくす など

記憶をなくす症状から、認知症と誤診されるケースも少なくありません。また、原因不明とされることの多い小児のてんかんとは異なり、原因がある程度特定できるのも大きな特徴です。
高齢者てんかんの原因となるのは、脳血管障害や脳炎、脳腫瘍などの脳の病気や、交通事故や転倒による頭部外傷、認知症などとされます。

一方で、てんかんの発症が引き金となって上記のような脳の病気・異常を合併症として発症するケースも報告されています。
高齢者のてんかんは、加齢により発症リスクの上がる脳疾患の一種と理解しておきましょう。

高齢者のてんかんの症状は種類別で違うの?

高齢者てんかんのほとんどは、脳に何らかの明確な異常や損傷が起こり、けいれん以外の複数症状が部分発作として起こる「症候性てんかん」だといわれています。
高齢者の症候性てんかんのうち7割を占めるとされるのが「側頭葉てんかん」です。

側頭葉てんかんは、以下のような自動症や記憶障害の発症を特徴とします。

側頭葉てんかんの特徴
  • 無自覚に口をもぐもぐする、身振りをするなどの自動症が見られる
  • 急に動作が停止したり、もうろうとした状態のまま歩き回ろうとする
  • 経験したことを未経験のように、未経験のことを経験済みのように感じる
  • 過去の出来事や恐怖のフラッシュバックに苦しめられているようだ
  • 吐き気や嘔吐、発汗、熱感・冷感、おなかが鳴る、頭重感などの前兆症状

高齢者の症候性てんかんの場合、通常は意識の消失を伴いません。

しかし、1日に何度も上記のような症状を伴う発作に見舞われることもあります。また稀なケースですが、小児・若年者が発症しやすい「特発性全般てんかん」を高齢になってから発症、再発するケースも見られます。

てんかんのうち若年性欠神てんかん、若年ミオクロニーてんかんなどが特発性全般てんかんに分類されるものです。

特発性全般てんかんの特徴
  • 明確な脳の異常が見られないにもかかわらず、てんかんの発作が起こる
  • けいれんも意識消失もないが、もうろうとした状態や幻覚の発作が続く
  • 全身が硬直するような発作が30分以上続いたり、意識を失うことがある

高齢者てんかんと認知症はどう違うの?

記憶障害や反応の鈍化、もうろうとするなどの高齢者てんかんの症状は、認知症に似ています。このため、家族が「認知症なのでないか」と誤解されることもあります。

てんかんの患者に見られる特徴、認知症患者との違いは以下の通りです。

てんかんの高齢者にあって、認知症の高齢者にない特徴
  • 発作が起きていた特定の期間の記憶がない、と自覚できている
  • 反応が鈍いなどの症状はいつも一時的で、普段はスムーズに会話できる
  • 本人の記憶があいまいな期間と、周囲から見て様子がおかしい期間が一致している

認知症だと思い込んで治療を受けても、高齢者てんかんの症状は改善しません。
高齢者の様子がおかしいと感じたら、普段の様子と傾向をある程度記録したうえで早めに医療機関を受診し、医師に相談してください。

おわりに:自覚症状の有無と症状の出方で、高齢者てんかんと認知症を見分けよう

近年、かつては小児や若年者にしか現れないと考えられていたてんかん症状が、高齢になってから発症するケースがあるとわかってきました。

50歳以上の高齢になってから発症するてんかんのことを「高齢者てんかん」と言います。けいれんは伴わず、記憶障害や反応の鈍化、意識もうろうなどの症状が現れる高齢者てんかんは、認知症に間違われることも多いです。様子がおかしいと感じたら、できるだけ早く医療機関に相談しましょう。

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