歩行介助のやり方と、介助するときの注意点とは?

介護

「歩く」という行為は、基本的な移動方法です。寝室から出て居間に向かうにも、階段の上り下りにも、買い物に行くために車に乗ったり、公共交通機関に乗るためにバス停や駅まで歩いたりするためにも、歩くことは必要です。

そこで、足腰が弱って歩行が不自由な高齢者をサポートする「歩行介助」のやり方と、その際の注意点についてまとめました。ぜひ、参考にしてください。

歩行介助はどうやってすればいいの?

歩行介助とは、車椅子が入れない部屋に高齢者を連れていくときや、車椅子を使うほどではない短い距離の移動、階段の上り下りなどの際に「歩行」をサポートする介助のことを言います。歩行介助には「手引き・寄り添い(片麻痺の場合も含む)・階段昇降」の3つのやり方があり、それぞれ以下のような方法で行います。

手引き歩行介助
  • 歩行障害が重度で転倒のリスクが高い場合や、短い距離を移動する場合に行う
  • 介護者と被介護者がお互いに向き合い、両手をとって歩くやり方
  • 両手をつないでいることから、前後への転倒を防ぎやすいのが大きなメリット
※介護者が後ろ向きで歩くため、介護者自身の転倒には十分注意が必要
※二人とも転倒してしまい大怪我につながるのを防ぐため、進行方向の障害物はあらかじめどけておく
寄り添い歩行介助(片麻痺も含む)
  • お互いに前方を向くためストレスが少なく、長い距離を移動するのに向いている
  • 介護者が被介護者の横に立ち、一緒に歩行するやり方
  • 右利きの高齢者なら、原則として介護者は反対の左側に立つ
  • 相手の身体に寄り添い、被介護者の脇に介護者の腕を差し込み、反対の手で介護者の手を握る
※脳血管障害などの後遺症で片麻痺の人を介助する場合、介護者は麻痺のある側に立ち、被介護者の腰に腕を回して身体を支える
※歩行介助に慣れていない、転倒の可能性が強いという場合は、被介護者のベルトなど装着物を掴んで身体を保持するのも有効
階段の上り下りの歩行介助
  • 杖を使う高齢者の場合、常に健康な方の足に重心がかかるようにする
  • 上るとき:杖→麻痺のない方の足→麻痺のある方の足、の順に動かす
  • 下りるとき:杖→麻痺のある方の足→麻痺のない方の足、の順に動かす
  • 杖を使わない高齢者の場合、必ず片手で手すりを掴んでもらう
  • 介護者は、上るときは被介護者の斜め後ろに、下りるときは斜め前方に立ち、万が一バランスを崩したときに支えられるようにする
※片麻痺がある人の場合は、さらに麻痺のある側に立つようにする

これらの方法は、被介護者にとってもっとも安全な方法を優先して考えられたやり方です。被介護者の身体の状態に応じて、それぞれ適切なやり方を選びましょう。

歩行介助するときに気をつけるべきポイントは?

他のさまざまな介助と同じように、歩行介助も事前のしっかりとした準備が必要です。まずは、杖や歩行器など補助器具のメンテナンスがしっかりできているかどうかを確認しましょう。具体的には、以下のようなポイントです。

  • 杖の滑り止めのゴムが摩耗していないか
  • 杖の固定ネジがゆるんでいないか
  • 歩行器にホコリが溜まってしまい、タイヤが回りにくくなっていないか
  • フレームが歪んでいないか

これらのチェックはいざ歩行介助をしよう、としたときに行うのではなく、いつ歩行介助をする状態になってもいいよう、定期的に行っておきましょう。ゴムのすり減りやフレームの歪みは、福祉用具を取り扱っているお店で取り替えや修正してもらえます。杖の固定ネジは、被介護者の体格が変わるなどして高さが変わることもありますので、定期的に高さもチェックしておきましょう。

また、室内を移動するときは、電気のコードなどのつまずきやすい障害物をなるべくどかしたり、端に避けたりして、通路の広さを確保しておきます。床や通路が濡れていないか確認したり、カーペットなどの滑りやすい敷物は端をピンやテープで止めたりして、滑らないようにする工夫も重要です。

衣類や靴・靴下を選ぶ時は、以下のようなポイントに気をつけましょう。

  • 靴下を滑り止めつきのものにする
  • ズボンの裾は、足にまとわりつくような長さや形状にしない
  • スリッパやサンダルなど、かかとのない履き物は脱げやすく滑りやすいため、避ける
  • サイズの大きい履き物も、脱ぎ履きはさせやすいものの、脱げやすく転倒の原因になりやすいため避ける

室内で靴下やスリッパを履いている人も多いですが、靴下が滑りやすいことはもちろん、スリッパもふとしたタイミングで脱げやすく、結果的に滑りやすいため、滑り止めつきの靴下にしたり、かかとのある室内履きを履いたりするのがおすすめです。同じ理由から、サンダルや足のサイズよりも大きな履き物も避けておきましょう。足のサイズにぴったり合った、軽くて滑りにくい靴がおすすめです。

では、実際に歩行介助を行うときの注意点を4つ見ていきましょう。

介護者が立つ位置に気をつける
  • 基本的な歩行介助は、被介護者の側に立って脇と腰を支えるものだが、介護者の状態に応じて変えていく
  • 前方に倒れやすい場合は、向かい合わせに立って相手の肘を支え、相手にも自分の肘を持ってもらう
  • どの方向への転倒も心配なら、必ず手に腰を添えるか、安全ベルトなどを利用する
  • 杖を使う人は杖のない側の斜め後ろに、手すりを使うときは手すりの反対側に立つのが基本
被介護者のペースに合わせる
  • 実際に歩き始めたら、介護者がリードするのではなく、被介護者のペースに合わせる
  • 前後左右への転倒の危険と、ガクッと膝が折れるように転倒する危険を合わせて注意しておく
  • 無理に急がせたりすると転倒につながるだけでなく、介護をストレスに感じてしまう可能性も
  • 高齢者は筋力が弱っていて、本人自身も思い通りにならない苛立ちなどがあることを理解しておく
適宜、休憩を挟む
  • 隣の部屋などごく短い移動は良いが、基本的に移動するときは時々休憩を挟む
  • 介護者にとって短い距離でも、被介護者の様子を見ながら決して無理はさせない
  • 座って休憩した場合は、立ち上がるときにふらつく可能性があるため注意する
屋外での歩行介助は、路面の状況や車などにも注意する
  • 雨天時や氷が張る冬の早朝などは、滑りやすく転倒リスクが高くなるので室内よりもとくに注意する
  • 狭い歩道や交通量の多い道路の脇を歩くときは、介護者が道路側に立つ

介護者の立つ位置は、被介護者の身体の状態に応じて変えましょう。また、歩行介助はリードするための介助ではなく、あくまでも被介護者が歩くのをサポートする介助である、という意識で行うことが重要です。被介護者のペースに合わせ、無理のない範囲で休憩を挟みましょう。また、屋外を歩くときは滑らないかどうかや、介護者が道路側に立つなど、室内よりもさらに配慮が必要です。

おわりに:歩行介助は、被介護者の身体の状態やペースに合わせて行う

歩行介助は、基本的な移動である「歩行」を介助するものですが、介護者がリードするのではなく、被介護者が歩くペースや身体の状態に合わせてサポートするための介助です。事前に杖や歩行器などの補助具をメンテナンスしておくことはもちろん、床や通路に障害物があったり、濡れたりしているときはどけたり拭いたりしておきましょう。また、屋外を歩くときは室内以上に注意が必要です。

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