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介護にありがちな腰痛の悩みを防ぐ方法はある?

介護

介護は重労働だとよく言われます。日常生活を自力で送れない高齢者の分も家事をしなくてはならないのはもちろん、歩行や移動が難しい人には体を支える介助を、寝たきりの人には数時間おきに体位変換をする必要があるからです。

このように、体を酷使せざるを得ない介護の現場において、介護者(介助者)の腰痛は重要な問題の1つです。そこで、腰痛が起こりやすい理由や原因になりやすい動作、予防対策までをご紹介します。

介護で腰痛が起こりやすいのは、どうして?

介護(介助)は腰痛につながりやすいとされていますが、実際にどのくらいの人が介護からくる腰痛に悩んでいるのでしょうか。厚生労働省の「介護業務で働く人のための腰痛予防のポイントとエクササイズ」によると、平成21年の業務上疾病の発生件数は7,491件、そのうち腰痛は4,870件と、介護業務によって発生した疾病のうち、6割以上が腰痛であることがわかります。

職業別に見ていくと、介護業務を含む「保健衛生業」が約24%を占め、商業・金融・広告業の約19%、製造業が約16%と、やはり介護業務を含む業種がもっとも多いことがわかっています。介護士や看護師などは、被介護者や患者さんなどに対応するとき、腰に負担がかかる動きをすることが多いため、腰痛が発症しやすいのだと考えられます。

介護で腰痛が発症しやすいのは、「前かがみ(前傾姿勢)・中腰・体幹のひねり・長時間同じ姿勢」など、腰や首・肩・腕などに負担がかかりやすい姿勢をとることが多いからです。移乗介助やトイレ介助、入浴介助などはとくにこうした姿勢が多く、腰をかがめた状態の姿勢を取り続けていると、腰痛を発症しやすくなります。

介護による腰痛は、主に筋肉疲労の積み重ねが原因だと考えられています。介護で腰の筋肉を酷使することで筋肉が緊張してこわばり、慢性的な痛みを感じるようになるのです。また、長期にわたって腰に負担をかけ続けていると、日常生活の何気ない動作が引き金となって、急性腰痛症(ぎっくり腰)を発症することもあります。

腰痛のきっかけになりやすい介護の動作とは?

上記のように、前かがみや中腰、体幹をひねるなどの動作が多いと、腰痛を引き起こしやすいと考えられます。実際に腰痛を引き起こしやすい介護の動作をまとめると、以下のようなものがあります。

移乗介助
  • 被介護者をベッドから車椅子へ、車椅子から便器へ、など移動とともに乗せる動作のこと
  • 介護者は被介護者の腰・お尻・膝などを支えたり、抱えたりして移乗させる
  • 日常生活全体に介助が必要な「全介助」か、部分的に介助が必要な「一部介助」かによっても腰への負担が変わってくる
入浴介助
  • 一人では入浴できない被介護者が入浴するのを介助する
  • 入浴は単に清潔を保つだけでなく、血行を良くしたり、心身をリラックスさせたりするために大切
  • 被介護者を浴槽へ移動させたり、頭や背中を洗ったり拭いたりするときにかがんだり、被介護者の体を支えたりするため、腰に負担がかかりやすい
トイレ介助
  • 被介護者が排泄を行うとき、車椅子からトイレに移乗させる
  • 要介護度に応じ、介護者がズボンの上げ下ろしや陰部を拭くなどの作業が必要なことも
  • 移乗させるときに被介護者を支える必要があり、全身に負担がかかりやすい
  • ズボンの上げ下げなどで介護者が中腰になることもあると、より腰に負担がかかりやすい
おむつ交換
  • 要介護度が進んでトイレに座れなくなると、おむつを使うようになる
  • おむつ交換のとき、介護者はズボンや下着を脱がせ、陰部を洗浄し、おむつを替える
  • 寝た状態の被介護者に対して行うことから、前傾姿勢での作業が15分程度続いて介護者の腰への負担が大きくなる
体位交換
  • 被介護者が寝たきりで、自分で寝返りを打ちにくい場合、床ずれなどを防ぐために介護者が定期的に体位を変えなくてはならない
  • 仰向けで寝ている被介護者の肩や太ももの下から腕を入れ、横向きにするなどの措置を行う
  • 介護者が前傾姿勢や中腰で行うため、腰痛を引き起こしやすい
更衣介助
  • 自力での着替えが難しい被介護者に対し、洋服の着脱を手伝う
  • 被介護者が寝たきりの状態で行うため、腰をひねったり中腰になったりする動作が多くなる
  • 体に麻痺などがある場合はさらに時間がかかるため、腰への負担も多くなる

介護が原因の腰痛の予防対策はある?

介護において、前章でご紹介したような動作は重要で必要なものですから、動作をしないというわけにはいきません。そこで、介護者の負担を減らせるような工夫や改善を行い、腰痛を予防するとともに、症状を和らげることが大切です。具体的には、以下の5つのポイントを意識しましょう。

腰を曲げるのではなく、腰を落として作業を行う
  • 腰を曲げたりかがんだりするのではなく、体の重心ごと低めに落とす
  • 足をしっかりと開いて腰を落とすと、安全性も高く安定した姿勢でおすすめ
  • 食事介助など座った状態で介護を行うときも、腰を曲げず姿勢を正して行う
持ち上げるのではなく、スライドさせる
  • 移乗などで被介護者を持ち上げると、介護者の腰に負担がかかり、転倒のリスクも
  • 車椅子とベッドを近づけ、持ち上げるのではなくボードなどの福祉用具でスライドさせるように移乗させる
被介護者にできることは自分でやってもらう
  • 被介護者の日常生活をすべてサポートするのではなく、できる範囲で被介護者自身にも行ってもらう
  • 介護者の負担も減り、被介護者の自立にもつながるためお互いにとってメリットが多い
  • ただし、本人の能力以上のことを無理にさせないよう、本人の状況に応じて
グッズを活用する
  • 介護者自身の骨盤を正しい位置に保つ骨盤ベルト、腰をサポートする腰痛ベルト(コルセット)などを活用する
  • 介護の負担を減らすため、福祉用具を活用するのもおすすめ
  • 被介護者を持ち上げずにベッドや車椅子などにスライドさせて移乗させられる移乗シートやボード、電動リフトや多機能型車椅子など
エクササイズを行う
  • 簡単なエクササイズや体操を行い、腰回りの筋肉をほぐしたり血行を促進させたりする
  • 介護では同じ姿勢をとることが多いため、体を動かすと全身の柔軟性がアップする
  • 腰痛予防や改善のほか、心身のリラックスにもつながる

具体的なエクササイズとしては、以下のようなストレッチがおすすめです。いずれも自宅で簡単に行えますので、お風呂上がりなどで体が柔らかくなっているときに行うとより効果的です。

上半身のストレッチ
1:立ったまま手すりをつかむか机に両手をつき、両腕を伸ばす
2:腰を90度くらいまで深く曲げ、前かがみの姿勢になる
3:20〜30秒程度同じ姿勢をキープし、背中の筋肉を1〜3回伸ばす
※反動はつけず、伸ばす筋肉を意識しながらゆっくり行う
背中のストレッチ
1:手すりを両手でつかみ、足を開いて立ったまま、しゃがむように腰を落とす
2:20〜30秒程度同じ姿勢をキープし、背中の筋肉を1〜3回伸ばす
※背中の筋肉を意識しながら、ゆっくりと行う
太もも(前側)のストレッチ
1:手すりや椅子の背もたれ、机などを片手でつかむ
2:もう片方の手で片足のつま先をつかみ、後へ引き上げる
3:20〜30秒程度同じ姿勢をキープし、1〜3回、太ももの筋肉をしっかり伸ばす
4:手と足を左右入れ替え、同じストレッチを行う
※太ももの筋肉を意識しながら、ゆっくりと行う
ふくらはぎのストレッチ
1:手すりや椅子の背もたれ、机などを両手でつかむ
2:片足を軽く曲げて前に出し、もう片足は後へ伸ばす(※アキレス腱を伸ばす運動のように)
3:20〜30秒程度同じ姿勢をキープし、1〜3回、ふくらはぎの筋肉をしっかり伸ばす
4:手と足を左右入れ替え、同じストレッチを行う
※ふくらはぎの筋肉を意識しながら、ゆっくりと行う

介護による腰痛を防ぐためには、動作のときの工夫ももちろん重要ですが、どうしても腰に負担が全くかからない方法というのはありませんし、同じ姿勢をずっと取り続けて筋肉がこわばってしまうこともあります。そこで、仕事が終わった後にエクササイズやストレッチを行い、腰の
筋肉をほぐしたり血行を良くしたりすることも重要です。両方をバランスよく取り入れ、上手に腰痛を予防・改善していきましょう

おわりに:介護による腰痛は筋肉の酷使。負担を和らげる工夫とストレッチを

介護による腰痛は、主に筋肉疲労が蓄積した結果だと考えられています。介護ではどうしても腰や肩・首・腕などの筋肉を酷使するため、腰痛が発症しやすいのです。とくに移乗介助や入浴介助、トイレ介助、体位交換などは腰痛を引き起こしやすいです。

そこで、腰への負担を軽減するような動作の工夫や福祉用具の使用、腰の筋肉をほぐして血行を良くするストレッチなどがおすすめです。上手に行い、腰痛を予防・改善していきましょう。

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