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エンゼルケアの目的って?どんな手順で行うの?

介護

エンゼルケアとは、亡くなられた人のご遺体を清潔にしたり、元気だった頃の姿に近づけたりする一連のケアのことを指します。日本には昔から「湯灌(ゆかん)」という死後に行う儀式の習慣があり、エンゼルケアもこの流れを汲んでいるとされます。

では、現代のエンゼルケアはどんなことを目的として行われるのでしょうか。具体的な手順や準備するものも合わせてご紹介します。

エンゼルケアは、なんのためにするの?

エンゼルケアとは、亡くなられた人の死後の処置をしたり、死化粧(エンゼルメイク)をしたりといったケア全般を指します。一般的には、医師によって死亡が確認されたのち、死後硬直が起こるまでの2〜3時間でケアを行います。日本古来の「湯灌(ゆかん)」という儀式から派生したともされ、亡くなられた人が死後の世界へ旅立つ準備を整えるという意味があります。

エンゼルケアを行う目的には、以下のようなものがあります。

  • 死によって変化したご遺体の外観を整え、元気だった頃の姿に近づける
  • 個人のパーソナリティや人間としての尊厳を守る
  • 患者さんの苦労を労うとともに、家族やスタッフが最期のお別れをするグリーフケア
  • 患者さんの身体に触れ、死を実感する
  • ご遺体からの体液や排泄物などの汚染・病原微生物などの感染を予防する

エンゼルケアは、エンゼルメイクや家族・スタッフのグリーフケアの一環としての役割など、精神的な面が大きいケアですが、死後に体液や排泄物が排出されたり、病原微生物が飛散したりしないように処置を行うという医療行為も含まれます。エンゼルケアにより、家族もスタッフも患者さんの死を受け入れ、悲しみのプロセスを正常に辿ることができます。

エンゼルケアではどんなことをするの?

エンゼルケアの一般的な手順としては、医療従事者による処置から始まり、以下の5つを順に行います。

医療従事者による処置
  • これまでついていた医療機材があれば病院スタッフが外し、傷があれば処置を行う
  • 胃内容物・排泄物を排出し、口腔・眼内のケアを行い、開口への対応もする
  • ※以前は耳や鼻の孔に綿を詰めていたが、汚染が懸念されない場合は行わないこともある
全身清拭
  • 温かいタオルまたは、お湯とタオルを用意し、全身を拭く(清拭)
  • 一般的にはスタッフが行うが、遺族が行える場合もある(希望の場合は相談)
  • 皮膚の表面を傷つけないよう清拭を行ったら、乾燥予防のため保湿ローションなどでケアする
  • シャンプー・リンスなどで洗髪し、男性の場合はひげを剃り、保湿も行う
着衣をつける
  • 一般的には白装束に着替え、下着はオムツを使用する
  • 宗教によって旅支度が異なる場合があるため、お世話になっているお寺などに聞いておく
  • とくに宗教による指定がなければ、故人が好きだった服など、遺族が選んで構わない
  • 洋服やドレスなども構わないが、死後硬直が始まる前に着替えさせてもらう必要がある
容姿を整える(エンゼルメイク)
  • 基本は業者や病院スタッフが行うが、遺族が行うこともできる場合がある(希望の場合は相談)
  • かつらやヘアピースなどを使いたい場合は、あらかじめ用意しておく(髪飾りなどのアクセサリーは相談)
  • 女性だけでなく男性も肌の色などをキレイに見せる薄化粧をする(男性に口紅をすることに抵抗があれば、リップクリームやワセリンでも可)
  • 化粧品は業者や病院が用意していることが多いが、故人のお気に入りのものがあれば、それを使うのも良い
合掌の状態にする
  • 「合掌バンド」と呼ばれるゴムを使い、合掌しているポーズに手を固定することも
  • 運ぶときに腕がだらんと垂れ下がらないようにするためのもので、最近では減っている
  • ※そのままにしておくと手がむくんだり変色したりするため、ご遺体を安置した後は速やかに外す

こうした一連のケアが終わったら、身体にシーツをかけ、顔に白い布を被せるのが一般的です。とはいえ、布を被せるのは決まりごとではありませんので、これも遺族の希望によってかけずにいてもらうこともできます。病院や業者など、エンゼルケアを担当する人に相談してみましょう。

エンゼルケアでは、どんな道具を使うの?

エンゼルケアで使われるもののうち、処置や一般的なエンゼルケアの流れで必要なものは病院に用意されていることが多いです。一方、亡くなられた人の着衣やかつら・ヘアピース、髪飾りなどのアクセサリーといった故人の持ち物については、遺族が用意する必要があります。故人の好きだった化粧品を使いたい、などの場合もあらかじめ準備しておきましょう。

一般的にエンゼルケアで必要なものは、以下の通りです。

  • ガウン、マスク、手袋、歯ブラシ、口腔ケア用のスポンジや滅菌ガーゼ
  • 脱脂綿、青梅綿、綿棒、ピンセットまたは割りばし、絆創膏、膿盆、便器、紙おむつ
  • ボディクリーム、リップクリーム、ワセリン、ビニール袋
  • 清拭用具(タオル2〜3枚、微温湯、バケツ。または、微温湯で絞ったタオル2〜3枚)
  • 美容用具(くし、ヘアブラシ、シャンプー、リンス、爪切り、電気カミソリなど)
  • エンゼルメイク用のメイクセット(クレンジングやファンデーションを含む化粧品)

その他、必要に応じてシリンジや鋭利専用破棄容器、吸引カテーテルなどを使います。最後にかけるための白い布やシーツについては、希望がなければ準備しなくても構いません。

おわりに:エンゼルケアは、故人の尊厳を保ち、遺族やスタッフのグリーフケアにも

エンゼルケアは、亡くなられた方の死後の外観的な変化を整え、元気だった頃の姿に近づけるようにするとともに、遺族やスタッフが患者さんの死と向き合うグリーフケアの一環としての役割もあります。

エンゼルケアのうち、医療機材を外すなど医療的な処置は医療従事者しか行えませんが、その後の部分については遺族が行える部分もあります。希望があれば、スタッフや業者に相談してみましょう。

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