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高齢者の歩行器の種類別の特徴とは?

介護

歩行器とは、名前のとおり歩く行為をサポートしてくれるものです。一般的には歩き始めたばかり、あるいはまだ歩けないくらいの赤ちゃんが乗る歩行器がよく知られていますが、歩行機能が低下してきた高齢者の歩行をサポートするための歩行器も介護用品として販売されています。

では、高齢者の歩行器にはどんな種類があり、それぞれどんな特徴を持っているのでしょうか。介護用品としての歩行器について、詳しく見ていきましょう。

歩行器の介護用品としての目的は?

高齢者用の歩行器は、足腰の筋力が低下した高齢者が安全に移動できるようサポートしてくれる介護用品で、介護保険を利用してレンタルすることができます。歩行を助けてくれる介護用品としては、他にも杖がありますが、杖は1本の細長い棒を追加しただけで身体の重さを支えなくてはならないのに対し、歩行器は身体を囲むような作りになっているため、バランス良く身体を支えられます。

また、上半身を歩行器に預けることで転倒を防ぐとともに、足腰にかかる負担を減らして歩くことができます。自分の足で歩き続けられることは、QOL(生活の質)を高めたり、自尊心を維持・向上したりするのに役立ちます。高齢者が心身ともに健康な生活を送り続けるために、非常に重要なことだと言えます。

上記のような歩行器の性質から、歩行器が必要なのは以下のような人です。

  • 足腰や股関節に痛みがある人
  • 筋力やバランス感覚が低下している人
  • 麻痺や障害などにより、歩行が困難な人

こうした人は、支えなく自力であるくのが難しい状態です。しかし、歩行器を使えば、上半身の重さを歩行器に預けて体重をかける場所を分散できるので、弱った足腰への負担を和らげ、自力で歩きやすくなります。また、歩くときに身体のバランスを保ち、ふらつかず安定した姿勢で歩くこともでき、転倒しにくくなります。

歩行器は種類別でどんな違いがあるの?

歩行器には、キャスター付きのもの、左右を交互に動かすもの、モーター付きのものなど、使う人の状態に合わせてさまざまな種類があります。まずは、形状別に5種類に分けて歩行器の特徴をご紹介します。

四脚歩行器
  • 歩行器を持ち上げて前に出しながら進むタイプ
  • スチールやアルミの四脚のフレームで身体を支えるため、安定していて下半身への負担を大幅に減らすことができる
  • 歩行器自体を持ち上げなくてはならないため、上半身に痛みがある人は使えない
  • 下半身の筋力が低下していて、バランスを崩しやすい人におすすめ
固定型歩行器
  • 四脚歩行器の一種で、フレームが固定されているタイプ
  • 歩行器を一歩前の方に持ち上げ、身体を支えながら前進する、という方法で進む
  • 主に室内利用に向いていて、ベッドや布団から立ち上がるときの手すりにも使える
  • 前進するには歩行器を持ち上げなくてはならないため、上半身の筋力がある程度必要
  • 上半身は健康なものの、下肢の筋力が低下したり痛みがあったりして、杖では歩行が不安定になる人におすすめ
交互型歩行器
  • 四脚歩行器の一種で、左右のフレームを交互に動かせるタイプ
  • 通常の歩行と同様、左足を出す時は右のフレームを、右足を出す時は左のフレームを前に動かしながら前進する
  • 左右いずれかの足が常に地面に接しているため、安定性が高く身体をしっかり支えられる
  • 身体を左右交互に動かさなくてはならないため、バランス感覚や身体の動きにスムーズさが必要
  • 片足に痛みがある、姿勢バランスが取りにくくて歩行が困難という人におすすめ
キャスター付き歩行器(歩行車)
  • 足に車輪がついているため、移動がスムーズ。前脚のみがキャスターのタイプと四脚全てがキャスターのタイプがある
  • 前輪タイプは、後ろのフレームをやや持ち上げ、前のキャスターを転がして前進する
  • 腕力の弱い高齢者でも使いやすい反面、コントロールが難しい
  • 四輪タイプは歩行器を持ち上げる必要がなく、カートを押すように歩行を補助してくれる
  • 前輪タイプよりさらに小さな力で動かせますが、前に出しすぎてバランスを崩すことも考えられる
  • >歩行能力が比較的高い人が使うシルバーカーも、このタイプの歩行器の一種と言える
下半身の筋力が低下している人や、リハビリ初期の人におすすめ
モーター付き歩行器
  • 傾斜センサーとモーターが搭載された歩行器
  • 平地や坂道などの路面状況を検知し、高齢者の移動を安全にアシストする
  • 下り坂でも歩行器の速度が上がりすぎて転倒することなく安全
  • 長時間歩くのが困難な人におすすめ
  • ※使うには機器の説明を受け、操作方法を理解しなくてはならない

四脚歩行器や固定型歩行器は、歩行器に体重をかけて痛みがある足、ない足の順に踏み出して歩きます。このタイプの歩行器は、両手で持ち上げる必要がありますので、上半身には大きな問題がない人に向いています。車輪がついたタイプは持ち上げ型よりも力が要らないため、上半身の筋力が落ちている人でも扱いやすいですが、動かしすぎてバランスを崩さないよう注意が必要です。

キャスターつきの歩行器でも、ブレーキがついたタイプなら、スピードを調整しながら歩くことができますので、出しすぎ、動かし過ぎを防げます。また、座面の下にかごがついているタイプなら、ちょっとした買い物にも使えて便利です。

屋内用・屋外用にはどんな歩行器があるの?

歩行器を使う場合、屋内用のものと屋外用のものを分けておいた方が便利です。そこで、まずは屋内におすすめの歩行器からご紹介します。

四脚歩行器
  • 足に痛みがあり、連続した歩行はできない人におすすめ
キャスター付き歩行器
  • 足に痛みがなく、連続歩行ができる人におすすめ
  • ※段差には不向きなので、階段の多い家などには向かない
前腕支持タイプ
  • ハンドルが胸の高さまで上がり、そこに肘を置いて使えるタイプ
  • 手首に痛みがある、または握力の弱い人におすすめ
  • 腰の高さにハンドルがあるタイプの歩行器では、安定して歩けない人にも向いている
日常生活に便利なタイプ
  • 歩行器にお盆やトレイがついて、食事やお茶も運べるタイプ

屋内用歩行器は、基本的に狭い範囲の歩行であることを念頭に置き、自宅に階段や段差が多いか少ないか、腰までの高さのハンドルが使いやすいかどうか、などによって変わります。また、お茶やお菓子など物を運ぶことが多い人は、お盆やトレイつきのものもおすすめです。

では、屋外用の歩行器にはどんなものがあるのでしょうか。

買い物に便利なタイプ
  • スーパーの買い物かごを本体の上に乗せられるほか、大容量のバッグがついて持ち帰りもしやすい
公共交通機関の移動がしやすいタイプ
  • 本体が軽く、コンパクトに折り畳める。バスや電車でよく移動するという人に
転倒のリスクを軽減するタイプ
  • 手動または電動でスピードを調整できる歩行器を使う
  • 坂道や傾斜面、身体状況によって歩行器のスピードについていけない、という状況になりにくい

屋外用の歩行器は、上記のように「どこに、何をしに行くのか」によって変わります。悪路が多い場合は転倒リスクを軽減できるタイプを、買い物に行くことが多いならバッグがついているものを選ぶと良いでしょう。

歩行器は何を基準に選べばいいの?

歩行器を選ぶ時のポイントには、主に以下の5つがあります。

安定性
  • 歩行器を選ぶ上で、もっとも重要なポイントと言える
  • 使用者が歩行器に両手や両肘をついたとき、身体をしっかり支えられ、バランスが取れるものを選ぶ
  • 体格に合った歩行器を選べば、安全でスムーズに歩ける
使う場所
  • 屋内で使う場合、リハビリ施設で使われるような安定性の高い歩行器を選ぶ
  • 屋外で使う場合、坂道や段差など路面の状況に対応した歩行器や、座面がある車輪付き歩行器が向いている
  • ※歩行器でも、ブレーキや足踏みレバーなどを使えば、小さな段差なら乗り越えられる
使用者の体力や身体状況
  • 背の高さや体格、筋力、腰の曲がり具合、歩行レベルなどを十分考慮する
  • 正しい歩行姿勢を保てるか、身体を安心して預けられるか、などもチェック
腕を伸ばした状態で身体を支えられるかどうか
  • 歩行器は上半身を支えながら歩行をサポートする器具なので、腕をめいっぱい伸ばした状態でしっかり身体を支えられることを確認する
  • 前傾姿勢になりすぎたり、体重を預けると不安になったりする歩行器は身体に負荷がかかるため、避けた方が良い
  • 体重を支えるとき、腕を伸ばすのか、肘を曲げた状態なのかによっても変わるので、必ず実際に持ってみて確かめる
高さ調節機能はあるか
  • 高齢者の身体状況は日々変わっていくので、高さ調節機能があるものを選ぶ
  • 使用者の身長や体格に合わせ、こまめに高さを調節する
  • ※普通に立っている状態でやや肘が曲がり、少し前傾姿勢になるくらいが最適とされる

また、歩行器はシルバーカー(四輪カートに押し手がついた形状のもの)とは少し異なりますので、注意が必要です。歩行器は筋力が低下したり、痛みがあったりして歩行が難しい人が使うものですが、シルバーカーはまだ歩行能力が高く残っている人に向いています。物を持ち運ぶ機能が重視されますので、身体を支える力は歩行器よりも低いのです。

そのため、シルバーカーに体重をかけようとすると転倒する危険も高いですから、歩行能力が大きく低下している人が選ぶ場合、シルバーカーは避けておいた方が良いでしょう。

おわりに:高齢者の歩行器は、身体能力や目的に合わせて種類が異なる

高齢者の歩行器は、使う本人の歩行能力や使用目的に応じて、いくつかの種類があります。例えば、股関節や足を痛めていてスムーズに歩けない人には、キャスターのない四脚歩行器や交互型歩行器がおすすめです。

一方、外出時の転倒リスクを下げたいなら、スピード調整ができるモーター付きやブレーキ付きの歩行器がおすすめです。本人の生活スタイルに合わせ、屋内用・屋外用の歩行器をそれぞれ選びましょう。

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