高齢者の下痢の原因は?下痢のときは何を食べればいい?

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風邪を引いたときや、なんとなくお腹の調子が悪いとき、便が水っぽくなってしまう「下痢」の状態になることがあります。下痢は赤ちゃんから高齢者まで、どの年代でもよく起こりうる体調不良の1つですが、あまりに長く続くと脱水症状や栄養障害を引き起こすこともあります。

この下痢が高齢者に起こる場合、その原因はどんなことが考えられるのでしょうか。そして、下痢のときにはどんなものを食べれば良いのでしょうか。

高齢者の下痢はなぜ起こるの?

「下痢」とは、便の水分量が極端に増し、泥や水のようになった状態のことを指します。下痢になると、多くの場合排便の回数も増えますので、脱水やおむつかぶれ、拭きすぎによる皮膚のただれが起こりやすくなります。また、高齢者では食事量が減少していることに加え、電解質を排出してしまうことによる栄養不足などが起こることもあります。

こうした下痢が起こる原因としては、以下のようなことが考えられます。

  • 風邪
  • ノロウイルスなどによる食中毒や、感染性胃腸炎
  • 過敏性腸症候群、吸収不良症候群
  • 消化管の活動が活発に行われなくなり、内臓機能が低下した
  • その他(体の冷え、栄養剤を通る医療材料の不衛生、乳糖不耐症、薬剤性など)

とくに、冬場には感染性胃腸炎が年代を問わず大流行しますが、学校や社会福祉施設などの集団生活の場で大規模な流行が起こると被害の規模も非常に大きくなりますので、冬には予防対策をしっかり行いましょう。原因となるウイルスはノロウイルスの他、ロタウイルスなどがあり、下痢の他に嘔吐や腹痛、発熱などの症状が見られます。感染経路は、以下のように人から人へ、または汚染された食品を通じてなどが多いです。

  • 感染者の便や吐瀉物に触れた手や指を介し、ウイルスが口に入った場合
  • 便や吐瀉物が乾燥して細かい塵となって舞い上がり、その塵を吸い込んでしまった場合
  • 感染者が十分に手指を消毒せずに調理したことで汚染された食品を食べた場合
  • ノロウイルスを内臓に取り込んだカキやシジミなどの二枚貝を、生や不十分な加熱処理のままで食べた場合

こうしたウイルスなどの病原体への感染や、自分から他人への二次感染を防ぐためには、まず手をしっかり洗うことが大切です。とくに、調理の前や食事の前には石鹸などで十分に手を洗いましょう。感染者の便や吐瀉物を処理するときには、使い捨て手袋・マスク・エプロンなどを着用して病原体に触れたり吸い込んだりしないよう注意し、処理後も石鹸などで十分に手を洗いましょう。

この他の急性下痢の原因としては、暴飲暴食・刺激物やアルコールの摂りすぎなど生活習慣の乱れによるもの、疾患によるものなどがあります。下痢そのものは比較的よく起こる体調不良の1つですから、起こっても深く気に留めない人が多いですが、まれに生命に関わる疾患が隠れている場合があります。

例えば、細菌感染が重症化した「敗血症」や、心筋梗塞・大動脈瘤の破裂・胃腸からの出血などの初期症状が下痢である、という場合です。このような重篤な疾患が背後にある下痢の場合は、下痢とともに腹痛や胸痛、血圧低下、ショック症状など他の症状が同時に現れますので、下痢以外にもこれらの複数の症状が現れている場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

一方、過敏性腸症候群や内臓機能の低下による下痢の場合、他の症状は現れないものの、慢性的に続く下痢となることもあります。過敏性腸症候群は、腸そのものには全く異常が見られないにも関わらず、腸の動きや分泌機能に異常が現れるもので、ストレスなどの心理的な要因が原因の1つと考えられています。

腸に異常がある場合の慢性下痢は、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)や大腸がんなどの腫瘍が原因として挙げられます。こうした場合は急性下痢の場合と同様、下痢の他にも体重減少や発熱などの症状が同時に現れることが多いため、下痢以外の症状がある場合にはできるだけ早く医療機関を受診しましょう。

下痢のときの食事内容と水分補給の注意点は?

下痢の症状が出ると、排便回数の増加や水分吸収量の減少などにより、栄養分や水分が不足しやすくなります。そこで、上手に栄養分や水分を補給し、体に取り込まなくてはなりません。基本的には消化の良い食事を摂り、辛いものや炭酸など刺激の強いものや食物繊維(消化が悪く、腸に負担がかかる)の多いもの、冷たいものは避けましょう

具体的には、以下のような内容の食事を摂るのがおすすめです。

主食
白いご飯、食パン、よく煮たうどん、お粥など
主菜
白身魚、ささみなど脂身の少ない肉、豆腐、きなこ、半熟卵など
副菜
白菜、人参、大根、冬瓜など食物繊維の少ない野菜
果物
缶詰になっているものや、よく煮たもの
乳製品
温めた牛乳、ヨーグルトなど
その他
くず湯、プリン、マシュマロ、ビスケットなど消化に良く、食べやすいもの

玄米や雑穀米などは、健康なときにはさまざまな栄養素が摂れて体に良いのですが、下痢のときには豊富な食物繊維が消化に悪く、胃腸に大きな負担をかけてしまいます。小麦ブランなどを含むパンも同じで、下痢のときには良くありません。白いご飯や白い食パンを食べるようにしましょう。また、ご飯を食べやすく煮込んだお粥もおすすめです

副菜には野菜がおすすめですが、この野菜もごぼうやほうれん草などのように食物繊維が多いものは避け、白菜や人参のように食物繊維が少なめの野菜を中心に、煮込むなど火を通して食べやすくしたものを摂取しましょう。同じ理由で、果物も缶詰になったものや、よく煮てあるものが良いでしょう。

また、下痢のときには体内から急激に水分や電解質が失われますので、水分を摂取するときにはナトリウムも一緒に補給できる経口補水液などを摂取しましょう。感染症などで吐き気がある場合は、温めてあると吐き気を誘引してしまうこともありますので、常温のまま飲むようにしましょう。口から飲めない場合は点滴で補給する方法もありますので、飲むのが難しい場合は主治医に相談してみましょう。

おわりに:高齢者の下痢は風邪や感染症の他、内臓機能の低下や疾患によるものも

高齢者に起こる下痢は、若年者と同じように風邪や感染症によるものが多いですが、近年増えてきている過敏性腸症候群のほか、内臓機能の低下や体の冷え、薬剤の副作用などが原因となっていることもあります。

とくに、冬場は感染性胃腸炎が流行しやすいため、予防対策をしっかり行いましょう。また、下痢になってしまった場合は消化の良い食事を摂り、経口補水液などで水分と電解質を補給することが大切です。

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