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高齢者が便秘になりやすいのはなぜ?改善はできるの?

介護

便秘は若い人でも非常に辛いものですが、高齢になっていくにつれ、体のさまざまな部分が衰えたり、食が細くなったりして、より便秘が起こりやすくなります。高齢者では若年者よりも体力や筋力が少ないため、一度便秘になると辛さも長引いてしまいます。

そこで、この記事では高齢者に便秘が起こりやすい理由と、その解消法について詳しく見ていきましょう。

高齢者の便秘の原因とは?

高齢者に便秘が起こりやすいのは、加齢によって食事量や日常生活動作(ADL)が減ったり、体の機能が低下したりすることが原因と考えられます。食事量や水分の摂取量が減ると便は固くなり、排便の頻度も減って2〜3日に1度となります。腸内に便が長時間とどまっていると、どんどん水分が吸収されて固くなり、筋力も衰えているためその固い便を排出しにくくなるのです。

便が直腸や肛門など、便の出口に到達すると、周辺の筋肉を緩ませて排便を促す作用があります。しかし、加齢で筋肉が衰えると排便しにくくなってきます。とくに、高齢の男性では筋肉の衰えから慢性便秘になりやすくなるため、60代になると便秘になる男性が増えてきて、80代になると女性よりも男性の便秘患者さんの方が多くなります。

他にも、加齢による以下のような生理機能の低下が便秘を引き起こします。

  • 身体活動や食事摂取量が低下し、腸の内容物が減って腸への刺激が減り、血流が減ってぜん動運動も低下する
  • 腸管の筋層が萎縮したり、大腸を支える組織が緊張したり、運動が低下したりする
  • 大腸憩室のスペースが増え、腸管壁が緩んでしまう
  • 腸に集まっている神経が変化する
  • 腸管からの分泌が減り、便がより固くなる
  • 腸管の内腔が広がったり、曲がる部分に異常が起こったりする
  • 直腸壁が鈍くなり、排便反射が起こりにくくなる
  • 浣腸や下剤を多く使うようになり、習慣化して自力で排便できなくなる

このほか、消化管にがんができたり、憩室炎などによって臓器に癒着が起こったりといった物理的な問題によって便が腸の中を通り抜けられなくなり、便秘が起こることもあります。また、糖尿病・脳血管障害・甲状腺機能低下症などの全身疾患の一部の症状として便秘が引き起こされることもあります。

さらに、心血管系疾患・消化器疾患・神経疾患などに対する治療薬が複数投与されていると、薬剤性の便秘になってしまうこともあります。気になる症状があれば、主治医に相談してみましょう。

慢性の便秘の基準って?

慢性便秘には大きく分けて「排便回数の減少」と「排便困難症」の2つの症状が見られます。具体的には、以下のような症状があると排便困難症と考えられます。

  • いきまないと便が出ない
  • 兎塊状便(ウサギの便のようにコロコロとした便)または硬便
  • 残便感
  • 腸が詰まった感じ
  • 4回に1回以上は摘便(肛門に手などを入れて便を掻き出す)している
  • 何度もトイレに行ってしまう

排便回数の減少とは、以前と比べて排便回数が減ったと感じるほか、排便回数が週3回未満になることを指します。60歳以上の高齢者では、食事量の減少から排便回数が2〜3日に1回でもそれほど神経質になる必要はありませんが、排便困難症は非常に大きな問題です。上記のような症状が見られるようなら、早めに医療機関を受診して医師の診察を受けましょう。

高齢者の便秘はどうすれば対処できる?

高齢者の便秘も、若年者と同じように生活習慣からある程度改善することができます。具体的には、以下のようなポイントに注意しましょう。

朝食後、トイレに座る習慣をつける
  • 胃に食べ物や水分が入ってくると「胃・大腸反射」が起き、大腸のぜん動運動が始まる
  • 朝食後はこの反射が起きやすいため、ここで意識して排便習慣をつける
  • 便意がなくてもトイレへ行き、多少時間をかけても排便を待つのがポイント
適度な水分・食物繊維を摂取できるよう、野菜を豊富に食べる
  • 水分が不足すると便秘になりやすいため、十分に水分を摂取する
  • このときの水分は糖分の多いジュース類や利尿作用のある緑茶・コーヒーなどではなく、水道水やミネラルウォーターなどがおすすめ
  • 食事では、食物繊維の多い野菜を十分に摂取し、便を柔らかくして腸を刺激する
  • 脂質や果物、海藻なども適度にメニューに取り入れる
散歩や体操などの運動習慣をつける
  • 運動不足では新陳代謝が落ちてしまい、便秘を悪化させてしまう
  • 適度な全身運動をすると、腸に良い刺激が与えられる
  • 高齢者の場合は散歩や体操などの軽い運動でも効果が期待できる
  • 歩くのが難しいなら、朝、横になったままで手足を動かす運動や腹式呼吸をするのもおすすめ

上記のような生活習慣を心がけ、便秘の予防や改善をしていきましょう。しかし、もし既に便秘が起こっていて、とくにつらいという場合は、腸に刺激を与えて排便を促す「の」の字のマッサージを行うと良いでしょう。手のひらで衣服の上からお腹をそっとおさえ、時計回りに「の」の字を描くように何回も動かしていきます。

また、温水洗浄便座があるお家なら、便座のシャワーで肛門付近を刺激し、排便を促す方法もあります。洗浄水が肛門から直腸内に入ることで、排便反射を促す効果も期待できます。この方法を行うときは、便座に座ったときに場所を調節しやすい、排便しやすい姿勢をとれるよう、手すりを用意しておきましょう。

市販の浣腸や下剤をまず使う人も多いのですが、高齢者の便秘にはさまざまな要因が考えられますので、安易に浣腸や下剤を使っても改善しないこともあり、また使いすぎると自力で排便できなくなってしまうことも考えられます。ですから、便秘が何日も続いてしまったり、本人が苦しがっていたりする場合はできるだけ早く病院を受診し、医師の診察と指示のもとで薬を使いましょう。

おわりに:高齢者の便秘は生理的な機能低下が大きいため、生活習慣で改善しよう

高齢者に便秘が起こりやすいのは、食事量や水分摂取量が減って排便の回数も減り、便が少なく固くなることや、筋力の衰えや内臓機能の低下によって排便しにくくなることが原因として挙げられます。

改善のためには、排便習慣や運動習慣をつけること、水分や食物繊維の摂取を心がけることが重要です。また、市販の浣腸や下剤などの薬剤を安易に使わず、つらいときは医師の診察を受けましょう。

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