高齢者の骨折は、どうやって防げばいいの?

介護

高齢者は、若年者と比べてちょっとした衝撃でも骨折しやすい傾向にあります。加齢によって身体の柔軟性が失われている、骨や関節がもろくなっている、など原因はさまざまですが、骨折すると自由に歩き回れなくなってしまうことも多く、生活の質が大きく低下してしまいます。

そこで、高齢者の骨折を防ぐために、どんなことに注意すれば良いのか見ていきましょう。高齢者の骨折に多い特徴と合わせて、その対策をご紹介します。

高齢者の骨折の特徴とは?

高齢者は、ちょっとした転倒が骨折につながることも少なくありません。これは、加齢とともに筋力が低下し、歩く時に足が十分に上がらず、段差や障害に簡単につまずいてしまうことに加え、年齢を重ねて骨がもろくなっているため、衝撃を受けるとすぐに骨が欠けたり折れたりしてしまうからです。

骨は古くなると破壊され、破壊されると同時に新しい骨が作られる「骨代謝」という破壊と再生を常に繰り返しています。骨代謝のバランスが取れている状態であれば、骨はいつでも健康で丈夫な状態であり、簡単には欠けたり折れたりしません。しかし、さまざまな要因によって破壊される骨の量が増えたり、作られる新しい骨の量が減ったりすると、骨の密度(骨密度)が低下していき、やがてスカスカになってしまう「骨粗鬆症」という状態になってしまいます。

骨粗鬆症になるのは、男性よりも女性の方が多いです。これは、女性には閉経というホルモンバランスが大幅に変化する時期があるためで、この時期を過ぎると急激に骨密度が減少することによります。そのため、閉経後の女性はとくに転倒に気をつけなくてはなりません。骨粗鬆症は初期には自覚症状がありませんが、「身長が縮んだ」「背中や腰が曲がってきた」「立ち上がるときに背中や腰が痛む」などの症状が現れてきたら、骨粗鬆症の可能性が高いと考えられます。

また、高齢者に多い骨折の部位としては、以下のような箇所が挙げられます。

  • 太ももの付け根(股関節または大腿骨近位部)
  • 腕の付け根(上腕骨近位部)
  • 手首(橈骨末端部)
  • 背骨(脊椎)

とくに、股関節(大腿骨近位部)にあたる太ももの付け根を骨折すると、立ち上がったり歩いたりすることができなくなってしまい、要介護や寝たきりになるリスクが非常に高まります。日頃から骨折しないよう、十分な注意や対策をしておきましょう。

高齢者の骨折を予防するためにできる対策は?

高齢者の骨折を予防するためには「転倒しないための身体づくり」「骨折しないための骨づくり」「転倒しないための環境づくり」の3つの対策ができます。それぞれの対策方法について、より詳しく見ていきましょう。

転倒しないための身体を作ろう

たとえ骨がもろくなっていても、転倒による衝撃が加わらなければ骨折にまで至らないで済む可能性があります。そこで、まずは転倒しないための身体づくりから始めましょう。転倒しやすい人の多くは、足腰の筋力が衰えていて、バランスをうまく取れなくなっているために点灯しやすくなっていると考えられます。

そこで、簡単な運動や筋力トレーニングを毎日続けることで、筋力の維持や増強をはかりましょう。例えば、以下のような2つの筋力トレーニングは、誰でも簡単にすぐ行えるのでおすすめです。

片脚立ち(ダイナミックフラミンゴ療法)
  • 椅子や机などを支えにしながら、片脚で立つ(左右1分間ずつ、1日3回)
  • ※歩行に必要な筋力や、バランス能力をアップするとともに、大腿骨を鍛えられる
膝伸ばし(大腿四頭筋訓練)
  • 椅子に座って片方の膝を伸ばし、5秒間力を入れてキープした後、ゆっくり元に戻す
  • 左右20回ずつ、1日2回行う
  • ※歩行に必要な筋力をアップできる

これらの運動は、できる範囲で毎日行うことが大切です。ですから、最初は1分間片脚立ちが難しい、という人は、10秒や20秒からスタートしても構いませんし、20回は脚が筋肉痛で辛い、という場合は、10回からスタートしても構いません。大切なのは、毎日根気よく継続することです。

また、トレーニングを行っているときに転倒してしまっては元も子もありませんので、必ず転倒しないような安全な場所で行いましょう。膝に痛みがある時や体調の悪い時には行わないなど、無理をしないことも重要です。そして、トレーニング中は自然な呼吸を心がけ、息を止めないで行いましょう。

もし、既に膝の痛みや腰痛、骨折の既往歴があるという人の場合、むやみに運動を始めず、まず整形外科医に相談して、無理のない範囲で運動を始めましょう。関節や骨が痛んでいる人が自己判断でこれらの運動を行うと、かえって症状を悪化させてしまうこともあります。

骨折しない、丈夫な骨を作ろう

骨粗鬆症が進行して骨がスカスカになってしまうと、ほんのちょっと転びかけて手をついただけで手首を骨折してしまう、というようなことも起こってしまいます。そこで、丈夫な骨を作るためのカルシウムや、カルシウムの吸収を助けるビタミンD、ビタミンKなどを十分に摂取することで、骨の再生をサポートしましょう。

目安としては、1日800〜1000mgのカルシウムを摂取するのが良いでしょう。例えば、以下のような食品と量で、それぞれカルシウムが200mgずつ摂取できます。これらの食材を上手に組み合わせ、1日を通して800mg〜1000mgのカルシウムを摂取できるようにすると良いでしょう。

  • 牛乳…200cc
  • ヨーグルト…200cc
  • しらす…30g
  • めざし…3尾
  • にぼし…10g
  • ゆでた小松菜…100g
  • 豆腐…1/2丁
  • ごま…大さじ2杯

また、以下のような食品には、ビタミンDやビタミンKが多く含まれています。カルシウムを多く含む食品とともに、これらの食品も食事に摂り入れていきましょう。

ビタミンDを多く含む食品
いわし・かつお・卵・レバー・干し椎茸・切り干し大根など
ビタミンKを多く含む食品
納豆・ほうれん草・わかめ・ひじきなど

食事から摂取したカルシウムを骨に定着させるには、運動も必要不可欠です。そこで、こうした食生活からのカルシウム摂取と、上記でご紹介した筋力トレーニングなどの運動を同時に行うと、骨づくりと身体づくりのどちらにも効果的です。できる運動から少しずつ、毎日続けていきましょう。

また、カルシウムの吸収を助ける「ビタミンD」は、食品から摂取する他にも、日光を浴びて体内で合成することもできます。もちろん、日焼けするような強い日光を長時間浴びる必要は全くありません。散歩がてら顔や手に適度な日光を浴びる程度で十分です。

その他、喫煙や過度な飲酒は骨粗鬆症を促進し、骨折のリスクを高めてしまいます。お酒は控えめに、タバコはできるだけ禁煙しましょう。

ただし、これらの食生活の見直しは、糖尿病などで食事指導を受けている人の場合、自分で勝手に変更してはいけません。医師から既に生活指導を受けている場合は、まず医師に相談しましょう

転倒しない環境を作ろう

外出するときは誰でも十分周囲に気を配っていることでしょうが、実は高齢者の骨折場所として多いのは自宅の中なのです。慣れた場所で油断してしまうことはもちろん、敷居や床に置かれたコードなどのちょっとした障害物が転倒の原因になります。また、暗い廊下を歩くときに足元が見えないと、それだけでもつまずきやすくなります。こうした事態を防ぐため、以下のような工夫をしましょう。

  • 敷居はまたがずしっかり踏んで歩き、段差があることを意識する
  • 電気コードは、人が通らない端や隅に寄せる
  • 足元に物を置かず、普段から整理整頓を心がける
  • 廊下などの足元が暗くなりやすい場所には、足元にライトをつける
  • お風呂場やトイレには手すりをつけたり、滑り止めのマットを敷いたりする
  • カーペットの端がめくれないよう、両面テープで固定しておく(※カーペットをそもそも敷かないのも良い)

また、外出時には足にフィットした歩きやすい靴を履き、サンダルやスリッパは避けることも大切です。サンダルやスリッパは転倒しやすい履き物ですから、庭などにちょっと出るときには面倒かもしれませんが、できるだけ靴を履くようにしましょう。雨の日や雪の日など、足元が悪い日の外出は避けることも重要です。

転倒・骨折を防ぐためには、補助具として杖を使って歩いたり、ヒッププロテクターという大腿骨を転倒の衝撃から守るクッションが入っているスパッツを履いて移動したりするのもおすすめです。市町村などの自治体が転倒・骨折予防の教室を開いていることもありますので、こうしたサービスを利用して知識をつけておくのも良いでしょう。

高齢者の場合、服用中の薬の副作用でふらついて転倒してしまうこともあります。薬によるめまいやふらつきがある場合は無理に動き回らないようにするとともに、早めに主治医に相談し、転倒しないような対策を取りましょう。

おわりに:高齢者の骨折は、身体や骨の強化と環境調整によって予防しよう

高齢になってくると、筋力の衰えやバランス感覚の低下によって転倒しやすくなることに加え、骨がもろくなる「骨粗鬆症」という症状が進行して少しの衝撃でも欠けたり折れたりしやすくなり、骨折しやすくなってしまうのです。

そこで、筋トレを含む運動による身体づくり、カルシウムの十分な摂取による骨づくり、転倒しないような環境づくりの3点から骨折を予防しましょう。補助具や公的サービスを利用するのもおすすめです。

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