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清拭の正しい手順と大切な目的とは?

介護

清拭とは、文字通り体を清潔に保つために拭くことを指します。体力や疾患などの影響で、自分で入浴したり体を洗ったりするのが難しい高齢者にとって、清拭は重要な役割を持っています。

では、清拭の大切な目的とは、体を清潔にすること以外にどんなことがあるのでしょうか。また、正しい手順で行うには、どんな順番でどんなポイントに気をつければ良いのでしょうか。介護で避けては通れない清拭についてご紹介します。

清拭の目的は体をキレイにするだけじゃない?

清拭とは、お湯を絞ったタオルなどで体を拭き、清潔な状態を保つことを指します。とくに、入浴ができないときは蒸しタオルで体を拭くだけでもさっぱりとした気持ちになりますし、体を拭くことで血行も促進され、床ずれや細菌感染の予防にもなります。他にも、清拭には以下のような目的があります。

  • 皮膚や爪の状態を確認し、異常を早めに発見する
  • 爽快感やリラックス、安眠などの効果が得られる
  • 腸のぜん動運動を促し、便秘を予防する
  • 体の清潔を保つことで、外出や社会活動に参加するモチベーションを高める

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清拭をする前に必要な準備は?

清拭を始める前に、まず以下のようなものを準備しましょう。

  • 蒸しタオル4〜5枚(最低限、身体用・洗顔用・陰部用の3枚が必要)
  • 乾いたタオル3〜4枚(最低限、上記と同じ3枚は必要)
  • 石鹸やボディソープ
  • 洗面器
  • 使い捨て手袋(陰部洗浄時や、感染症時に使う)
  • ビニールシート
  • 着替え一式
  • 陰部洗浄ボトル(必要があれば)
  • 保湿剤やパウダー(必要があれば)

蒸しタオルは作ってから時間が経つとどんどん冷たくなっていってしまいますので、使うときに準備します。具体的には、タオルを55℃くらいのお湯で温めて固く絞るか、水で濡らして固く絞ったタオルをビニール袋に入れ、電子レンジ500〜600Wで3分程度温めましょう。そして、以下のように準備を行います。

  1. 清拭を行うことを本人に伝え、了承を得る(体調が変わりやすい空腹時や満腹時は避ける)
  2. トイレに行ってもらい、排泄を済ませておく
  3. 室温を25℃程度に保ち、すきま風が入らないよう気をつける
  4. 羞恥心やプライバシーに配慮し、カーテンや扉などは閉めておく
  5. 介助を受ける本人の体にバスタオルをかけるなどして保温し、肌の露出を避けるとともに、介助者の手も温めておく

拭く順番と拭くときの注意点は?

実際に清拭を行うときは蒸しタオルを使い、自尊心を傷つけるような言動を行わないよう十分注意しながら、コミュニケーションの場として楽しく会話しながら行いましょう。拭いている最中にタオルが広がりすぎないよう注意し、汚れを取り終わったタオルはいったんビニール袋に入れておきます。

清拭の基本的な順番としては、以下のように上から順、前から後ろへと行います。

顔や首
  • 洗顔用タオルを使い、両目のちょうど中央部分、目頭から目尻に向かって拭く
  • 額や鼻を拭いた後、頬を口から外側に向けて拭き、小鼻や耳の裏も忘れずに拭く
  • 首はとくに汚れや垢が溜まりやすいため、念入りに拭く
腕や手
  • 手首を軽く持ち、手から肩へ向けて優しく拭いていく。力の入れすぎに注意
  • 指の間やひじの内側、脇の下も忘れず念入りに拭く。ひじは関節を支えながら行う
胸やお腹
  • 寒くないよう、下半身をバスタオルで覆いながら行う
  • 胸は円を描くように拭き、腹は中心であるへそのあたりから円を描いてマッサージするように拭く
  • 女性で胸が大きい場合、とくに下部に汚れが溜まりやすいので念入りに拭く
背中・腰・お尻
  • 背中からお尻にかけては体の裏側の部分なため、体位を横向き(側臥位)にして行う
  • 腰から肩に向けて円を描くように拭いていき、お尻も外側から内側へ円を描くように拭く
  • とくにお尻の上あたりは床ずれができやすいため、血行を良くするマッサージの意味もある
両足
  • 上半身をバスタオルなどで覆い、片足ずつ膝を曲げながら、かかとやくるぶしを拭いていく
  • 足首から脚の付け根に向かい、順に拭いていった後、膝の裏・足指の間・足裏を丁寧に拭く
  • 床ずれができかけて赤くなっている部分は、その皮下組織が損傷している可能性もあるため、刺激を与えないようそっと触れる程度にする
陰部
  • 陰部用タオルを使い、基本的には本人に拭いてもらうが、できない場合は介助する
  • 男性は陰茎→陰のう→肛門の順に拭き、陰茎の包皮やしわの間は汚れが溜まりやすいためとくにしっかり拭き取る
  • 女性は恥骨から肛門へ向けて一方向に拭き、汚れが溜まりやすい大陰唇・小陰唇はとくにしっかり拭き取る
  • 終わった後は皮膚の状態に応じ、保湿剤やパウダーなどを使う
  • ※汚れが多いときは石鹸・ボディソープ・陰洗ボトルなどを使って洗浄する

清拭は、する側もされる側も非常に体力を使います。ですから、清拭される本人の体調が優れないなどの理由で一度に全身を拭けない場合は、胸・手・足などの部分清拭を数日に分けて行いましょう。また、蒸しタオルなどではなく使い捨ての清拭用ウェットタオルなどを使うと、介助者の負担を減らすこともできます。皮膚の状態をよく考慮し、上手に活用しましょう。

また、清拭の際に床ずれや湿疹、外傷など皮膚に異常が起こっていないかどうかを確認することも重要です。プライバシーには配慮が必要ですが、傷や疾患の早期発見のための観察はしっかり行いましょう。感染症予防のためにもタオルは多めに用意し、拭くタオルの面は一回ごとに変え、同じ面で二回以上拭かないよう気をつけましょう。

ベッドで寝たまま洗髪をしたいという場合、ドライシャンプーがおすすめです。髪を蒸しタオルで1〜2分間包んでしっかりと蒸し、ドライシャンプーを使って指の腹で頭皮をマッサージします。最後に蒸しタオルでドライシャンプーを拭き取り、乾いたタオルで水分を拭き取った後、ドライヤーをかけて終わりです。頭皮の血行が良くなると眠りにもつきやすくなりますので、本人の希望があればぜひおすすめです。

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おわりに:清拭は爽快感や血行改善にも。上から下、前から後ろを基本として行う

身体清拭は、もちろん体を清潔にすることが最も重要な目的なのですが、他にもさっぱりとした爽快感で気分を良くしたり、外出や社会活動のモチベーションを高めたり、血行を良くしたりとさまざまな目的があります。

手順としては、顔や首からスタートし、上から下、前から後ろを基本として行いましょう。また、清拭はされる側も体力を消耗しますので、全身を一度に拭けない場合は部分清拭を数日間かけて行っても構いません。

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