介護うつを予防するには? 「親が元気なうちに準備」がポイント

老後の不安・悩み

高齢の親の介護に疲れ、介護離職に伴う経済的な困窮や心身のストレスから、「介護うつ」を発症してしまう人は少なくありません。ただ、介護うつの状態になると、「親の介護を今後どうすればいいのか」という問題に対処するエネルギーを絞り出すのも難しくなってしまいます。そうなる前に、予防法を知っておきましょう。

親が元気なうちに、本人の意思や経済状況を確認する

介護はいつ始まるかわかりません。ある日突然親が倒れ、介護と仕事を両立せざるを得ない状況になってしまい、心身の負担から「介護離職」「介護破産」「介護離婚」「介護うつ」等の問題に陥るケースも多いです。最悪の場合、親子で共倒れになってしまいます。

突然の介護から始まる負の連鎖を防ぐためには、「家族が元気なうちに、親の意思や経済状況を確認する」ことが非常に重要です。

まだ元気な親に介護の話をするのには抵抗があったり、親は嫌がったりするかもしれませんが、長生きすれば脳梗塞や心筋梗塞が突然起こり、意思表示が難しい状態になってしまう可能性もあります。
そして準備や心構えがないままいきなり介護をスタートさせると、上記のような問題を引き起こしやすくなります。親と会う機会があったら、さりげなく介護の話題を振ってみましょう(「そういえば、今友人が親の介護をしているんだけど」等の身近な切り口で良いと思います)。

どういう介護が理想か、親の考えを聞く

介護に対する親の考えは、必ずしも子供の考えとは一致するとは限りません。勝手に決めつけることはせず、「もし介護が必要になったら、どうしたい?」とざっくばらんに親の考えを聞いてみましょう。

できれば、下記のような具体的な意見を引き出すことが望ましいです。

今住んでいる家で在宅介護を受けたい
家をリフォームして、生活しやすい環境を整えたい
家族と同居したい
施設に入りたい

親の預貯金や年金収入を確認する

お金の話は切り出しにくいかもしれませんが、もし介護サービスを利用したり、病気や怪我で入院・通院が必要になったりしたら、当然費用がかかります。その際は親の預貯金や年金で賄うことになるので、具体的な金額を確認しておくことが大切です。預貯金額に応じて、親が理想とする介護が実現可能かどうかは大きく変わっていきます。

もし親のお金が少ないようであれば、子供が賄う必要性も出てきますが、子供の預貯金額や収入によっては親の理想の介護が難しいケースもあります。働き盛りの子供が介護離職をしてしまった場合は、金銭的困窮でさらに介護サービスを受けにくくなってしまいます。

介護離職に伴う子供の経済的・心理的負担を避けるためには、「親の貯金や年金で介護費用を賄う」のが原則的な考えです(厚生労働省「仕事と介護 両立のポイント」)。それを考慮した上で、下記の点も確認しておきましょう。

銀行の通帳や印鑑の置き場所
権利証などの重要書類、資産の有無
生命保険への加入の有無(加入している場合は、加入証書の置き場所)
介護保険証の置き場所

配偶者や兄弟姉妹に、介護の役割分担を確認する

親の意思や経済状況を確認したら、次に配偶者や兄弟姉妹で「親の介護が必要になった時、それぞれどう役割分担をするか」話し合う機会を設けましょう。

実は介護を巡るトラブルは、兄弟姉妹や配偶者との間で起こりやすいです。
「介護は女性の仕事」「介護は長男の妻がすべき」「自分は仕事で忙しい」「子育てで忙しい」等の理由でお互いに介護をする余裕がないと言い合い、仕方なく介護を引き受けた一人に負担が集中するケースは多いものです。

すると介護を引き受けた唯一の人には、「他の兄弟姉妹は口だけ出して、サポートも費用援助もしてくれない」「夫から義父母の介護を任せられ、離職してお金も心身もすり減らした」等の不満が溜まり、介護離職や介護破産、介護離婚、そして介護うつ等の他の問題が引き起こされる恐れもあります。

こうした展開を避けるためには、配偶者や兄弟と下記のポイントについて事前に話し合うことが大切です。

親の介護に対する本音を話し合う

「誰が介護をするか」という話をいきなりすると、それぞれ自分が忙しいと主張し合い、口論になってしまうことがあります。まずは親の介護についてどう思うか、自分はどう関わりたいか、お互い本音を話し合い、理解し合うことに努めましょう。

できるサポートを確認する

配偶者や兄弟姉妹間では、介護に対する見方はもちろん、仕事や収入、生活状況もそれぞれ違います。お互いの金銭的・時間的・心身的余裕を確認し合った上で、いざ親の介護が必要になった時にそれぞれできるサポートは何か、具体的に話し合いましょう。

それぞれの役割を明確にする

親が介護サービスを受けることになった場合は、子供や親類の誰かが「主介護者」となって、ケアマネージャーや介護施設と連絡を取り、親の介護を主にサポートすることになります。

負担の大きい主介護者が介護うつや介護離職に陥らないためには、配偶者や兄弟姉妹からのサポートが欠かせません。主介護者以外も週末だけは手伝う、介護休暇や介護休業を取得するようにする、資金援助をする等、それぞれの役割やできることをはっきりさせるのが大切です。

介護うつを予防するために

もし今、一人で親の介護をしつつ仕事をしている人の場合、なるべく避けたいのが「介護離職」や「介護うつの発症」です。未然に予防するために、下記のポイントを押さえておきましょう。

介護離職の前に、介護休暇や介護休業の活用を

介護と仕事の両立は大変なのは事実ですが、それで離職してしまうと経済的に困窮し、民間の介護サービスを受けられない状態になり、ますます心身ストレスが溜まって介護うつを発症してしまうこともあります。

いきなり離職するのではなく、まず職場の上司や同僚に「今自分が親の介護をしている」という事情を伝えた上で、「介護休暇(家族に介護が必要になった際に取得できる休暇。被介護者1人につき、1年に5日まで取得可能)」や「介護休業(要介護状態の家族1人につき、通算93日まで取得可能な休業制度。事前に「介護休業給付金制度」を申請した場合、給与の約67%が休業中も支給される)」などの支援制度を活用することが望ましいです。

一人で抱え込まず、介護の専門家に相談を

一人で介護を抱え込み、リフレッシュできない状態が続くと、心身ともに疲れ切ってしまいます。終わりの見えない介護を続けるためには、尚更ご自身の心身を労わり、自分の好きなことを我慢しないことも大切です。

このまま介護を継続するのが難しいと少しでも感じたならば、各市区町村に配置されている「地域包括支援センター(高齢者総合相談センター)」や行政の介護相談窓口に問い合わせ、受けられる介護支援等がないか、専門家に相談に乗ってもらいましょう。

もし親が要介護認定を受けた場合は、介護保険サービスを利用できるようになり、ケアマネージャーにケアプランを作成してもらえます。全部自分で背負い込まず、定期的な介護サービスの利用でプロの手も借りながら、自分の幸せな時間もしっかり確保するようにしましょう。

おわりに:介護うつや介護離職を予防するには、事前の準備が重要

高齢化社会の進む日本では、働き盛りの世代も親の介護と仕事の両立に迫られ、介護離職や介護うつなどの問題に直面しやすくなっています。準備が不十分なまま介護を始めると、より負担が大きくなってしまうので、盆や正月など家族が集まる機会を活用し、全員で「親の介護について」話し合う機会を設けましょう。

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