近年、人生100年時代と言われるほどに、私たち日本人の寿命は長くなってきています。
そんな長寿時代に叫ばれるようになっているのが、生涯学習の重要性です。今回は生涯学習とは何か、その意義や重要性、背景にある社会課題までまとめて解説します。
生涯学習には、高齢者にとってどんな意義がある?
年齢にかかわらず、自身の人生と生活をより豊かで有意義なものにしていくために学び続けること、学ぶ内容そのもののことを生涯学習と呼びます。
この定義には、学校や会社の協力で行う組織的な学習の他に、人生を豊かにするためのあらゆる規模、方法、活動内容の学習機会が含まれています。
人生100年時代とされる今、高齢者が生涯学習を受ける意義としては、以下が挙げられるでしょう。
- 高齢者にとっての生涯学習することの意義
- 刻々と変化する社会情勢を理解し対応するため、新しい知識・技術・価値観を知る
- 仕事をしている間には得られなかった、さまざまな立場・年齢の人との交流機会を得る
- 定年退職後の人生を豊かに過ごすべく、今後20年30年続けられる趣味を手に入れる
- 第二、第三の人生のために必要な仕事スキルや、コミュニケーションスキルを手に入れる
- 若い世代、地域とともに行う学習に参加することで、社会や地域の活性化に貢献する
- 自身が過去に得てきた知識や技術を、若い世代に知らせ継承する機会ができる
- 将来的に訪れる死、自身の人生の締めくくり方について考え、学ぶきっかけになる など
人は加齢とともに喪失体験を繰り返し、将来に健康や経済的な不安を抱くようになります。
生涯学習とは新しいことを学んだり、これまでに習得してきたことを若い世代や地域に継承することで、不安を軽減し人生をより豊かにしていこうという取り組みなのです。
生涯学習の一般化のための課題とは?
生涯学習の考え方や意義は、まだまだ一般に広く知られているとは言えません。
年代や地域を問わず、生涯学習を世間に広く浸透させていくためには、以下のような社会的な課題を解決する必要があります。
- 生涯学習一般化のため、解決が必要な社会的課題の例
- そもそも生涯学習になじみがないために、勧誘があってもスルーしてしまう
- 高齢者の一部は身体的、または介護者の事情により、生涯学習を始められない
- 地域からの疎外感、外出へのおっくうさを感じているため、学習機会を得られない
- 提供されている学習の内容が、特定の趣味的分野に偏ってしまい、選択肢が少ない
- 生涯学習を必要とする対象者のニーズと、提供される学習の内容が合っていない
- 生涯学習を広く浸透させるための周知活動を、行政が十分に行えていない
- 学習に適した施設やシステムが、一部地域にしか整備されていない など
すべての人が年齢を重ねても豊かに暮らせるよう、そして今を生きる高齢者・若年者双方が生涯学習の機会を得られるように、少しずつでも課題を解決することが求められます。
おわりに:若年者・高齢者の両方に、生涯学習の機会を提供する必要がある
人生100年とされる時代、60代で定年退職を迎えても、まだ30年前後の時間がのこされています。そんな第二、第三の人生を豊かで自立したものにするために必要と考えられているのが、一生にわたり学ぶ機会を持ち続ける生涯学習の考え方です。しかし、生涯学習の考え方や必要性は一般的に知られておらず、実現させるための社会的課題は多いです。課題解決のためには、生涯学習の概念の認知度上昇や、学習環境の整備が必要でしょう。
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