居宅療養管理指導を受けることには、どんなメリットがあるの?

介護

在宅で介護を受ける高齢者にとって、体調の悪化は大きな問題の一つです。自宅には医療器具もありませんし、家族が医療的措置を行えるとは限りません。また、通院して診察を受けるにも介助が必要です。

そこで、高齢者の体調が悪化したとき、あるいは体調の悪化を予防するために、自宅に医師や看護士などの専門家を呼べるのが「居宅療養管理指導」というサービスです。詳しく見ていきましょう。

居宅療養管理指導ってどんなときに受ければいいの?

居宅療養管理指導とは、環境や身体的な要因によって通院するのが難しい人を対象として、医師や看護師などの専門家が利用者の自宅を訪問し、健康管理や生活指導を行う往診介護サービスのことです。また、これらの専門家から担当のケアマネジャーに連絡し、ケアプランの作成に必要な情報提供なども行うことがあります。

サービスの対象となるのは「要介護1〜5で、65歳以上の高齢者」または、「40〜64歳で、特定疾病によって要介護1〜5の認定を受けた人」です。つまり、端的に言えば「介護保険の対象者のうち、要介護1〜5の認定を受けた人(※要支援は含まない)」のことです。65歳以上の高齢者で、要支援1〜2の場合は「介護予防居宅療養管理指導」という、サービス内容としては同様ですが、目的が「現在の介護度を維持する、あるいは回復する」といったものを受けられます。

居宅管理指導の最大のメリットは、通院が難しい人でも自宅にいながら医療の専門家の健康管理・生活指導などを受けられることです。そのため、通院時の本人の身体的負担はもちろん、介護者の通院介助の負担を減らすことができます。また、呼吸器など、日常的に管理が必要な医療器具を使っている人や、歯や口腔内に問題を抱えている人でも、定期的に専門家のケアを受けられるため、安心して在宅療養ができます。

一方で、自分の意思や希望だけではサービスを利用できず、医師または歯科医師の指示がないと利用できないところが唯一のデメリットと言えます。居宅療養管理指導を受けたいという希望があれば、ぜひ主治医に相談してみましょう。

居宅療養管理指導を受けられる例には、具体的に以下のようなケースがあります。

  • 認知症が進んできた1人暮らしの母が、薬をきちんと飲めているか心配だ
  • なんでも億劫がる認知症の父が歯を磨けているか、虫歯にならないか心配(虫歯になっても、一人で通院はできない)
  • 最近、食が細くなって好きなものしか食べられず、痩せてきた。栄養管理指導をしてほしい
  • ほぼ寝たきりの父を母が介護しているが、薬をもらうための定期的な通院が母にとって大きな負担である

居宅療養管理指導には介護保険が適用されるため、自己負担額は1割〜2割で済み、金銭的に大きな負担にならないことも大きなメリットです。厚生労働省が発表している「介護報酬の算定構造(平成27年2月)」に基づいて算出すると、医師による往診1回につき、平均約500円となっています。ただし、病院の場所によっては交通費が別途かかる場合もありますので、注意しましょう。

また、居宅管理療養指導での往診頻度は月に2回までと上限が決まっています。もし、2回以上往診をしてほしいという場合は別料金がかかりますが、医療保険の適用で利用可能です。その場合、自己負担額は1割〜3割となり、費用がやや高くなる場合もありますので、この点を理解した上で利用しましょう。医師以外の専門職によるケアの場合、一部は月に4回までのケアが可能な場合もあります。

居宅療養管理指導は往診や訪問診療とどう違うの?

居宅療養管理指導とよく似た制度に「訪問看護」「往診」「訪問診療」の3つがあります。これらの4つの制度について、その特徴を見ていきましょう。

居宅療養管理指導
医師や歯科医師、看護師、薬剤師、歯科衛生士などの専門職による
※医師や歯科医師以外による訪問の場合、医師か歯科医師による指示が必要
利用者の自宅に訪れ、利用者とその家族に対して、自宅で生活する上での注意点などを指導する
必要に応じて看護師などから医療行為を受けることはあるが、医師による医療行為は行われない
訪問看護
ケアプランに基づき、看護師や理学療法士などのリハビリ専門職が利用者の自宅に訪れ、医療ケアやリハビリテーションを行う
往診
通院困難な患者(またはその家族)の求めに応じ、医師が患者の自宅に訪れて診療し、必要に応じて医師による医療行為が行われる
状態が悪化したときの臨時的な手段であって、継続的に行うものではない
※救急車を呼ぶほどではないが、容体が急変したり突発的な症状が現れたりした場合に来てもらえる
訪問診療
自宅や施設で療養していて通院が困難な人に対し、定期的(月2回)に医師が自宅や施設に訪問して診療する
必要に応じ、医師による医療行為が行われる

4つの制度の大きな違いは、医療保険か介護保険かという点です。「居宅療養管理指導」と「訪問看護」は「介護保険」の適用内であり、すなわち医師による医療行為はその内容に含まれていません。ですから、医師が訪問する場合もありますが、医師の指示によってその他の医療専門職が訪問することもあり、その内容は「健康管理上のアドバイスや指導」「医療ケアやリハビリテーション」の範囲に留まるのです。

一方で、「往診」と「訪問診療」は「医療保険」の適用内であり、必要に応じて医師による医療行為が含まれます。ですから、いずれも自宅に訪問するのは「医師(※歯科医師を含む)」に限られ、その際、医師からケアマネジャーへ病状などを報告する義務がありません。

「居宅療養管理指導サービスを利用したのに、治療をしてくれない」などの不満や不安を抱えてしまうことのないよう、それぞれのサービスの違いをしっかりと理解して利用するようにしましょう。

どんな管理指導を受けられるの?

居宅療養管理指導の内容は、それぞれの専門職ごとにサービス内容や訪問回数が異なります。

医師・歯科医師(月2回まで)
診断に基づいた継続的な健康管理・生活指導
処方されている薬の服用方法や、副作用に関する指導
使用している医療器具の管理
ケアプランに必要な情報提供
薬剤師(病院または診療所勤務の場合は月2回まで、薬局勤務の場合は月4回まで)
医師の指示を受け、処方されている薬の管理方法や服薬指導・アドバイスを行う
副作用に関する説明を行う
管理栄養士(月2回まで)
医師の指示を受け、栄養バランスを整えるための「栄養ケア計画」を作成する
身体状況に合わせた食事メニュー・調理方法の指導
歯科衛生士(月4回まで)
正しい歯磨きの方法や、義歯の手入れ方法の指導
嚥下機能の維持・回復のためのアドバイス
看護師・保健師(サービス開始から6ヶ月間で2回まで)
療養・介護に関する相談やアドバイスを行う

医師や歯科医師による往診の場合、診断に基づいた継続的な健康管理や指導を中心に行います。処方された薬の服用方法や副作用について説明したり、治療のために使っている医療器具を管理したりします。ケアマネジャーがケアプランを作成するために必要な情報として、病状などを伝えることもサービス内容に含まれています。

薬剤師の場合は、医師の指示に基づいて処方された薬の管理方法や服薬に関するアドバイス、副作用の説明を行います。管理栄養士の場合、医師の指示を受けて栄養バランスを整えるための「栄養ケア計画」を作成したり、食事相談を受けたり、利用者の身体状況に合わせた食事メニューや調理方法を提案・指導したりします。

歯科衛生士の場合、利用者本人やその家族に対し、正しい歯磨きの方法や義歯の洗浄方法、嚥下機能を回復させる重要性や、その訓練方法などに関するアドバイスや指導を行います。他にも、療養や介護に関する相談やアドバイスを看護師・保健師から受けられるサービスもあります。このように、どの職業の人がどの分野に精通しているかを把握しておけば、疑問が湧いたときにもすぐに適切な相手に質問したり、指導をうけたりできます。

おわりに:居宅療養管理指導は、通院が難しい人も安心して在宅療養できる

居宅療養管理指導は、医師や看護師などの医療専門職が利用者の自宅を訪れ、在宅療養のために必要な健康管理・生活指導を中心に行います。医師の治療は行われませんが、必要に応じて医療ケアは行われます。

他にも、薬剤師が薬の管理や服薬の指導を行ったり、管理栄養士が栄養バランスを整えるケア計画を作ったり、歯科衛生士が歯磨きや義歯の手入れ方法を指導したりします。それぞれの専門職の役割をきちんと理解しておきましょう。

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