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地域包括支援センターでは、どんな相談にのってもらえるの?

介護

少子化や高齢化社会が進む日本では、増加する高齢者がいかに元気に、そして健康的に暮らせるか、つまり介護を必要とせず、自立して生活を送れるかということは非常に重要な社会的課題の1つです。

そこで、高齢者が住み慣れた土地で、できるだけ元気に自立して過ごせるよう、さまざまな相談に乗ったり、必要な制度と高齢者を結んだりするのが地域包括支援センターの役割です。詳しく見ていきましょう。

地域包括支援センターってどんな施設?

地域包括支援センターとは、「地域のネットワークづくり」を第一とし、地域の高齢者が住み慣れた地域でのその人らしい生活を安心して続けられるよう、地域住民や関係機関からの相談に総合的に応じるとともに、権利を守ることや、虐待などの問題が起こったときに対応します。また、高齢者が要介護状態になるのをできるだけ防げるように、介護予防支援も行います。

つまり、介護・医療・保健・福祉など、さまざまな面から高齢者の生活をサポートしてくれる「総合相談窓口」である、とも言えます。介護や介護予防のサービスはもちろん、保健福祉や日常生活の困りごとを支援するなどの相談を受けるほか、介護保険の申請窓口の役割も担っています。

設置の主体は各市町村ですが、これらの自治体から委託された社会福祉法人・社会福祉協議会・民間企業などが運営していることもあります。人口2〜3万人程度の日常生活圏の範囲(多くは各中学校の区域)を1つの地域包括支援センターが担当していて、平成30年4月の時点では各市町村に1ヶ所以上、全国に5,079ヶ所の地域包括支援センターが設置されています。

地域包括支援センターは高齢者のための施設ですから、利用の対象者はセンターの担当地域に住んでいる65歳以上の高齢者、またはその支援のための活動に関わっている人です。もし、離れて暮らしている親に対して家族が相談したい、という場合は、高齢者本人が住んでいる場所の地域包括支援センターに問い合わせる必要があります。子供の住んでいる地域のセンターではありませんので、注意しましょう。

地域包括支援センターには以下のような専門家がいて、お互いに連携しながら業務を分担して行っています。

保健師(看護師)
  • 主に介護予防マネジメントを担当する
  • 予防のための給付、介護予防事業のプラン作成、要介護状態になる前の予防、身体状況の悪化防止などを行っている
社会福祉士
  • 主に総合的な相談や支援、高齢者の権利擁護事業について担当する
  • 住民の各種相談への対応、高齢者への虐待防止と早期発見、その他の権利擁護などを行っている
主任ケアマネジャー
  • 主に包括的・継続的なマネジメントを担当している
  • 地域ケア会議の開催、ケアマネジャーの相談や助言、支援が難しい事例などへの指導や助言を行っている

地域包括支援センターに相談できる内容とは?

地域包括支援センターでは、大きく分けて「高齢者の総合相談」「介護予防ケアマネジメント」「高齢者の権利擁護」「包括的・継続的なケアマネジメント」の4つの業務を行っています。具体的には、以下のような内容の相談を行えます。

  1. どこに相談したら良いのかわからない困りごとがあるとき、適切な窓口を教えてもらえる
  2. 高齢者が受けられる福祉サービスの紹介と、申請の受付
  3. 介護保険に関する相談や、申請の受付(介護保険事業者について教えてもらえる)
  4. 在宅介護に関する相談
  5. ケアマネジャー支援に関する相談
  6. 要支援1・2に認定された方に対するケアプラン
  7. 高齢者への虐待防止に関する相談
  8. 高齢者の権利擁護に関する相談
  9. 健診後の介護予防啓発教室、その利用案内
  10. 福祉用具の展示や情報提供、相談、助言など
  11. 地域のネットワークづくり

例えば、1〜3は総合相談、4〜6は介護予防ケアマネジメント、7〜8は権利擁護、9〜11は包括的・継続的なケアマネジメント、といった具合です。基本的には、高齢者の日常生活における困りごとや、支援・介護・権利などの場面での困りごとがあれば、一度地域包括支援センターに相談してみるといった形で構いません。

それぞれの業務について、もう少し詳しく見ていきましょう。

高齢者の総合相談って?

高齢者が住み慣れた土地で自分らしく、自立して日常生活を送っていけるよう、困りごとに対して医療・生活支援や介護予防・介護など多面的に必要なサービスや制度を紹介し、解決に導く役割です。そのためには、個々の高齢者に対する生活上の支援の他、ボランティア活動など生きがいを持てるための支援も必要とされています。

そこで、総合相談支援業務では、困りごとを具体的に解決するのに加え、地域におけるネットワークづくりや、そのための地域の実態把握、さまざまな分野・制度を横断した幅広い相談や悩みにも対応しています。

介護予防ケアマネジメントって?

要支援と認定された人や、支援や介護が必要となる可能性が高いと思われる人を対象に、身体状況が悪化するのを防ぎ、自立した日常生活を送り続けられるようにケアしていく業務です。高齢者が要介護状態になるのをできるだけ遅らせるとともに、要支援・要介護状態になったとしても、できるだけ症状の悪化を遅らせたり、防いだりするための支援を行います。

具体的には、要支援認定(1・2)を受けた高齢者に対して介護予防ケアプランを作成したり、以下の項目について現状を把握するとともに、課題を分析したりします。

  • 歩行状態や交通機関を使えるかなど、移動範囲や移動能力について
  • 家庭生活を含む、日常生活の状態について
  • 社会参加や対人関係、コミュニケーションについて
  • 健康管理や抑うつなどの精神面、認知症などの状態について

状況を把握したのち、近い将来介護状態になる恐れが高いと判断された高齢者については、「運動機能の向上・栄養状態の改善・口腔機能の向上・閉じこもりの予防・認知機能低下の予防・うつ予防」などの介護予防サービスを紹介し、それらへの参加を促します。

そのため、基本的には要支援認定を受けた高齢者や、近い将来に支援や介護が必要となる可能性が高いと考えられる高齢者を対象として行われますが、その状態に達していない高齢者でも、本人自らが介護予防や健康維持・増進を目的として相談される場合には情報提供や関係機関への紹介ができます。

一度発症したら現状、健常な状態に戻すことができない認知症などは、発症する前に予防しておくことが何よりも大切です。ですから、要支援・要介護がまだまだ必要とされていなくても、高齢者本人が自発的に相談に訪れることが非常に重要です。

高齢者の権利擁護って?

高齢者が安心して生活できるよう、本人が持つさまざまな権利を守ることです。例えば、判断能力が低下して金銭管理ができにくくなってきた高齢者に対し、詐欺や悪徳商法などから身を守るための成年後見制度を活用できるようサポートしたり、身体能力が低下している高齢者に対して虐待が行われていないか早期発見・対応したり、あるいは虐待が起こる前に防止策を練ったり、といった取り組みが行われています。

たとえ認知症などの脳機能障害を発症していなくても、高齢になってくるとだんだんと判断能力が鈍ってくることは仕方がないことですし、体を鍛えていても若年者には力で敵わない場面もたくさんあります。そのため、高齢者が不当に財産を搾取されたり、虐待されたりすることなく安心して暮らせるよう、時には他の機関とも提携して高齢者の権利を守ります。もし悪質な訪問販売などの被害に遭ってしまった場合にも、泣き寝入りせず相談しましょう。

包括的・継続的なケアマネジメント

高齢者が安心して日常生活を送るためには、高齢者にとって暮らしやすい地域にすることも必要です。そこで、地域全体の医療・保健・介護分野の専門家から地域住民まで幅広いネットワークを作り、地域に暮らす高齢者の課題を解決したり、調整したりする手伝いをするのが「包括的・継続的なケアマネジメント」というわけです。

具体的には「地域ケア会議の開催・ケアマネジャーへの個別相談やアドバイス・支援の難しい事例への指導やアドバイス」などを行い、自立支援型のケアマネジメントを支える、といった内容になっています。

個々の高齢者の今の状況や課題だけを見て、解決したら終わり、というわけではなく、状況や変化に応じてさまざまなケアマネジメントを行うため、医療機関など地域の関連機関や、家庭や施設との連携を行い、協力して働く体制を整えていくことがメインと言えるでしょう。

地域包括支援センターに相談するメリットは?

地域包括支援センターを利用する大きなメリットとして「ここに行けば問題を解決できる」という安心感を得られることがあります。例えば、病院であれば総合病院のように、介護・医療・権利など各分野の専門家が設置されているので、たらい回しにされることなく幅広い問題に対応してもらえます。情報や連携のネットワークも構築されていますので、「ここでは対応できないのでここに行ってください」ということがないのです。

また、地域での高齢者虐待や権利擁護の相談、通報などもまず地域包括支援センターが受けることで、家族や地域がどのような立場、対策を取れば良いのかを明確にできます。弁護士や警察とも連携することで、虐待を防止したり、早期発見・対応したりすることもできるようになっています。

今後も増える高齢者は、できるだけ自宅で生活したいという人も多いものです。そこで、こうした相談しやすい機関が地域に増えれば、介護が必要な状態になる前に予防し、自立した日常生活を送れる期間をより伸ばすことにもつながります。このように介護予防や介護サービスについて相談するとき、まず初めに足を運ぶ場所として、心配ごとがあれば遠慮せず相談してみましょう。

おわりに:地域包括支援センターでは、高齢者の生活の困りごとを相談できる

地域包括支援センターは、高齢者が自分らしく自立した生活を送れるようサポートする機関です。総合的な相談窓口として日常生活に関する助言や支援を行ったり、必要な制度やサービスと高齢者を結びつけたりする役割を持っています。

また、地域のネットワークを作ったり、警察や弁護士と連携して高齢者の権利を守ったりすることもあります。日常生活の中で困りごとに接したときは、まず気軽に相談に行ってみましょう。

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