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マインド食は認知症予防にどう役立つ?和食への上手な取り入れ方は?

認知症

マインド食とは、ダイエットに効果があるとして有名になった地中海食と、アメリカで開発された、高血圧を防ぐための食事法を組み合わせたものです。近年、この食事法が認知症予防に役立つと言われていますが、それは本当なのでしょうか?

この記事では、マインド食がどのように認知症予防に役立つのか、そして、和食からマインド食を作るときに気をつけるポイントについてお話します。

マインド食ってどんな食事なの?

マインド(MIND)食とは、アルツハイマー型認知症のリスクを下げる効果が期待できる食事療法のことです。認知症を引き起こす原因のうちで最も多いのがアルツハイマー型認知症ですから、認知症の予防に一定の効果が期待できると考えられます。アルツハイマー型認知症には特効薬がなく、あくまでも進行を遅らせる程度の薬剤しかありませんから、マインド食によって予防・悪化防止をはかることは非常に重要です。

研究によれば、約1000人を対象にして10年間、マインド食を取り入れたグループと取り入れないグループに分けて調査を行ったところ、マインド食を取り入れたグループでは、取り入れないグループと比べてアルツハイマー型認知症のリスクが53%減ったとのことです。これは、マインド食によってアルツハイマー型認知症のリスク要因である肥満・高血圧・高コレステロール・糖尿病などを予防することができたからだと考えられています。

このマインド食とは、「地中海ダイエット」と「DASH」という高血圧を防ぐための食事療法を組み合わせたもので、10種類の食品を毎日の食事に取り入れ、5種類の食品を必ず避けるというものです。まずは、毎日取り入れる10種類から見ていきましょう。

緑黄色野菜をはじめとした野菜類
  • 特に、緑黄色野菜に豊富に含まれるβカロチンや抗酸化ビタミン(C・Eなど)が効果的
  • 抗酸化ビタミンは動脈硬化など、認知症のリスク要因である生活習慣病の予防にも効果的
ナッツ類
  • ビタミンEが多く含まれるものが多い
  • 硬いナッツが食べにくい場合、すり潰したものやペースト状にしたもの、ココナッツオイルなどをうまく取り入れるとよい
ベリー類
  • ブルーベリーやクランベリーには、ポリフェノールやアントシアニンなどの抗酸化物質が多く含まれる
  • 大豆のほか、地中海でよく食べられるひよこ豆を取り入れるとよい
  • ひよこ豆は大豆よりもカロリーが低く、タンパク質やミネラル、ビタミンB・Eなどが豊富に含まれる
玄米・全粒粉の小麦などの全粒穀物
  • 精製されていない穀物のことで、ホールグレインとも呼ばれる
  • 精製されたものと比べてビタミン・ミネラル・食物繊維などの栄養素が豊富
  • 食後の血糖値の上昇がゆるやか
  • サバやイワシ・サンマなどの青魚に含まれるDHAやEPAがコレステロールを下げ、血液をサラサラにする
  • 認知症リスクを高める生活習慣病の予防・改善が期待できる
鶏肉
  • 鶏肉に含まれるビタミンB群は認知症予防に効果的という研究報告がある
  • 赤味の肉は避けるべきとされますが、ビタミンB群は赤味の魚にも多く含まれる
オリーブオイル
  • 豊富に含まれるオレイン酸に、血液をサラサラにする作用がある
  • エクストラバージンオイルに含まれる抗酸化物質「オレオカンタール」が、アルツハイマー病の原因である「アミロイドβ」という化学物質を減らす効果があるという報告がある
ワイン(またはコーヒー・緑茶、ホップのサプリメントなどでもOK)
  • 抗酸化物質のポリフェノールが多く含まれる

比較的、和食で使われている食材が多いので、日本人には馴染みが深く取り入れやすいものでしょう。気をつけるポイントとしては、「白米ではなくなるべく玄米に近いものを摂取する」「大豆だけでなくひよこ豆を取り入れる」「油を使う調理を使う場合はオリーブオイルを積極的に取り入れていく」「おやつなどでナッツやベリーを食べる」といったことです。

次に、避けるべき食べ物について見ていきましょう。

  • 赤身の肉
  • バターやマーガリン
  • チーズ
  • パン菓子やスイーツ
  • 揚げ物やファストフード

いずれも高脂肪食・高糖質食で、これらの食材を避けることで認知症のリスク要因だけでなく、生活習慣病のリスクも同時に下げられます。生活習慣病予防でも同じですが、マインド食の場合もある一定期間だけ食事内容を変えれば良いわけではなく、継続して続けていくことが大切です。

関連記事:認知症を予防するには、どんなことに取り組めばいい?

和食でもマインド食を作れる?

和食中心の食生活は、そのままでも認知症のリスクを下げるという研究結果がありますが、さらに少しの工夫をすることで、マインド食に近づけることができます。和食とマインド食の違いを端的に表すと「炭水化物が多い」「塩分摂取量が多い」というところがポイントです。炭水化物が多い原因として、日本人にとって白米が非常に馴染み深いことが挙げられます。

精製されて胚芽やぬかなどが取り除かれた白米は、「白い炭水化物」とも呼ばれ、糖尿病のリスクを高めることがわかっています。そして塩分は血圧を高め、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めます。いずれもやはり、認知症のリスク要因となっている疾患です。そこで、まずは白米を減らし、「白い炭水化物」から玄米や全粒粉パンなどの「茶色い炭水化物」に移行するのがおすすめです。

塩分を減らすためには、1食の塩分が2g未満(1日6g未満)になっているような、高血圧の患者さんにも対応できるようなレシピを使うのが良いでしょう。また、食材に「だし」でしっかり下味をつけてから調理したり、品目を増やして目や舌で楽しめるようにすると、塩を多く使わなくても美味しく食べられます。

また、オリーブオイルは飽和脂肪酸に対して一価不飽和脂肪酸の割合が高いことが特徴ですが、ひまわり油や菜種油も同じような特徴を持っていますので、オリーブオイルの代わりにこれらの油を使うのも良いでしょう。和食ではおかずにナッツやベリー類は取り入れにくいため、こうした食材はおやつとして少しずつ食べる程度がおすすめです。

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おわりに:マインド食は認知症のリスクを下げることができる

マインド食は、認知症やそのリスク要因である生活習慣病のリスクを下げることができます。マインド食は和食にも非常に近いので、日本人にとっては始めやすいでしょう。ポイントは、「完全に精製された白米を減らし、玄米や全粒粉パンを取り入れる」「塩分を減らす」ことです。

塩分を減らすためには、高血圧の患者さん用などの減塩食のレシピを使うのが良いでしょう。また、ナッツやベリーをおやつに食べるのもおすすめです。

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