アニマルセラピーは高齢者の認知症改善に効果アリ?

認知症

犬や猫などの動物と触れ合うことで、癒し効果が得られるとされる「アニマルセラピー」。近年では認知症の高齢者にも効果的と評価され、導入する老人ホームも増えつつあります。以降では、アニマルセラピーが高齢者や認知症患者さんにどんな効果をもたらすのか、また問題点はないのかについてお伝えしていきます。

アニマルセラピーが高齢者にもたらす効果って?

高齢者は、加齢や病気に伴う身体機能の低下によって活動量が低下する傾向にあります。それに伴い交流の機会も減り、特に老人ホームに入居している高齢者はコミュニケーション不足に陥ることで、塞ぎ込みがちです。

そんな高齢者の心身の問題を解決してくれる可能性があるのが、「アニマルセラピー」です。現在アニマルセラピーで活躍する主な動物は「犬」ですが(猫を導入しているNPO法人もあります)、触れ合いを通じて下記のような効果が見込めます。

身体的なリハビリ効果

動くことが億劫になったり、運動するきっかけが少なくなった高齢者が、動物を撫でたり近寄ったりするために自発的に体を動かす効果が見込めます。

また、セラピードッグと一緒に歩けば、散歩のような気分で楽しく歩行訓練ができます。前向きにリハビリに励むきっかけも作ってくれることでしょう。

ストレスの軽減や癒し効果

人との交流や活動量が減った高齢者は、気分が沈みやすくなったり、以前好きだった物事に興味を持たなくなったり、食欲が低下したりと、抑うつ症状が出やすい傾向にあります。また、思うように日常生活が送れなくなったことによる不安や苛立ちも募りやすく、精神的に不安定に見えるケースも少なくありません。

動物との触れ合いには、そんな抑うつ症状やストレスを軽減させる効果があるといわれています。実際に動物の体に触れたり、仕草を見たりするうちに自然に笑顔になったり、穏やかな表情になったりなど、表情の変化や癒し効果が期待できます。

普段あまり声かけに反応することがない高齢者でも、アニマルセラピーの時に明るい表情を見せ、「かわいいね」「もっと触りたい」「次はいつ来るの?」などと嬉しそうに気持ちを告げるケースが多いそうです。

コミュニケーションを増やす効果

動物に話しかけたり、アニマルセラピーの話題を通じた会話のきっかけ作りに自然とつながり、コミュニケーションの機会が増えやすくなります。

アニマルセラピーで認知症も改善する!?

老人ホームなどの施設に長く入所している高齢者は、活動量や意欲が低下し、会話や表情の変化が乏しくなる、精神的に不安定になるなどの抑うつ状態に陥ることがあります。

ただ、抑うつ状態は認知症の高齢者にも見られる症状です。認知症の初期段階で、認知機能の低下を自覚して不安を感じたり、また認知機能の低下が進むにつれて、自分や周囲に無関心になっていくケースは少なくありません。

そんな認知症による抑うつ症状や情緒不安が、アニマルセラピーによって改善しうることが論文によって証明されています。

アニマルセラピーで、認知症高齢者のうつが改善

医療従事者が治療目的で実施するアニマルセラピーは「動物介在療法」と呼ばれます。
国内の論文「認知症高齢者に対する犬による動物介在療法の有用性」(川崎医療福祉学会誌/2008年)によれば、認知症高齢者に対して、犬を介在させた動物介在療法を実施したところ、次のような結果が得られたそうです。

ストレスの減少
動物介在療法を実施したグループと実施していないグループで、唾液アミラーゼ活性値(ストレスがあると上昇する)を比較したところ、前者では大幅に数値が下がっていることがわかりました。
抑うつ症状の改善
動物介在療法を実施したグループの方が、うつ状態の割合が少なかったという結果が得られました
活動性の上昇
動物介在療法を実施したグループの方が活動性が高く、笑顔や発話、犬への興味が多く見られたことから、心身の活動性の向上が認められました。

また、別の論文「動物介在介入による認知症高齢者の情緒安定の効果―NPI-Q-J 質問紙法を用いた検証―」(日本認知症予防学会誌/2015年)によれば、犬を介在させた動物介在療法によって、認知症高齢者の情緒が1週間安定し、持続的なQOLの向上も認められたそうです。

アニマルセラピーに問題点はないの?

「犬に噛まれるのでは」「猫に引っ掻かれるのでは」とアニマルセラピーに不安を感じる人もいますが、動物介在療法でやってくるセラピードッグやセラピーキャットは、訓練やしつけの一定基準を満たした動物なので、基本的に心配する必要はありません。

ただ、下記に該当する高齢者は、アニマルセラピーを受けることが難しいといえます。

動物アレルギーがある
免疫機能が低下している
動物に対してトラウマがある(昔噛まれたことがあるなど)
動物が極度に嫌い
動物に暴力や危害を加える可能性がある
動物やスタッフと関わることが苦痛

おわりに:アニマルセラピーは、高齢者の元気を取り戻してくれる存在

認知症患者を含む高齢者は、若い頃のように体が動かせないストレスや精神的な不安を抱えやすい傾向にあります。そんな高齢者の心を癒し、活動意欲を再び湧かせてくれる新たな治療法として、アニマルセラピーが効果を発揮するケースは多いです。年々アニマルセラピーを定期的に取り入れる老人ホームなどの施設は増えつつあるので、動物好きな高齢者であれば、入居先を選ぶ際の参考にしてみても良いかもしれません。

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