認知症のトイレのトラブル、どう対応すればいい?

認知症

認知症の症状が進行してくると、もの忘れや見当識障害などの認知機能だけでなく、日常生活を送るための機能もだんだんと低下してきます。そのため、認知症が重度に進行してくるとトイレにまつわるトラブルも増えてしまうのです。

この記事では、認知症で見られやすいトイレのトラブルと、その対処方法をご紹介します。介護者の負担を減らすためにも、適切な対処方法を知っておきましょう。

認知症に多いトイレのトラブルとは?

認知症が重度に進行してくると、排尿や排便など、トイレにまつわるトラブルも増えてきます。まずは、どんなトラブルが起こりやすいかとその理由について見ていきましょう。

トイレに間に合わない
  • 尿意・便意を感じるのが遅くなっている
  • 立ち上がる、歩く、などの日常的な動作に時間がかかる
  • トイレに着いても、服を脱ぐのに時間がかかってしまう
トイレではない場所で用を足してしまう
  • トイレの場所がわからなくなった
  • 玄関・浴室などをトイレと間違えてしまう
  • 排便はトイレでするもの、ということがわからなくなっている
  • トイレに入っても、便器の使い方や便器が認識できない
  • トイレの前に人が並んでいるなど、幻視が起こっている
汚れた下着や衣類をしまい込む
  • トイレに失敗したことを知られたくない
尿とりパッドを嫌がる
  • パッドを自分でうまくつけられない
  • パッドに違和感があり、不快である
  • 何のためにつけるのかわかっていない
オムツを外してしまう、またはつけることを嫌がる
  • オムツをつけることは恥ずかしい、情けないという気持ちがある
  • ムレ・かぶれが不快である
  • 濡れると気持ちが悪いと感じる
パッドやオムツを便器に流してしまう
  • 濡れたパッドやオムツが不快である
  • トイレに流すと詰まる、ということが理解できなくなっている

このように、認知症の患者さんは加齢による身体機能の低下からそもそもの動作がゆっくりである、というハンディキャップに加え、トイレの場所がわからない、尿とりパッドやオムツの役割がわからないというような認知機能の低下が原因となってトイレのトラブルが多発します。オムツをすることは恥ずかしい、情けないという認識だけが残っていると、オムツをつけるのを嫌がったり、つけても外してしまうことも多いです。

トイレのトラブルへの対応方法は?

では、実際にそれぞれのトラブルにどう対処したら良いのでしょうか。

トイレに間に合わない
  • トイレへの通り道に手すりをつけるとともに、片付けて障害物をなくしておく
  • そわそわする、うろうろするなど、尿意・便意かな?と思われるサインを見つけたらトイレに誘導する
  • 排尿・排便の状態を数日間記録し、排泄パターンをある程度把握し、時間に余裕を持ってトイレに誘導する
  • 脱ぎやすいよう、ウエストがゴム状になった下着や服を着てもらう
  • 日中は尿とりパッドや紙パンツを活用する
  • 夜間は吸水量の多い紙パンツ・オムツなどを使う
トイレではない場所で用を足してしまう
  • リビング・寝室・廊下など生活空間に「トイレはこちら」などと誘導する紙を貼っておく
  • トイレのドアに大きく「トイレ」「お手洗い」「便所」など、本人のわかる言葉でトイレだと示しておく
  • 夜中でもトイレへの通路は電気をつけ、明るくしておく
  • トイレのドアを少し開けっぱなしにしておき、便器が見える状態にする
  • 朝食後など、タイミングに応じてトイレに誘導する
汚れた下着や衣類をしまい込む
  • 隠しやすい場所をあらかじめ用意し、叱らずその場所からそっと持ち出して洗濯する
尿とりパッドを嫌がる
  • 尿とりパッドと同じか、それ以上に吸収力のある紙パンツを使用する
  • 「オムツ」のような言葉を使わず、「使い捨てできるパンツ」などの言い回しで勧める
オムツを外してしまう、またはつけることを嫌がる
  • 排尿・排便の状態を数日間記録し、排泄パターンをある程度把握し、濡れたり汚れたと思ったらできるだけ早く取り替える
  • 下着感覚で着脱できる薄い紙パンツと尿とりパッドを併用し、尿とりパッドをこまめに取り替える
  • オムツや尿とりパッドを嫌がられたら、吸収力の高い紙パンツを使う
  • 「オムツ」のような言葉を使わず、「使い捨てできるパンツ」などの言い回しで勧める
パッドやオムツを便器に流してしまう
  • トイレにかごやバケツを用意し、そこに捨ててもらうよう張り紙と声かけを徹底する
  • 日中、家族がいない間はトイレのタンクの水量を調節し、パッドやオムツが流れないようにする
  • パッドやオムツではなく、下着として使える薄型の紙パンツを使ってもらう

トイレという場所を認知しにくい、という問題には、廊下の明かりを夜でもつけっぱなしにしておく、大きな文字でトイレであることを示す、などの解決方法があります。より重症化してオムツや尿とりパッドが必要な場合はそれを使ってもらうのが一番なのですが、「オムツは赤ちゃんがつけるもの、恥ずかしい」というような意識が残っている場合、オムツを嫌がられてしまうこともあります。

こうした場合には、吸収力の高い紙パンツを使うのが効果的です。オムツよりもずっと下着に近い紙パンツは、本人のプライドを傷つけることなく使えます。もちろん、介護者が紙パンツのことを「オムツ」と呼ばないように気をつけましょう。また、排便・排尿の記録をつけ、あらかじめタイミングをはかってトイレに誘導したり、使用後はすぐに取り替えられるようにすることも大切です。

簡易トイレやオムツは、どうやって選べばいい?

最後に、簡易トイレやオムツをどうやって選べばいいのかご紹介します。

脱ぎ着しやすい衣服や、座りやすい便座にする
  • 歩行が自立していても着脱には手間取るので、ゴムなど着脱しやすいボトムスや下着にする
  • 本人が座りやすい高さに微調整できるポータブルトイレがおすすめ
  • 座位が安定しない場合、手すりなどの掴んで体を支えられるものを用意しておく
移動が難しい場合はポータブルトイレ
  • 座位は保ててもベッドからの移動が難しい、という場合にベッド横に設置する
  • トイレに行くのが間に合わない、という状況がぐっと起こりにくくなる
  • 本人の精神的負担や、家族の介護負担を減らせる
座位が保てない場合、尿器や便器を使う
  • 座位が保てない場合、ベッドの上で尿器や便器を使う
  • 使う際はあらかじめ防水シート・敷くオムツなどを広げておくと漏れても大丈夫
  • こぼれ機能つきの尿器も販売されている
安易にオムツに頼るのは良くない
  • オムツは介護者にとっては楽だが、使いすぎると尿意や便意、皮膚感覚などが鈍くなる
  • トイレを自立しようという意思が薄れるため、排泄の意欲がなくなる
  • オムツを使うのは夜間や外出時など、必要最低限に抑えるとよい
尿意に合わせてオムツやパッドを選ぶ
  • 尿とりパッド・テープ・パンツなど、用途によって選ぶ
  • 軽いときは尿とりパッドや失禁パンツ、多いときは尿とりパッド+テープ止めタイプ、など
  • 本人の体調などに合わせていくつか試してみるとよい
購入する前に必ずサンプルを試す
  • オムツはその性質上、介護用品の中でも消費量が多く、頻繁に使うもの
  • 尿量が少なければ尿とりパッドだけの交換など、手間とコストを減らす工夫を
  • そのためにも、新製品を購入する前にサンプルで使い心地を試すのが大切

排尿・排便というトイレにまつわるトラブルは、介護者の負担もどうしても大きいことから、オムツに頼ってしまいがちです。しかし、認知症の本人にとって、日常生活を自力で行うことそのものが脳機能の維持に役立ちますので、オムツを使い続けることによってトイレに行かなくなると、認知症が進行したり、尿意や便意を感じ取れなくなったりします。

そのため、オムツの使用は夜間など最低限に抑えた方が良いでしょう。昼間は脱ぎ着しやすい服と下着をつけてもらい、できるだけ自力で排泄できるようにしましょう。そのための補助用具として、ポータブルトイレを使うのもおすすめです。座ることはできても、自力でトイレまで辿り着けないという人には、ベッドの横にポータブルトイレを備えつけてあげると良いでしょう。

おわりに:ポータブルトイレやオムツを上手に活用し、介護負担を減らそう

認知症のトイレトラブルは、本人にとっても介護者にとっても精神的・身体的な負担が大きいものです。そのため、ポータブルトイレやオムツを上手に活用し、できるだけ介護負担を減らせるようにしましょう。

とはいえ、最初からすべてオムツにしてしまうと、本人の意欲や脳機能の低下を進行させてしまう可能性があります。最初はトイレに誘導したり、ポータブルトイレを使うところから始めましょう。

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