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家族が軽度認知障害(MCI)かも?と思ったときの対応方法とは?

認知症

軽度認知障害(MCI)とは、認知症とまでは行かないものの、健常の状態からは明らかにどこかがおかしく、そのまま放置していれば認知症に進行してしまう可能性があるという状態のことを指します。とくに、認知症でもっとも多いアルツハイマー型のMCIが多く、記憶障害をベースにしたMCIの症状が現れることが非常に多いです。

そこで、アルツハイマー型のMCIについて、チェック方法や対処方法をご紹介します。

家族に軽度認知障害のサインが…どうやって確認すればいい?

認知症のうち、もっとも多いのはアルツハイマー型認知症です。つまり、その前段階である軽度認知障害(MCI)も、同様にもっとも多いのはアルツハイマー型認知症に進んでいくタイプということになります。例えば「他の同年代と比較して常にもの忘れが多い」「体験したことそのものは覚えていても、詳細を忘れる」「日常生活で困ることがあっても、1人暮らしができないほどではない」といったことが特徴です。

このように、単なる加齢による老化というには明らかに特徴的な症状が多い、という場合であっても、直接「認知症じゃない?」などと言ってしまうと、本人の自尊心を傷つけてしまい、頑なになってしまったり、関係がこじれてしまったりすることがあります。そこで、まず本人に気づかれないよう、慎重に観察・チェックしてみましょう。具体的には、以下のようなチェックをしてみるのがおすすめです。

会話の中でさりげなくチェックする
  • 「明日の病院の予約は何時だっけ?」など、日常生活で不自然にならない程度に記憶をチェック
  • 本人に「アルツハイマー(認知症)を疑われている」と思わせないことが大切
  • 1度にいくつも質問せず、数時間〜数日程度間をあけながらチェックする
日常生活の様子でチェック
  • アルツハイマーからのMCIは、最近起きた出来事を詳細に記憶できないのが特徴
  • 最近のニュースなど、新しい記憶でのチェックをすると良い
  • 冠婚葬祭のような印象的な出来事を覚えているかチェックするのも手

こうしたチェックの結果、MCIの疑いが強いと思ったら、病院に連れて行く必要があります。しかし、本人がMCIに自分で気づいていない場合、または、直接指摘すると怒り出しそうな場合など、本人が自分のことをMCIと認めていない場合、MCIだからと告げて病院に連れて行くのは難しいものです。しかし、認知症は放置しているとどんどん進行していきますので、早めの受診が大切です。

そこで、まずは本人を傷つけないために、他の理由で病院にまで連れて行きましょう。例えば「もの忘れ外来」など、「今すぐは心配ないけれど、将来のために一緒に脳に良い習慣を聞きに行きたい」など、本人の状態を突きつけるのではなく、あくまでも将来のためとして聞きに行く、とするとスムーズに受診に至れることが多いです。

また、病院に事前に連絡して事情を話し、到着後は病院スタッフのサポートを受けられるようにしておくのも大切です。到着後に不安を感じ「やっぱり帰りたい」となってしまわないよう、病院に到着したらすぐに診察に入れるようにしてもらえると良いでしょう。

しかし、そもそもどうしても病院に行きたがらないという場合もあります。その場合、無理に連れて行こうとすると関係がこじれたり、本人との関係に大きな亀裂が生じてしまい、その後の介護や治療に多大な悪影響を及ぼしてしまうこともあります。ですから、どうしても行きたくないという場合はその日の受診をあきらめ、他の日に改めて誘ってみるという判断も必要です。

MCIでも記憶障害が生じるため、できるだけ本人だけの受診ではなく、家族など日頃から身近にいる人・一緒に生活している人と一緒に来院する必要があります。強い言葉で責めるのではなく、柔らかい言い方を心がけながら、タイミングを見てぜひ一緒に診察を受けましょう。

軽度認知障害による困りごとには、どう対応すればいい?

アルツハイマー型のMCIでは、「日常生活での基本動作には支障がないものの、認知機能の一部が低下している」といった状態がしばしば見られます。例えば、食事や入浴・排泄などはできるものの、記憶や見当識(自分がどこにいて何をしているのかの判断など)に1つ以上の障害が認められる、というものです。

「認知機能」と一口に言っても、記憶・言語・判断・計算・遂行など、実際の症状としては多岐にわたりますので、この症状が出たら絶対にMCI(認知症)、と定義することはできませんが、アルツハイマー型のMCIではとくに記憶機能に障害が起こりやすいことがわかっています。そして記憶障害によって「これまで難なくできていたことができなくなる」「これまで理解できていたことが理解できなくなる」といった変化が現れます

こうした変化が現れたときに大切なのは、本人を責めたり詰ったりしないことです。認知症やMCIの場合、本人のせいではなく病態のせいなので、できるだけ本人に責任を取らせるのではなく、困りごとそのものをどうやったら解決できるか、対処できるかということに焦点を当てていくと良いでしょう。

コミュニケーションや生活習慣の中でちょっとした工夫をすることで、本人も周囲の人もずっと過ごしやすくなるはずです。もちろん周囲の人だけが気を使うということではなく、全員で困った問題に対処するという気持ちで対策を考えていきましょう。困りごとと対策について、具体例とその対処法を2つご紹介します。

その1:何度も同じ話や確認をする

アルツハイマー型認知症や、そのMCIで特徴的な症状が記憶障害、いわゆる「もの忘れ」です。単なる加齢による老化でももの忘れの症状は見られますが、老化との一番の違いは「経験したことそのものは覚えているが、詳細な内容を忘れる」ということです。例えば、待ち合わせをしたことは覚えていても待ち合わせ時間を忘れる、ニュースを見て概要は覚えていても踏み込んだ内容は思い出せない、といったものです。

詳細を覚えていないと、同じ話を何度も同じ相手にしてしまうといった現象も見られます。すると、つい対応が雑になってしまうこともありますが、本人は初めて話しているという認識なため、そこでうるさがられたり咎められたりすると、疎外感や孤独感から強いストレスを感じてしまうこともあります。

こうした場合の対処法としては、まず話したいことを話させてあげることが大切です。とはいえ、毎回真剣に聞いていては周囲の人も疲れてしまいますので、雑な対応にならない程度に穏やかに聞き流しましょう。そして、話し終えたらあくまでも柔らかく「その話は何度か聞いたよ」と伝えることが大切です。

このように、「自分が同じことを無意識に数回話してしまっている」という状態を本人が自覚することができるようになれば、会話の際に「この話は初めて?」と自主的に聞いてくれるようになったり、認知症かもしれないと気づくきっかけになったりします。そこから医療機関を受信しようか、と思ってくれればしめたものです。

その2:自分で見つけられるが、ものをよく失くす

記憶力の低下によって、ものをどこに置いたか忘れてしまうことが多くなります。しかし、MCIの状態ではまだ自分で見つけられるため、日常生活に支障をきたすほどではありません。ただ、その状態が何度も繰り返され、常態化すると、周囲の人が紛失の対応に追われたり、それによって関係がぎくしゃくしてしまう、ということになり、双方にとって強いストレスを引き起こします。

この場合の対処法としても、紛失物が多いことに対して怒ったり責めたりしないことが大切です。とくに、MCIの場合、自分でも「覚えられなくなった」ということに自覚がある場合が多く、頭ごなしに怒られると自信喪失したり、周囲への猜疑心が強まったりします。そこで、紛失そのものをなくせるよう、名札をつけたり周囲の人と確認を一緒に行ったりするなど、具体的な対策を立てることが重要です。

また、MCIの本人だけでなく、家族全員の習慣として「全員がものを失くさないためにできること」という形で行えば、本人の自尊心を傷つけることもありません。さらに、全員が連帯感を持つことで、認知症の特徴である「家族への猜疑心」などにもつながりにくいと考えられます。

おわりに:MCIの本人を責めるのではなく、MCIの症状に対する対策を考える

MCIは疾患というわけではありませんが、本人の意思でやっていることではないため、本人もその症状によって苦しんでいることが多いです。そのため、本人を責めても余計に疎外感や孤独感を強めてしまい、医療機関の受診など根本的な解決に至れません。

そこで、MCIで困ることをどうしたら解消できるか、ということに焦点を当てて対策しましょう。対策を繰り返す中で、自然と本人が「病院に行こうか」と思えればしめたものです。

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