介護と育児のダブルケアには、どんな危険が潜んでいるの?

老後の不安・悩み

両親・祖父母の介護と、自身の子育ての時期が重なってしまい、日常的に介護・育児の両方に携わることを「ダブルケア」と呼びます。

今回は介護と育児のダブルケアについて、なぜこのような事態が起こるのか、ダブルケアによってどんな問題が起こり得るのかを解説していきます。

ダブルケアって?

身体機能や認知機能が衰えた家族の介護と、とても手のかかる乳幼児期の子どもの育児が同時期に重なり、その両方に対応せざるを得ない状況をダブルケアと言います。

2015年に行われた内閣府男女共同参画曲の調査によると、女性では約17万人、男性では約8万人の計約25万人がダブルケアに従事していると確認されました。

また同調査によると、ダブルケアに従事する人の平均年齢は男女ともに40歳前後。育児のみを行う人の平均年齢と、ほぼ同じであることもわかっています。

このようにたくさんの人が必要に迫られ、ダブルケアに対応している背景には、以下のような社会情勢の変化があると考えられます。

介護と育児のダブルケアが問題となっている背景

  • 女性の社会進出により、結婚年齢や出産年齢が遅くなった
  • 結婚や出産が高齢化した結果、30~40代にかけて育児に従事する人が増加
  • 30~40代という年齢は、親・祖父母世代に介護が必要となる時期と重複
  • 昔に比べ兄弟姉妹が少ないため、介護の負担が1~2人の子ども世代に集中した

女性の社会進出が進み、結婚や妊娠・出産への考え方が変化したために、介護が必要になる時期と育児に集中すべき期間が重複しやすくなってしまったのです。

さらに30~40代という年齢は、男女ともに働き盛りとも言われる時期でもあります。
介護・育児のダブルケアに加え、さらに仕事との両立まで必要となると、30~40代男女に課せられる経済的・時間的負担は計り知れません。

ダブルケアには、どんな問題が起こりうるの?

ダブルケアに従事せざるを得ない環境では、以下のような問題が起こりやすいとされます。

ひとり、特に女性への負担集中

育児や介護は「家の中のこと」であるとして、「女性の仕事」と考える風潮は根強いです。さらに先述した通り、現在の30~40代には親世代のようにたくさんの兄弟姉妹はいません。

このためうちたった1人に、またはその配偶者の女性に、ダブルケアの負担が集中しやすい傾向が見られます。

周囲や行政による支援不足による孤立化

ダブルケアは、比較的近年になってから社会問題として認識されるようになってきました。このため行政による支援や、相談機関も十分に整備されているとは言えない状況です。

どこにも相談できず、悩みに共感してもらえる機会もなかなかないため、ダブルケアに従事する人は家族・社会から孤立化しやすいと考えられます。

ダブルケアが原因の離職・貧困

介護にも育児にもお金がかかりますが、日夜問わず高齢者と子どものお世話をしていては、働きに出ることは難しいでしょう。

このため働き盛りと呼ばれる年齢であっても、ダブルケアに従事する人の多くは離職を経験します。そして世帯年収が減少し、経済的に困窮していくのです。

介護・育児それぞれへの悪影響

1日中介護と育児に携わらなければならない生活は、当事者から気力と体力、そして経済力を少しずつ奪っていきます。

すると、介護や育児に必要なお金をかけられなかったり、十分に子どもとの時間を取れなかったりして、双方へ悪影響が及ぶ可能性も高くなるのです。

ダブルケアの問題に対処するにはどうすればいい?

まずは、役所などにダブルケアへの支援や相談窓口がないか、情報を集めましょう。
まだまだダブルケアに従事する人への支援窓口は少ないですが、各自治体の福祉課や、地域包括支援センターでは、育児や介護の悩みに対応してくれます。

相談してみることで、介護保険制度を利用した在宅介護への安価での支援や、施設入所を検討すべき時期、必要な費用についての情報を受け取れます。
ダブルケアの当事者が集まるカフェなどが地域にあれば、その紹介も受けられます。

また、高齢者にかかわる家族・親戚と、介護に関する話し合いの機会を持つことも大切です。
介護の話題は話しにくいものです。しかし早めに話し合っておけば、いざそのときがきても、冷静かつ迅速に対処できるようになります。

方針の決定には時間がかかるでしょうから、親に介護の必要性や不安を感じるようになった段階で、以下の項目について話し合っておきましょう。

ダブルケア問題に対処するため、家族・親戚と話し合うべきこと
  • 各家庭の経済状況、子どもたちの年齢、家族関係はどうなっているか
  • 介護が必要になったとき、子どもたちのうち誰が主介護者となるか
  • 在宅介護と施設に入所しての介護生活、どちらを希望するのか
  • 介護にかかる費用はどこから出すのか、親の資産を利用するのか

おわりに:介護と育児のダブルケアには、介護者の生活を崩壊させるリスクがある

タイミングが重なり、介護と育児の両方に対処している状態をダブルケアと言います。2015年の調査では、約25万人もの40歳前後の男女がダブルケアに従事していると報告されました。このように多くの人がダブルケアにあたっている背景には、女性の社会進出による晩婚化と晩産化、そして家族のなかでの介護者数の減少があります。ダブルケアに陥る前に、早めに家族・親戚内で話し合い、行政支援をうまく活用できるようにしましょう。

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