レビー小体型認知症の幻覚の特徴と対応方法って?

認知症

レビー小体型認知症とは、脳の中にレビー小体という特殊なタンパク質が溜まっていくことで脳の機能が障害されて起こる認知症のことです。よく知られている認知症にはアルツハイマー型認知症がありますが、これとは起こる原因が違うのです。

そのため、アルツハイマー型認知症とは症状の特徴や、対処法が違います。中でも、レビー小体型認知症に特徴的な「幻覚」について詳しく見ていきましょう。

レビー小体型認知症の症状の特徴は?

一般的に認知症というと、患者数の多いアルツハイマー型認知症で見られる「もの忘れ(記憶障害)」や「いま自分がどこにいるか、いつなのかなどがわからなくなる(見当識障害)」などの症状が連想されやすいですが、レビー小体型認知症では初期には記憶障害は比較的軽度であり、見当識障害に関してはあまり見られない傾向があります。

レビー小体型認知症の記憶障害は、アルツハイマー型認知症のように最近のことを覚えられなかったり忘れてしまったりするものではなく、既に脳内に記憶されていることを引っ張り出しにくくなる、ということが特徴です。そのため、アルツハイマー型認知症の場合は、周囲の人が話のきっかけを伝えても全く思い出せないことが多いのですが、レビー小体型認知症の場合は、ヒントを出すと思い出せることが多いのです。

逆に、アルツハイマー型認知症ではほとんど見られない、レビー小体型認知症に特徴的な症状として、「幻視(幻覚)」があります。「○○さん(故人)が現れた」「家の中に泥棒が入ってきた」などといった妄想の混じったものもあれば、何もない空間を指して「あそこに人がいる」などと言うこともあります。このように、視覚系統の認知障害が起こりやすいのが、レビー小体型認知症の大きな特徴と言えます。

レビー小体型認知症に特徴的な症状として、もう1つパーキンソン病と同じような症状が見られることがあります。パーキンソン病は神経伝達物質の1つである「ドーパミン」が減少することで起こる疾患で、脳から指令が出ても神経がそれをうまく伝達できず、スムーズに体を動かせなくなります。そのため、動作がゆっくりになったり、筋肉がこわばったり、姿勢が崩れやすくなったり、手足がふるえたりといった症状が見られます。

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レビー小体型認知症の幻覚にはどんなものが多い?

前述のように、レビー小体型認知症に特徴的な症状の1つとして「幻視(幻覚)」があります。この症状はアルツハイマー型認知症をはじめとした他の認知症では見られにくい、レビー小体型に極めて特徴的なものです。見えるものは患者さんそれぞれによって異なりますが、いずれも何かが違うものに見えるということではなく、「実際にはないものが見えている」という点は同じです。

レビー小体型認知症に見られる幻覚の特徴をまとめると、以下のようになっています。

  • 主に虫や小動物、人などが見えていて、さらにそれらに動きがあることが多い
  • 人が見えている場合、相手を特定できることもあるが、顔がはっきりしない・仮面をかぶっているらしい、などと言うこともある
  • 一般的に色彩ははっきりしていることが多いが、白黒で見える人もいる
  • 影になっている場所や、暗い隙間などにいると指差したり、覗き込んだりすることもある

例えば、実際に見えている幻覚としては、以下のようなものが挙げられます。

動物に関する幻覚
  • ネズミが壁を走っている
  • ヘビが天井を這い回っている
  • ご飯の上に虫がとまっている
人に関する幻覚
  • 知らない人が座敷に座っている
  • お婆さん、お爺さんがこちらを見て立っている
  • 子どもたちがベッドや布団の上で遊んでいる
  • 兵隊がぞろぞろとやってくる
  • ○○さん(知人や家族、故人の場合も)が遊びに来た
  • 誰かがベッドや布団で寝ている
  • 窓やドアから男の人が入ってくる
  • 女の幽霊が出てきた
環境に関する幻覚
  • 大きな川が流れている
  • 床が濡れている、水たまりができている
  • 光線が飛んでくる
  • きれいな花が咲いている
  • 物が吸い込まれていく

アルツハイマー型認知症でもこのような幻覚が見られることもありますが、それは「せん妄」と呼ばれる意識障害の1つの状態に陥っているときだけで、せん妄の起こっていない人ではまず見られることはありません。さらに、レビー小体型認知症の場合は記憶障害がアルツハイマー型認知症と比べて軽度なため、数日前の幻覚の様子を本人自身が正確に話せることも多いです。

せん妄も幻覚と似ていて、意識レベルが低下することで実際には存在しない人や物が見えたり、怖がったり、騒いだりするものです。しかし、レビー小体型認知症の幻覚と違うのは、本人はすぐにそのことを忘れてしまい、後で尋ねてみてもさっぱり覚えておらず、話せないという点です。夜中に起こるものは、夜間せん妄と呼ばれます。

幻覚を見ている人への対応は?

ここまでご紹介してきたような幻覚の症状が見られた場合、周囲はどのように対応すれば良いのでしょうか。まずは、幻覚の症状が現れたとき、すぐに周囲の人が行うべきポイントを2つ見ていきましょう。

否定せず、本人の話を聞く
  • 認知症の本人にとっては現実に体験していることなので、否定しない
  • 「そんなものはいない(ない)」と否定してしまうと、拒絶された、わかってもらえなかったと感じてストレスになってしまう
  • 不安の表れや、体調が悪くなっていることもあるため、本人の話をよく聞くことが大切
一緒に確認し、安心してもらう
  • 見えているものを間違いだと否定してはいけないが、肯定すると妄想につながってしまうこともある
  • そのため、一緒に確認した上で「もういませんよ」「帰りましたよ」「追い払いましたよ」などと言い、安心してもらうのが良い
  • 「まだここにいる」などと言われた場合は、その場所をもう一度確認すると、本人から「もういない」と言ってくれることがある

幻覚は、他の人には見えないものなので、見えるという発言を気味悪く感じてしまったり、精神疾患のように感じてしまったりして、思わず「そんなものはいないでしょう」と否定したくなってしまうかもしれません。しかし、認知症の患者さん本人にとってはまぎれもない現実として見えているものですから、否定されると「拒絶された」「わかってもらえなかった」と不安などのストレスにつながり、より症状が悪化したり、他の症状が現れたりすることがあります。

とはいえ、安易に肯定して「そうだね、子どもがたくさんいますね」などと言ってしまうと、「じゃあお世話をしなくては」と妄想につながってしまうこともあり、それもまた良くありません。ですから、「知らない人がいる」「動物や虫がとまっている」などと言われた場合は、「もう帰ってもらったので大丈夫ですよ」「追い払ったので、心配いりませんよ」など、こちらで対処したという形で声をかけ、安心してもらいましょう

次に、そもそも幻覚が起こりにくいようにできる対策を3つ見ていきましょう。

見間違いにつながりやすい環境を改善する
  • 高齢になって目が悪くなり、見間違いが増えたことで幻覚につながっている場合も
  • 間接照明を使った部屋で影が多くなると、幻覚につながるため、部屋を明るくしたり足元にランプをつけたりする
  • 壁のシミや傷が虫に見えることもあるため、隠すような工夫をする
本人の体調や精神的な不調をチェックする
  • 水分は足りているか、熱はないか、便秘していないかなど体調不良をチェックする
  • 現状に対する不安が現れていることもあるので、話をよく聞き、気がかりなことを話してもらう
医師に相談する
  • 幻覚は薬で改善することもある
  • 頻繁に幻覚が現れたり、幻覚と同時に興奮が見られたりする場合は医師に相談する
  • もの忘れなどの症状がなくても、幻視の症状がひどい場合は早めに受診するとよい

薄暗くなってきた部屋の中で、ふと動いた影を虫のように感じたり、背後で動いたカーテンの気配を幽霊のように感じたりした経験は誰にでもあることでしょう。このように、レビー小体型認知症の人でも、見間違いから幻覚が起こっている可能性もあります。ですから、まずできる対策として、部屋を明るくしたり、壁や床の目立つ傷を隠したりなどの環境面を工夫すると良いでしょう。

また、何らかの原因で不安感が増していたり、体調が悪くなっていたりといったことから幻覚の症状が現れている可能性もあります。本人の話をよく聞くとともに、熱や体の痛みなどはないか、水分補給は十分か、便秘などが起こっていないか、といった体調面についてもよく確認しましょう。

症状がひどい場合や、幻覚と同時に興奮が見られるような場合は早めに医師に相談しましょう。とくに、認知症の症状として一般的によく知られるもの忘れなどの記憶障害は、レビー小体型認知症の初期にはあまり現れない傾向があります。もの忘れはほとんどないけれど、幻覚の症状はよく見られる、という場合、ぜひ一度認知症の専門医を受診してみましょう

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おわりに:実際にはないものが見える「幻覚」は、否定せず安心してもらう

他の認知症では見られにくい、レビー小体型認知症に特徴的な症状として「幻覚」があります。この幻覚は「実際にはないものが見える」というもので、主に動物・昆虫・人間などに関するものですが、ときには環境に関する幻覚が見えることもあります。

幻覚に対しては否定せず、「もう追い払いましたよ」などと、対処したとして安心してもらいましょう。影や壁の傷など、見間違いが起こりやすい環境を改善することも効果的です。

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