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レビー小体型認知症の介護のときに気をつけることとは?

認知症

レビー小体型認知症とは、主に65歳以上の高齢者に発症する認知症の1つで、脳の神経細胞が何らかの状態で減ってしまい、脳の機能が低下するタイプの認知症です。認知症の中で最も多いアルツハイマー型認知症とは少し症状のタイプが違うため、介護の注意点が異なります。

もし、ご家族や周囲の型がレビー小体型認知症になった場合、どのように判断・対応すれば良いのでしょうか?特徴的な症状と具体的な対応方法をご紹介します。

レビー小体型認知症になると、どんな症状が現れるの?

レビー小体型の認知症では、以下のように認知機能の障害そのもののほか、幻視・パーキンソン症状などが見られます。

認知機能障害
  • 日時や場所など、いま自分が置かれている状況が把握できない
  • 会話の流れを理解できない
幻視
  • 発症初期から現れ、実際には見えないものが現実感を伴って見える
  • 他の認知症では現れにくい特徴的な症状で、夜間に現れやすい
  • 「知らない人がいる」「壁に虫がついている」などの訴えが多い
パーキンソン症状
  • 体が固くなって動きづらくなる、手が震える、急に止まれないなどパーキンソン病に似た症状が出る
  • これらの症状によって転倒から寝たきりになってしまう場合も多い
  • 便秘・尿失禁・起立性低血圧などの自律神経障害も見られる

そのほか、気分や態度がころころと変わりやすくなり、穏やかな状態から突然に無気力、興奮、錯乱などの変動を1日に何度も繰り返したり、夜にしっかり睡眠をとっていても日中に眠り込んでしまったり、という症状が見られます。

介護するときは、どんなことを心がけるべき?

レビー小体型認知症の場合、他の認知症と比べて幻視やパーキンソン症状など、周囲の対応や介護、治療薬が重要な症状が多く見られます。そこで、「適切な薬物治療」「適切な介護」「転倒の予防」の3つのポイントから詳しく見ていきましょう。

適切な薬物治療ってどんなこと?

レビー小体型認知症では、認知機能の低下以外にもさまざまな症状が現れますので、症状に合わせた薬剤を使うことが大切です。例えば、幻視や妄想などの精神症状に対応する薬剤、パーキンソン症状に対応する薬剤、便秘などの自律神経症状に対応する薬剤は全て異なります。また、認知機能に関する「アセチルコリン」という脳内物質がアルツハイマー型認知症よりも少なくなっていることが多いため、抗認知症薬がより効果的に作用すると考えられています。

しかし一方で、レビー小体型認知症の人は薬剤に対する反応性が高いことも知られています。過敏に反応してしまうため、さまざまな副作用が現れやすいことや、通常の服薬量でも効果が強すぎる、症状が悪化する、などといったことが起こりえます。市販の風邪薬やアレルギー薬、胃腸薬などで具合が悪くなることもあります。

とくに、幻視や妄想・興奮などを抑えるための抗精神薬で症状が悪化することもあります。ですから、服用に際しては医師の注意をしっかり守るとともに、少しでも異常が現れた場合はすぐに主治医に相談しましょう

適切な介護ってどんなこと?

介護を適切に行うためには、レビー小体型認知症に特徴的な「幻視」をはじめ、睡眠中に大声で寝言を言ったり、歩行や動作に支障をきたしたりという症状を把握しておく必要があります。これらの症状はアルツハイマー型認知症では見られず、また、アルツハイマー型認知症に現れやすいもの忘れなどの記憶障害は初期には登場しないことがポイントです。

レビー小体型認知症はこれらの多彩な症状が一度に出るとは限らず、症状の経過とともに目立って現れる症状も変わってきます。そのため、本人の状態をよく観察し、そのときどきの症状に合わせた対応をしていくことが大切です。

転倒の予防ってどんなこと?

レビー小体型認知症では、パーキンソン症状という身体の自由がきかなくなる症状が現れます。具体的には体の筋肉や関節が固くなってしまい、思うように動かなくなるというものですが、このために動作がゆっくりになるだけでなく、小股やすり足といった足を上げずに歩く所作が多くなるので、何もないところでもつまずきやすくなります。

さらに、姿勢を保つ・立て直すなど、反射的な動作ができにくくなります。すると、少し何かにぶつかっただけでも体勢を元に戻せず、そのまま転倒してしまうのです。これに認知機能の低下の症状が加わると、注意力や集中力も乏しくなるため、ますます転倒の危険性が増します。自律神経障害による急激な血圧の低下にも注意が必要です。

こうした特徴的な症状から、レビー小体型認知症の人はアルツハイマー型認知症の人よりも約10倍転びやすいと言われています。転倒によって骨折したり、頭部に外傷を受けたりして、寝たきりや認知症症状がより悪化することも考えられますので、転倒の予防は重要なポイントです。

具体的な対応策は?

薬物治療は前章でご紹介したとおり、服薬は医師の指示を守った上で、異常があればすぐに医師に相談するというのが具体的な対応策です。介護や転倒予防については、以下のようなポイントに注意して対応すると良いでしょう。

幻視
  • 本人にははっきり見えているので、否定や無視をせず、肯定的に対応して落ち着かせる
  • 例:「知らない人がいる」と言われたら、「私が見張っておくから大丈夫だよ」と返す
レム睡眠障害
  • レム睡眠中に寝言で大声を上げたり、歩き回ったりする場合、外に出ないよう見守り、再び眠るのを待つ
  • ベッドの場合は転げ落ちても骨折などにつながらないよう低いものを使ったり、周囲に障害物を置かないなど環境面での工夫も重要
    ※無理に起こすと、夢と現実を混同してしまい暴力や暴言につながることも
認知機能や意識レベルが低下したとき
  • これらの機能やレベルは一定の変動周期があるため、無理に活動や覚醒させなくてもよい
  • 周期を記録しておき、意識や認知機能がはっきりしているときに集中してリハビリを行えるよう設定する
環境を整備する
  • 前かがみ・小刻み歩行など転倒リスクに対しては、段差をなくしたり手すりを設置したりする
  • 転倒や転落を防ぐため、足元にできるだけものを置かないことも大切

認知症は身体的な怪我などの目に見える疾患とは違い、外から見てはっきりとわかりづらいため、つい本人の意識のせいではないかと疑ってしまうこともありますが、脳機能の低下は本人の意識やもともとの性格とは関係ありませんので、本人に「気をつけて」「注意して」と言っても解決しません。

そのため、あくまでも出ている症状そのものに着目し、症状に対する具体的な対策を立てましょう。適切な投薬指導なども含め、医療機関や医療専門職としっかり連携を取っていくことが大切です。

おわりに:レビー小体型認知症の介護は「症状別」に見るのがポイント

レビー小体型認知症は、アルツハイマー型認知症と比べて非常に症状の出方が多彩であるところが大きな特徴です。とくに、初期に現れるのはもの忘れではなく幻視であることから、一般的なアルツハイマー型認知症の介護とは異なります。

そこで、本人の症状に合わせ、薬物治療を中心とした具体的な対応策が必要になります。ぜひ、主治医とよく相談しながらレビー小体型認知症の人とつきあっていきましょう。

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