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リアリティ・オリエンテーションって、どんなことをするの?

認知症

認知症の人のリハビリテーションには、自宅でできるものから施設で行うものまで、さまざまな方法があります。リアリティ・オリエンテーションもその一つで、他のリハビリテーションと同様、脳を働かせて機能を維持することが目的です。

リアリティ・オリエンテーションでは、現実を正しく認識する「見当識障害」に関する訓練を行います。具体的にどんなことを行うのか、どんな効果が期待できるのか、詳しく見ていきましょう。

リアリティ・オリエンテーションとは?

リアリティ・オリエンテーションは、日本語に直すと「現実見当識訓練」となり、1968年にアメリカで提唱されました。「今は何月何日なのか」「季節はいつなのか」など、現在の時間や自分がいる場所などがわからなくなる認知症の症状「見当識障害」を解消するため、現実に対する認識を深めることが目的の訓練です。

いわゆる個人情報にあたる質問からスタートし、今いる場所や日付などの質問を繰り返したり、日常生活の中で今まで当たり前に行ってきた動作を行ったりといった訓練を行います。場所や日付などが間違っていれば、専門スタッフによって修正が行われます。これにより、対人関係や協調性を取り戻すとともに、残存機能に働きかけ、認知症の進行を遅らせることが期待されます。

リアリティ・オリエンテーションには2種類の方法があり、少人数で集まって行う「クラスルームリアリティ・オリエンテーション」と、日常的なケアの中で行う「24時間リアリティ・オリエンテーション」です。それぞれ、以下のような特徴があります。

クラスルームリアリティ・オリエンテーション
  • 少人数の患者さんが集まり、スタッフが決められたプログラムに沿って進行する
  • 名前・場所・時間・日時・人物・今日の予定など、個人と現在の基本的情報について訓練する
24時間リアリティ・オリエンテーション
  • 患者さんとスタッフの日常生活の中での基本的なコミュニケーションの一環として行う
  • 会話の中で「自分は誰か」「今どこにいるのか」「現在は何時なのか」などの現実認識の機会を提供する
  • 着替えや排泄の介助など、日々のケアの中で意図的に患者さんの注意や関心を天気・曜・時間に向ける
  • 室内に季節の花を飾る、朝食の味噌汁の匂いや旬の魚を焼く香りを伝える、登校中の子どもたちの声に注意を向けるなどして、見当識への手がかりを与える
  • カレンダーを見ながら「今日は3月3日だからひな祭りですね」など、行事を取り入れて「今日」を意識してもらう

このように、リアリティ・オリエンテーションでは、認知症の症状として現れやすい見当識障害の進行を遅らせるよう訓練するとともに、患者さん自身が外部の情報から見当識を得る手助けをします。しかし、この療法を受けられる病院や施設は限られていますので、リアリティ・オリエンテーションを受けたい場合は、一度かかりつけの病院や施設に相談してみましょう。

リアリティ・オリエンテーションの効果と注意点は?

リアリティ・オリエンテーションによって得られる効果は、以下の2点です。

コミュニケーションが深まる
  • スタッフや参加者との会話の機会が増えることで、コミュニケーションが深まる
  • コミュニケーションによってお互いの理解と信頼が深まれば、ケアの質の向上にもつながる
認知症の症状の改善
  • 見当識障害の進行を防いだり、改善したりする効果が期待できる
  • 今日は何日で、今どこにいるのかなどをしっかり意識できることで、不安や混乱などのストレスを軽減できる可能性がある

リアリティ・オリエンテーションは、通常のケアや他の療法と同時進行できるほか、日常的なケアやレクリエーションなどを通じてコミュニケーションをはかりながら働きかけることで、本人とスタッフやご家族との交流が深まり、よりよい信頼関係を築くこともできます。

一方、以下のようなことに注意する必要があります。

  • 「今日は何日ですか?」「今、どこにいるかわかりますか?」など、試すような質問はしない
  • 認知症の本人が答えにくい質問をしたり、思い出すことを強制したりしない

リアリティ・オリエンテーションは、あくまでも普段の何気ない会話の一部として行うケア方法です。ですから、見当識障害を解消するとは言っても、クイズや試験のように「今日は何日ですか?」「私が誰だかわかりますか?」などと、認知症の本人を混乱させてしまうような質問はしません

正しいリアリティ・オリエンテーションとしては、「今日は7月7日だから、七夕ですね」「今は11時30分ですね。もう少しでお昼ご飯の時間ですね」などと、はじめにこちらから認識を伝えていきます。テストをするのではなく、本人が見当識を得られるようなサポートをするという認識で行いましょう。

他にも、認知症の本人にとって嫌な記憶とつながるようなことや、答えにくい質問をしてしまうと、逆に不安やストレスが増してしまったり、混乱してしまったりすることもありますので、質問や働きかけの内容には十分に注意が必要です。

おわりに:リアリティ・オリエンテーションは見当識障害を改善する

リアリティ・オリエンテーションは、日本語に直すと「現実見当識訓練」となり、認知症の症状として特徴的な「今がいつか」「ここはどこか」などがわからなくなる「見当識障害」に関する訓練を行います。

あくまでも日常の何気ない会話の一部として、季節や朝・昼・晩など1日の中での時間帯、場所、自分についてなどの認識を深めます。自然と会話が増えますので、周囲の人とコミュニケーションが深まるメリットもあります。

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