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MCIスクリーニング検査ってどんな検査?どんなメリットがあるの?

認知症

MCIスクリーニング検査とは、認知症の前段階である「MCI」という状態を早めに発見し、対処や治療を始めよう、という考え方から生まれた検査です。つまり、認知症を早めに発見し、早めに進行を食い止めよう、ということです。

認知症を防ぐために、MCIスクリーニング検査とは何を調べ、どんなことがわかるのか、また、どんな人が受ければいいのか、どんなメリットがあるのかについて知っておきましょう。

MCIってどういう意味?スクリーニング検査では何がわかる?

MCIとは「軽度認知障害」のことで、認知症とまでは言えないが、健常ではないレベルで認知機能に何らかの障害が生じている状態のことを指します。認知症の場合は日常生活に支障が生じますが、軽度認知障害では日常生活に支障をきたすほどではないため、自立して生活することもできます。そのため、「健常者と認知症の中間の状態」と称されることもあります。

しかし、日常生活に支障がないからと放置していると、1年で約10%以上が、5年間で約50%以上が本格的な認知症に進行することもわかっています。このため、MCIの状態のときに適切な対処や投薬などの治療を行うことが大切です。適切な対処や投薬を行えば、約46%の人で認知機能の改善や健常状態への回復が望めると言われています。認知症の進行を抑えることもできます。

こうした認知症の中でも、もっとも多いのは「アルツハイマー型認知症」です。認知症を発症した人の約半数がこの「アルツハイマー型認知症」で、現在もっとも有力な仮説によると「アミロイドβ」というタンパク質が脳内に蓄積し、蓄積したアミロイドβが神経細胞を破壊することによって、認知機能が低下するとされています。この「アミロイドβ」の蓄積は、認知症を発症する約20年ほど前から始まっていると考えられています。

そこで、アルツハイマー型のMCIを早期発見するために、アミロイドβがどのくらい蓄積しているかを判断する「MCIスクリーニング検査」という検査が開発されました。この検査では、アミロイドβを排除したり、毒性を弱めたりする血中のタンパク質3種類を調べ、MCIのリスクを判定します。判定精度は約90%と言われています。

MCIスクリーニング検査を受けたほうがいいのはどんな人?

MCIスクリーニング検査を受けた方がいいのは、以下のような人です。

  • 50歳以上の人
  • 自分が認知症かもしれない、または将来的に認知症になるかもしれないと不安がある人
  • 家族や周囲の人が何らかの異変に気づいた人

認知症の発症者は70歳台に入ると急激に増えるとわかっています。これに対し、アミロイドβは発症の約20年前から蓄積が始まっていると考えられます。そこで、70歳の20年前である50歳ごろから、自覚症状がなくても定期的に検査を受けておくのがおすすめです。また、家族や周囲の人が「以前とは様子が違う」と気づいたら、検査を受けておく方が良いでしょう。

アミロイドβなどの発見によって、アルツハイマー型認知症は生活習慣病の1つと考える向きも出てきています。ということは、早い段階で生活習慣を改善したり、医療が介入することによって、進行を食い止めたり、認知症の発症を遅らせたり、抑えたりすることもできるようになってきた、ということです。しかしもちろん、そのためには早期発見が重要です。

発見が早ければ早いほど、投薬などに頼らずとも日常生活を工夫することで認知症の発症を予防できます。栄養バランスの良い食事、適度な運動、生きがいとなる趣味、認知機能をアップさせるトレーニングなど、国内外の論文で認知機能の低下を改善する効果が証明されています。

そのほか、MCIスクリーニング検査を受けるメリットには以下のようなものがあります。

  • 身近なかかりつけ医に検査してもらえる
  • 検査は採血のみで簡単に行える
  • 検査結果や予防指導は、医師から本人に説明してもらえる
  • 自由診療なので、検診やカウンセリングと組み合わせることもできる

検査はどうやって受ければいいの?

MCIスクリーニング検査は、全国どこでも行っているというわけではありませんので、検査を受けたい場合はまず、実施している医療機関を探しましょう。インターネットなどで検索すると、近くでMCIスクリーニング検査を行っている施設を探すことができます。ただし、医療機関によっては診療予約が必要になることもありますので、医療機関のホームページなどを確認し、予約が必要なのかどうかを確認しておきましょう。

当日は採血のみの検査ですから、特別な準備は必要ありませんが、体調管理には気をつけましょう。風邪や熱など、体調不良がある場合は採血できない場合もあります。2〜3週間で検査結果が届きますので、検査した医療機関に行って結果を受け取りましょう。判定結果はリスクに応じ、A〜Dの4段階で表されます。

  • A:1〜2年に1回の検査を推奨(MCIのリスクほぼなし)
  • B:1年ごとの定期検診を推奨(MCIのリスク低め)
  • C:6ヶ月〜1年ごとの定期検診を推奨(MCIのリスク中程度)
  • D:2次検査を推奨(MCIのリスク高め)

A〜Cの場合は指定された時期ごとに定期検診を、Dの場合はMCIかどうかをより正確に判定するために、専門の医療機関で2次検査を行いましょう。また、どの結果であったとしても生活習慣の改善はほかの疾患を予防するためにも重要です。医師から特別な指示や指導がなくても、できる範囲で始めておくと良いでしょう。

MCIスクリーニング検査の注意点は以下のとおりです。

  • 保険適用ではなく、全額自費診療
  • 肝硬変や重度の栄養不良、自己免疫性疾患がある場合は検査結果に影響することも
  • 既に認知症の診断を受けている人は検査の対象外
  • あくまでもリスクを調べる検査のため、MCIスクリーニング検査だけでMCIが確定診断となるわけではない

MCIスクリーニング検査は、あくまでも「リスク」を判定する検査で、現在MCIの状態かどうかを確定診断するものではありません。そのため、リスクが高いと判断された場合は2次検査が必要となる場合があります。また、この検査は保険適用ではないため、検査費用が医療機関によって異なります。詳しくは、検査を受ける医療機関に問い合わせてみましょう。

おわりに:MCIスクリーニング検査は簡便で精度も高い検査

MCIスクリーニング検査は、採血のみで行える簡便な検査にも関わらず、約90%と高い精度を誇るところが大きなメリットです。しかし、あくまでも「リスク」を判定する検査ですから、MCIスクリーニング検査で「リスクが高い」と判定された場合、2次検査が必要になることもあります。

また、この検査は保険適用ではないため、費用が医療機関ごとに異なります。実際の費用は、検査を受ける医療機関に問い合わせてみましょう。

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