認知症の日常生活自立度ってなんのこと?

認知症

認知症とは、もの忘れや日時・人の顔がわからなくなるなどの症状を言います。しかし、その症状の重さや介護を必要とする度合いは人それぞれですから、書面でやり取りする場合や、医療従事者、介護従事者などが相互に状況を把握しやすいよう、一定の基準が必要とされました。

このことから作られたのが「認知症日常生活自立度」という基準です。今回は、この基準のランクや分類を詳しく見ていきましょう。

認知症日常生活自立度ってなんの基準なの?

「認知症日常生活自立度」とは、ざっくり言うと認知症の人にかかる介護の度合いや大変さをランクづけして分類したものです。こうした分類があると、医療関係者や介護事業などの関係者が書面でやり取りする際にも共通認識として大まかな状況が判断できるため、便利な指標です。また、介護保険の認定の際の認定調査の資料や、主治医意見書の書類などにも使われる分類です。

ランクには「自立・Ⅰ・Ⅱa・Ⅱb・Ⅲa・Ⅲb・Ⅳ・M」の8段階があり、Ⅰに近いほうが軽く、Ⅳに近くなるほど認知症の度合いが重いと分類されます。認知症の症状がないと判断された場合「自立」と分類されます。

レベル別の判定基準と特徴は?

では、実際に自立以外のそれぞれのランクがどのように判断されているのでしょうか。基本的な判断基準としては、以下のように設定されています。

  • 何らかの認知症の症状があるが、日常生活は家庭内及び社会的にほぼ自立して行える状態
  • この段階では、基本的に在宅で自立した生活が可能
Ⅱa
  • 日常生活に支障をきたす行動や症状、意思疎通の困難さが家庭外で多少見られる
  • ただし、誰かが注意していれば自立できる状態
Ⅱb
  • 日常生活に支障をきたす行動や症状、意思疎通の困難さが家庭内で見られるようになる
  • ただし、誰かが注意していれば自立できる状態
Ⅲa
  • 日常生活に支障をきたすような行動や症状、意思疎通の困難さが主に日中を中心に見られる
  • 介護を必要とする状態
Ⅲb
  • 日常生活に支障をきたすような行動や症状、意思疎通の困難さが夜間にも見られるようになる
  • 介護を必要とする状態
  • 日常生活に支障をきたすような行動や症状、意思疎通の困難さが頻繁に見られる
  • 常に介護が必要な状態
M
  • 著しい精神症状や周辺症状、または重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする状態

「いつ、どこで」困りごとや症状が起こっているのかが重要な判断基準です。家の中なのか外なのか、日中なのか夜も見られるのか、などです。さらに、見守り→声かけ→時々介護→常時介護、という順に、必要な援助の多さによってランクの判定も重くなっていきます。さらに、各ランクの状態について詳しく見ていきましょう。

日常生活自立度「Ⅰ」ってどんな状態?

軽度のもの忘れがあるものの、火の不始末や薬の飲み忘れなど、大きなミスにつながるようなもの忘れは見られないような状態を指します。この状態では、家族や支援をする人がいれば、日常生活でほとんど困ることはないでしょう。また、認知症ではなく、年齢相応のもの忘れの場合も時々このレベルとして判定されてしまうこともあります。

さらに、認知症という段階ではなく、認知症になる一歩手前の「軽度認知障害(MCI)」である場合もあります。MCIであれば、適切な処置を行うことで認知症に進行するのを防ぎ、健康な状態に戻れることもありますので、もの忘れが出てきて心配だと言う人は、ぜひ早めに専門医を受診しましょう。

日常生活自立度「Ⅱa・b」ってどんな状態?

Ⅱa・bの違いは、認知機能の低下が家庭外で見られるか、家庭内で見られるかというものです。一般的に、自宅の中と外では、住み慣れた自宅内の方がある程度生活習慣に根付いた行動ができるため、過ごしやすいと考えられます。つまり、慣れた環境でも認知機能の低下が見られる方が、症状が重いと判断されるのです。

自宅外は環境が常に変動し、新しいことを記憶したり、目まぐるしく変わる環境に適応したりする能力が必要となります。認知機能が低下している人では、外に出ることは毎回「未開の地での冒険」とも言えるほど大変なことだと考えられるため、外での認知機能の低下は、自宅内での認知機能の低下よりは症状が軽くても現れると考えられるわけです。

また、医師が主治医意見書を書く際には、「内服管理が自分でできるかどうか」をⅡa・bのレベル分岐の基準とすることが多いです。服薬管理ができればa、服薬管理ができなければb、という具合です。

日常生活自立度「Ⅲa・b」ってどんな状態?

Ⅲa・bの違いは、日中に出るか夜間に出るかというものです。夜間に介護負担が増えることは、介護者にとって大きな負担になるというだけでなく、介護者自身の体調不良を招いてしまうこともあります。

症状としては、認知症の中核症状・周辺症状がⅡレベルよりさらに悪化し、支援を受けていても在宅での自立生活が困難となった状態です。食事や排泄など、日常生活の中でも重要な行動が一人では行えなくなるため、介護者の負担が非常に大きくなってきます。

また、Ⅲbでは日中に眠り、夜間に認知症状が出て覚醒、という昼夜逆転の症状が見られることもあります。すると、さらにADL(日常生活動作)面での能力低下を招いてしまうという悪循環に陥る可能性もあります。

日常生活自立度「Ⅳ」ってどんな状態?

Ⅲレベルの状態が常に続くため、目が離せない状態に進行したのがⅣレベルの状態です。ここまで進行すると在宅で家族が介護するのは非常に困難な状態となり、介護者は休まることなく介護に当たらなくてはならなくなってしまいます。できるだけ介護サービスなどを利用し、本人も介護者もできる限り穏やかに暮らしていけるようにする必要があります。

日常生活自立度「M」ってどんな状態?

Mレベルは、せん妄などの一時的な精神状態の悪化などで、専門医を受診する必要がある状態です。とは言っても、この症状は基本的に可逆的なものですから、どのレベルからでもMレベルになることがありますし、逆に症状が治まれば元のレベルに戻る可能性も高い状態です。

おわりに:認知症の日常生活自立度とは、認知症の度合いを表す共通基準

「認知症日常生活自立度」とは、症状や支援の度合いに個人差が大きい認知症の症状を、ある程度のランクに分類し、書面でやり取りする際や介護保険の認定基準などに使うものです。ランクは8段階あり、認知症の症状がなければ「自立」と判断されます。

また、a・bは自宅の内外か、日中か夜間かによって変わります。これは、認知症の本人と介護者の両方の負担によって度合いをつけているものです。

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