物忘れから始まり、生活上のさまざまなことを適切に認識できなくなる認知症。
その初期症状は、ただの物忘れとはどのように異なるのでしょうか。
今回は、老化による物忘れと認知症による物忘れの違いと、これらを見分ける方法について解説していきます。
老化による物忘れと認知症による物忘れの違いとは?
認知症による物忘れは「病気が原因の脳の萎縮や神経細胞の破壊」によるもの、そして老化による物忘れは「加齢による脳機能の衰え」によるものです。
このように認知症と老化による物忘れは根本的な原因が異なるため、現れる物忘れの症状もそれぞれ以下のように変わってきます。
- 認知症による物忘れの特徴
- 物忘れの自覚がなく、忘れていることそのものを忘れている
- 体験したこと、約束したことそのものから、すべて忘れてしまう
- ヒントがあっても、忘れたことを思い出すことができない
- 日常生活に支障が出るほど、物忘れが顕著である
- 物忘れが現れるのと同時に、判断力の低下も見られるようになる
- 加齢による物忘れの特徴
- 物忘れを自覚している
- 体験したこと、約束したことのすべてではなく、一部分を忘れている
- ヒントさえあれば、忘れていたことでも思い出すことができる
- 物忘れによる、日常生活への支障が特にない
- 判断力の低下は特に見られない
ただの物忘れと認知症の物忘れを見分けるためのチェック方法は?
前項で述べた通り、認知症による物忘れと老化による物忘れの原因・症状はそれぞれ異なるため、医師でなくてもある程度見分けることができます。
以下に、物忘れ症状が認知症によるものか、ただの老化によるものかを確認できるチェック項目を設けましたので、確認してみましょう。
認知症による物忘れ、チェック項目
- 出来事や話したこと、予定していたことなどをそのまま忘れてしまっているようだ
- 忘れる範囲が地名や人の名前などではなく、最近の出来事をそのものになっている
- 記憶が抜けて途絶えてしまったように、何度も同じことをしたり聞いて確認したりする
- 思い出させようとヒントを与えても、本人は何のことかわからないようだ
- 本人に忘れていることを指摘しても、ピンと来ないようで不審がられてしまう
- 物忘れの範囲や頻度がどんどん増えて、なんだか症状が進行しているような気がする
- 新しいことを覚えられなかったり、物事への判断力が低下してきているように見える
- ときどき今日が何月何日か、季節や自分がどこにいるのか、わからなくなるようだ
- 以前と比べて、本人との会話などに違和感を覚える
- 感情が読みにくくなり、常に怒りっぽくなった
- 何事にも無気力に見えて、自発的に行動する機会がどんどん減っている
比較的新しいことを覚えられなくなり、どんどん記憶の連続性がなくなって日常生活に支障をきたすようになるのが、認知症による物忘れの特徴です。
上記のチェック項目に「はい」と答えた数が多いほど、認知症による物忘れである可能性が高いですので、できるだけ早く専門の医療機関に相談してくださいね。
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おわりに:物忘れの範囲と、症状が進行しているかどうかで、認知症による物忘れかを見分けることができる
認知症による物忘れは、比較的新しい出来事や話した内容、約束などをまるごと忘れてしまい、記憶の連続性がなくなる点が大きな特徴です。一方、老化によるただの物忘れでは忘れる範囲が地名・人名など限定的で、本人に忘れている自覚があり記憶の連続性が保たれています。また忘れる範囲がどんどん広がり、次第に判断力の低下や行動への違和感を持つようになるなら、認知症が進行している可能性が高です。早めに医療機関を受診しましょう。
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