認知症の薬、アリセプト®ってどんな薬なの?

認知症

認知症は、いまや4人に1人が高齢者である超高齢化社会の日本にとって避けられない問題の1つです。しかし、認知症はまだ完治できる治療薬が開発されていないため、発症がわかったら進行を食い止めるタイプの薬を使います。

アリセプト®もそうした薬の1つで、アルツハイマー型認知症に対して作用する薬です。そこで、この記事ではアリセプト®がどのように作用するのか、服用方法や副作用の注意点はあるのかなどをご紹介します。

アリセプト®はなぜアルツハイマーに効くの?

アルツハイマー型認知症は、記憶力の低下が特徴です。脳の中で情報伝達物質として働く「神経伝達物質」のうち、記憶や学習に関わる「アセチルコリン」という物質が減ることが、アルツハイマー型認知症のもの忘れに関わっていると考えられています。アリセプト®は、このアセチルコリンの減少を食い止めることで、認知症の症状を進行を止める「コリンエステラーゼ阻害薬」というタイプの薬です。

コリンエステラーゼとは酵素の一種で、とくに「アセチルコリンエステラーゼ」は前述の神経伝達物質「アセチルコリン」を分解し、働きを失わせてしまいます。そこで、アリセプト®はこの「アセチルコリンエステラーゼ」の働きを阻害し、アセチルコリンを分解させないことでアセチルコリンの濃度を増やし、アルツハイマー型認知症の認知機能障害を進行させないよう食い止めます。

このように、アルツハイマー型認知症の患者さんの脳では「コリン系」という神経伝達物質とその物質を使う神経系の機能が低下している、だから認知機能に障害が起きていることがメインの病状なのである、とする「コリン仮説」は1982年から唱えられるようになりました。この仮設に基づいた薬剤開発により、アリセプト®は1999年に抗認知症薬として認可された薬です。

アリセプト®は発売から10年以上経過しているので、後発のジェネリック医薬品も開発されています。また、アルツハイマー型認知症だけでなく、レビー小体型認知症にも使用が認められています

アリセプト®はどうやって飲めばいいの?

アリセプト®も他の薬剤と同じように、基本的には主治医の指示に従って、決められた量を服用していきます。一般的には、以下のような順番で服用します。

最初の1〜2週間:1日1回3mgを服用
体を薬に慣らすための服用期間
1日1回、5mgを服用
進行を抑える薬なため、症状に変化がないことが薬が効いている証拠
治らないからと服用を途中でやめないよう注意する。また、服用中でもいつもと違う症状が出る場合は別の薬を追加する場合もあるため、気になる症状があれば主治医に相談する
病態が高度に進行した場合:1日1回、10mgを服用
5mgでも進行する場合、10mgに増量することもあるが、必ず5mgを4週間以上服用した後に行う。症状によっては、5mgに再度減量することもありうる

アリセプト®には錠剤・ドライシロップ・ゼリー剤の3種類があります。錠剤は口の中で崩れるタイプなので、少量の水でも飲み込めるようになっていますが、錠剤が飲みにくい場合、ドライシロップやゼリー剤も選べます。ドライシロップは水に溶かすか、粉のまま水とともに飲み込みます。ゼリー剤は、スプーンなどですくって飲みます。

ただし、ゼリー剤はカップやアルミ袋ごと、脱酸素剤ごと口に入れないこと、服用し残してしまったゼリー剤を時間が経ってから再度服用しないこと、に注意が必要です。

また、アリセプト®を飲み忘れてしまった場合は、1日程度ならとくに影響ありませんので、次の日にそのままいつも通りの1錠を飲みましょう。2日分を一度に飲むことはしません。また、自己判断で勝手に服用を中止したり、副作用が出るからと勝手に飲むのを止めたりしないようにしましょう。効果がないと感じてしまう場合も、副作用が出る場合も、必ずまず主治医に相談してください。

アリセプト®の副作用は?

アリセプト®は、飲み始めのときに軽い吐き気や下痢、食欲不振などの副作用が出ることがあります。とくに、3mgで体を慣らしているときや、10mgを服用開始し始めたときに出ることがありますが、これらは体が薬に慣れれば約1週間程度で消えていきます。

また、パーキンソン症状が悪くなるなど、体の動きが悪くなったり、いつもと違う症状が現れることもありますが、これらは認知症が進行したのか薬の副作用なのか見ただけではわかりませんので、このような症状が出た場合には主治医に相談しましょう

アリセプト®の副作用は上記に挙げた2つの軽いものが多いのですが、ごくまれに精神症状が出ることも報告されています。幻覚・興奮・眠気・めまい・ふらつき・不眠・手のふるえ・口唇のふるえ・元気がなくなるなどの症状で、これらは認知症そのものの病態が進行した場合と区別がつきにくいため、周囲の人が見過ごさないよう注意して観察することが大切です。

アリセプト®はあくまでも進行を抑えるだけで、認知症を完治するための薬ではありません。そのため、正しい情報を知り、適切な診断とともに副作用に注意しながら使用し、ただだらだらと投与し続けないことが重要です。10mgまで投与できるとはいえ、用量が増えれば副作用のリスクも高まることには気をつけましょう。

おわりに:アリセプト®は神経伝達物質の分解を阻害し、認知症の進行を食い止める

アリセプト®は、記憶や学習に関わる「アセチルコリン」という神経伝達物質を分解してしまう「アセチルコリンエステラーゼ」という酵素の働きを阻害することで、認知症の進行を食い止める薬です。

3mgで体を慣らしたあと、基本は5mgで服用します。錠剤がうまく飲めない場合はドライシロップやゼリー剤もあります。症状が重いときは10mgまで増量できますが、副作用のリスクも高まりますので、十分注意して使いましょう。

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