高齢者向けの介護施設には、特養や老健、療養病床、ケアハウス、シニア向け分譲マンションなど、さまざまな種類があります。
今回は療養病床とも呼ばれる「介護療養医療施設」の特徴や利用のメリット・デメリット、施設の今後について解説していきますので、参考にしてください。
介護療養医療施設って、どんな施設なの?
介護療養医療施設とは、病気になったばかりで24時間体制のケアが必要な急性期を脱したものの、慢性的な医療ケアが必要な高齢者向けの介護施設です。
原則として65歳以上、要介護度1以上の高齢者が入居できる施設で、利用者6人対し看護師と介護職員が1人の割合で配置され、以下のような医療・介護ケアが受けられます。
- 医師や看護師による医学的管理課での胃ろう、経鼻栄養、たんの吸引などのケア
- 食事や入浴、排せつに伴って必要になる、基本的な身体介助サービス
- 機能訓練指導員や作業療法士による訓練や、リハビリテーション
ただし、掃除や買い物、レクリエーションなどの生活援助はあまり受けられません。
65歳以下であっても、要介護認定がある場合は入居の相談ができますが、実際は80歳以上の要介護者が多く入居している状態が続いています。
このため、65歳前後の慢性期で要介護度の低い人ほど、入居が難しいのが現状です。
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介護療養医療施設のメリットとデメリットは?
介護療養医療施設を利用し、入居するメリット・デメリットしては、それぞれ以下が挙げられるでしょう。
- 介護療養医療施設利用のメリット
- 入居一時金が必要なく、月額およそ10~20万と比較的安価で利用・入居できる
- 基本的な介護サービスに加え、医療ケアや機能訓練まで充実している
- 介護療養医療施設利用のデメリット
- 入居難易度が高いうえに終身制でなく、退去を言い渡される可能性がある
- 基本的に多床性(大部屋)で入院的な側面が強く、レクリエーション等も少ない
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介護療養医療施設がなくなったあとは、どんな施設ができるの?
介護療養医療施設は、主に以下2つの理由から2023年度末の廃止が決定されています。
- 支払いに医療保険や介護保険制度が適用されることから、国庫が圧迫されている
- 医師や看護師など、現場でケアに当たる医療従事者の負担が増大している
なお廃止後は、これまで介護療養医療施設を利用していた人々への受け皿として「介護医療院」という介護施設を新設していくことになっています。
介護医療院は日常的な医学的ケアはもちろん、従来の介護療養医療施設が対応していなかった終末期ケアや看取り、レクリエーションなど生活施設の面も併設した介護施設です。
2023年度末の介護療養医療施設廃止が近づくにつれ、より詳細な情報が発表される機会も増えていくでしょうから、チェックしてくださいね。
おわりに:介護療養医療施設は、慢性疾患を持つ人への医療的ケアが充実した介護施設のこと
介護療養医療施設には、6人の利用者に対し1人の看護師や介護職員が配置されているのが特徴です。このため一般的な高齢者向け介護施設に比べ、医療ケアが充実していると言えます。
しかし一方で看取りまでの入居が難しく、生活援助やレクリエーションが充実していないというデメリットがあり、2023年度末までの廃止も決定されています。
廃止後は介護医療院への移行が決まっていますので、よく調べて理解したうえで、入居を検討しましょう。
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