介護サービス事業所から受けられる介護の中には、介護保険が適用されるものと、適用されないものがあります。
今回は、介護保険の適用内・適用外両方の介護サービスを受ける「混合介護」について、その概要やメリット・デメリットを解説していきます。
混合介護って?
介護を受ける人が、介護保険が適用される介護サービスと、介護保険が適用されない介護事業所からのサービスを併用して受けることを「混合介護」と言います。
介護保険の適用を受けられる介護サービスの費用は1~2割負担、適用を受けられない介護サービスの費用は全額、利用者の実費負担です。
保険の適用内・適用外の介護サービスの具体例としては、以下が挙げられます。
- 介護保険適用内の介護サービスの例
- 介護保険適用外の介護サービスの例
- 病院での待ち時間中、診察の付き添い、トイレの介助
- 通所型事業所や老人ホームなどでの、夜間宿泊
- 訪問先での、要介護者本人以外への生活や家事支援 など
大まかに言えば、介護を必要とする本人の生活・介助・治療に直接かかわる介護サービスは保険の適用内、家族など本人以外のためのサービス利用は適用外と考えられますね。
なお混合介護の利に用は、厚生労働省より保険内・外の介護サービスを「同時・一体的に利用(または提供)してはならない」というルールが定められています。
政府および厚生労働省は、たとえ混合介護を利用する場合でも、介護保険の適用内・外の介護サービスは明確に区分されるべき、と考えているのです。
一方で2016年9月、公正取引員会が発表した「介護分野に関する調査報告書」によると、多くの市区町村が「連続」で混合介護を受けることはOK、との見解を示しています。
「同時・一体的な利用」はNGなのに、「連続」での利用はOK。この説明だけでは、混合介護をどのように利用すればいいのか、非常にわかりにくいですよね。
以下に、混合介護として認められない「同時・一体的な」、また認められる「連続」での介護サービスの利用の具体例をそれぞれご紹介します。参考にしてくださいね。
- 混合介護として認められない、同時・一体的な利用の例
- 要介護者の自宅で生活援助、身体介助と並行して、家族の家事支援まで行うこと
- 通所型事業所のデイサービス利用中に、介護職員に買い物に付き合ってもらう
- 混合介護として認められる、連続した利用の例
- 要介護者の自宅で生活援助、身体介助を終えてから、家族の家事支援を行うこと
- 通所型事業所でデイサービスを利用してから、そのまま夜間の宿泊サービスを利用する
混合介護のメリットとデメリットとは?
混合介護がどのような制度かわかったら、要介護者とその家族にとっての、混合介護を利用することのメリット・デメリットを理解していきましょう。
- メリット
- 付き添いの適用範囲が広がるため、要介護者が外出をしやすくなる
- 生活援助の適用範囲が広がるため、要介護者の住環境や生活の質が向上する
- 要介護者の家族にとって、介護や要介護者との同居による家事負担が軽くなる
この他、介護サービスを提供する事業所にとっては、収益アップが期待できるというメリットもあります。
- デメリット
- 保険適用外の介護サービスは全額自己負担なので、要介護者の金銭的負担が大きい
- 必要な介護サービスの取捨選択が難しいため、過剰に取り入れてしまい、要介護者の自立が妨げられる恐れがある
この他、介護保険適用外のサービスまでケアプランに盛り込むことが求められるため、介護プランを作成するケアマネジャーの負担増大がデメリットとして挙げられます。
おわりに:混合介護とは、介護保険の適用内・外の介護サービスを併用すること
介護保険の適用を受けた介護サービスと、保険適用外の介護サービスの両方を受けることを、混合介護と言います。利用者にとっては介護や家事の負担を減らせるメリットがある一方で、費用や介護サービスの取捨選択の負担が増えるデメリットもあります。なお混合介護を受けるには、保険の適用内・外の介護サービスを明確に区分しなければなりません。適切に利用したいなら、まずはケアマネージャーに相談しましょう。
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