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高齢者の貧血は若い人とどう違うの?

老後の不安・悩み

加齢とともに、体のさまざまな機能や内臓の働きが衰えることで、いろいろな症状や不調が現れてくることがあります。中でも、貧血は若い人から高齢者まで、どの年代でも起こりうる症状の1つです。

では、高齢者に貧血が生じた場合、若い人に起こる貧血とどんな違いがあるのでしょうか。詳しい原因や予防法と合わせて、高齢者に起こる貧血の特徴についてお話します。

高齢者の貧血の原因って?

そもそも、高齢者に起こる貧血の原因にはどんなものがあるのでしょうか。主に、以下のようなことが原因として考えられています。

鉄欠乏性貧血
  • 栄養不足による鉄分不足や、悪性腫瘍による持続的な出血が原因で起こる
  • とくに、高齢者の場合は胃がんや大腸がんを発症することもあり、胃や大腸の内視鏡検査を勧められることも
  • 腰痛や関節の痛みに対し、整形外科で処方される消炎鎮痛剤の副作用で消化管から出血することもあるため、注意が必要
慢性炎症性疾患による貧血
  • 悪性腫瘍や感染症、膠原病(関節リウマチなど)などによるもの
  • 体の状態が悪く、十分に鉄があってもそこから赤血球を作れない場合に起こる
  • 高齢者の場合は悪性腫瘍から生じることが多く、次いで感染症や膠原病が続く
骨髄性疾患
  • 骨髄異形成症候群、再生不良性貧血など
  • 骨髄異形成症候群:高齢者では多く、血液の細胞を作る骨髄に異常が起き、貧血になる
  • 再生不良性貧血:薬剤や放射線によって引き起こされることがあり、骨髄で血液を作れなくなって貧血に陥る
老人性貧血
  • 原因がわからない貧血を総じて「老人性貧血」と呼ぶ
  • 加齢によって赤血球を作る能力が低下したり、赤血球を刺激するホルモンに対する感受性が低下したりするのが原因と考えられる

このように、高齢者に起こる貧血とは、主に体の状態が悪くて鉄をうまく利用できないことや、疾患による骨髄の異常によって赤血球や血液の成分を十分に作れないことが原因だとわかります。

高齢者と若い人の貧血の特徴の違いとは?

では、高齢者と若年者の貧血には、どんな特徴の違いがあるのでしょうか。以下の表から見ていきましょう。

項目高齢者若年者
原因体の状態が悪く、鉄があっても利用できない

(悪性腫瘍や感染症、膠原病など)

赤血球を産生する骨髄に問題がある

偏った食事による鉄分不足 など

偏った食事による鉄分不足

女性の月経過多

消化管からの持続的な出血 など

症状動悸、息切れ、疲れやすい、倦怠感のほか、認知症のような物忘れ、狭心症に伴うような胸の痛み、食欲がわかないなど

※若年者と比べて穏やかで、気づかないことも多い

動悸、息切れ、疲れやすい、倦怠感など

※めまいが起こるのは、怪我や激しい月経過多など短時間で急激に出血した場合のみ

若年者の貧血の原因のほとんどは、女性の月経過多や、それに加えて無理なダイエットなどで鉄分不足になって赤血球が作れない「鉄欠乏性貧血」によるものです。そのため、貧血というと若い女性に多いというイメージも強いのですが、消化管からの出血によって起こる貧血の場合は男女ともに起こります。

一方、高齢者にも食事量が減ったり、偏ったりすることによる鉄欠乏性貧血はありますが、その割合は高くありません。高齢者の貧血の内訳を見ていくと、悪性腫瘍が28%で最も多く、次いで感染症、がんではない消化管出血、骨折など、何らかの疾患が原因となっている「続発性貧血」が約80%を占めているのです。

また、高齢者では鉄分は十分に摂取しているにも関わらず、他の栄養素が不足して貧血が起こる場合もあります。例えば、胃の全摘出手術をした人は、ビタミンB12の吸収に必要な物質を分泌できなくなり、手術後5〜10年で体内に貯蔵されたビタミンB12が枯渇し、大球性の貧血が起こります。

他にも、葉酸・亜鉛・ビタミンB6などの欠乏で貧血になることもありますが、こうした栄養素不足による貧血の場合、該当の栄養素を補充すれば改善できます。このような栄養素の不足による貧血は、若年者には比較的起こりにくいものですが、妊娠中の女性では葉酸の吸収が悪くなりやすいため、葉酸不足には注意しましょう。

症状の出方も、若年者では普段は起こらない動悸・息切れ・疲れやすさ・倦怠感などが生じるため「異常だな」とすぐに気づきやすいのですが、高齢者ではこれらの症状が比較的穏やかに起こったり、普段から疲れやすさや息切れ・倦怠感などを感じていたりといった理由で、すぐには異常だと気づかない場合も少なくありません。

高齢者の貧血は予防できる?

腫瘍・感染症・骨髄性などの疾患による貧血や、消化管からの出血による貧血は予防しようとしても難しいものですが、鉄欠乏性貧血は鉄分不足が原因ですから、日々の食事によって十分に予防することができます。炭水化物をメインとした主食、タンパク質を主に含む主菜、ビタミンやミネラルの多い副菜をはじめ、乳製品や果物も適宜摂取すると良いでしょう。

高齢になるとお腹が空きづらかったり、運動不足になりやすかったりして食事量が減ってしまいがちですが、1日30分以上の運動とバランスの良い3食の食生活を心がけ、十分な栄養やエネルギーと鉄分を摂取しましょう。また、症状がなくても1年に1回程度、定期的な健康診断を受け、自分の血液の状態を把握しておくのも大切です。

また、以下のような「鉄分・ビタミンC・タンパク質」などの栄養素を含む食材を積極的に摂取すると、血中の赤血球やヘモグロビンの材料になったり、その産生を促してくれたりしますので、栄養素不足が原因となる貧血を予防しやすくなります。

鉄分
  • 70歳代の摂取推奨量は、男性で7.0mg、女性で6.0mg
  • 魚介類(マグロ・カツオの赤身・アサリなど)、肉類(牛・豚・鶏のレバーなど)、野菜類(小松菜・ほうれん草など)、藻類(ひじきなど)、ドライフルーツ(レーズン・プレーンなど)、乾物(切干大根・きくらげなど)
  • 鉄にはヘム鉄(動物性食品に多い)と非ヘム鉄(植物性食品や乳製品に多い)があり、ヘム鉄の方が非ヘム鉄よりも2〜3倍ほど体内に吸収されやすい
ビタミンC
  • 食品中の鉄を体内で利用するために必要で、非ヘム鉄の吸収を良くする
  • 1日に野菜・きのこ・海藻類を350g(うち120gが緑黄色野菜)、果物を150〜200gを目安に食べると良い
タンパク質
  • 体を作る栄養素で、赤血球やヘモグロビンの材料にもなる
  • 体内で作れない9種類の「必須アミノ酸」を効率よく摂取するため、さまざまな食品を組み合わせて摂取するのが大切
  • 1日に魚一切れ(80〜100g)、肉60〜80g、卵1個、牛乳180mL、木綿豆腐1/3丁を目安に食べると良い
ビタミンB12
  • 魚介類(サケ・イワシ・アサリ・シジミなど)、海苔、肉類(レバーなど)
  • ビタミンB12は腸内細菌によっても合成され、一般的には欠乏しないため、神経質になる必要はない
葉酸
  • 肉類(牛・豚のレバーなど)、卵黄、大豆、納豆、ほうれん草、ブロッコリーなど

鉄分はヘモグロビンの中心となる成分でもあり、貧血を解消するためには欠かせない栄養素です。しかし、その鉄分を体内で十分に活かすためには、ビタミンCの摂取やビタミンB12・葉酸など、他の栄養素も忘れず摂取しましょう。

ただし、ビタミンB12は腸内細菌も合成できる栄養素で、基本的に欠乏することはありませんので、胃を切除しているなど特殊な事情がない場合はそれほど神経質にならなくても構いません。

おわりに:高齢者の貧血は若年者と違い、疾患による「続発性貧血」が約80%

高齢者と若年者の貧血の最も大きな違いは、高齢者では疾患が原因で起こる「続発性貧血」が多いのに対し、若年者では月経過多や栄養不足による「鉄欠乏性貧血」が多いということです。また、症状が穏やかに出て気づきにくいこともあります。

疾患による貧血は予防しにくいですが、鉄欠乏性貧血や栄養不足による貧血は日々の食事で予防できます。バランスの良い食事で、鉄・ビタミンC・タンパク質などを積極的に摂取しましょう。

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