認知症患者は進行すると、排泄や食事を自力で行うことも難しくなります。
また、人によっては周囲が食事の介助をしても食べたくないと怒ったり、吐き出してしまい、食事そのものを拒否するケースもあります。
今回は認知症の人が食事を拒否する理由と、少しでも食事を食べてもらうために周囲ができる対策について、見ていきましょう。
認知症で食事を拒否してしまう原因とは?対処法はある?
認知症患者が食事を拒否する理由としては、以下4つの可能性が考えられます。
認知症による食事拒否、考えられる4つの原因
- 目の前の食事が、食べ物であると認識できていない
- 認知症状により、視覚情報から目の前の物体を食べ物であると認識できないために、食べるのを拒否しているパターン
- 特定の食べ物の、食べ方がわからなくなっている
- 認知症状の一種である「失行」により、汁物やごはんなどの特定の食べ物の食べ方や、箸などの道具の使い方がわからず、食べられなくなっているパターン
- 周囲の環境の影響から落ち着けず、食事できない状態になっている
- 食事の姿勢や周囲の音、光、眠気の有無などその時の環境が原因で落ち着けず、食事をする気分になれなくて食べられない、というパターン
- 食事が苦しいため、食べたくない
- 食事をうまく飲み込めない嚥下障害や、入れ歯や虫歯の影響でうまく噛めないなど、本人にとって食事が辛い・嫌なこととして認識されて、食べないパターン
このように、認知症患者が食事を拒否する背景には、脳の認知機能とこれに伴う身体機能の低下による原因が存在しているのです。
以下からは4つの原因別に、認知症患者に食事を食べてもらうために周囲ができる対策をそれぞれご紹介します。
関連記事:認知症の周辺症状とは?どうやって対応すればいいの?
認知症患者の食事拒否への、原因別の対処法
食事と認識できず、食べられないようなら…
目の前の食べ物が何か具体的に言葉で説明したり、食べ物の香りや温度、感触など視覚以外の感覚で補い、食事を認識できるよう促してあげましょう。
食べ方、道具の使い方がわからないようなら…
本人の視界に入る位置で、家族や介護職員がゆっくりと食べて、食事に必要な動作や道具の使い方のお手本を見せてあげましょう。
また、一皿当たりの食事の盛り付け量を変える、食器の数を増減させて、食事の見た目を変えてみるのも、認知症患者の食事に対する混乱を和らげるのに効果的です。
そのときの環境が原因で、食事ができないようなら…
まず食事に集中できない原因が本人の中にあるのか、それとも外部環境にあるのか、様子を観察して考えてみましょう。
体の痛み、眠気、排泄の欲求や便秘による不快感を持っているようなら、本人の内部に環境問題がありますから、椅子の高さや位置、食事のタイミングを工夫してください。
本人の状態に問題がなさそうなら、周囲の音や明るさ、装飾などが原因と考えられます。
認知症患者の過去の生活環境に近くなるよう、雑音や明るさの程度、装飾を変えてみましょう。
食事に嫌なイメージがあり、食べられないなら…
口のなかに虫歯や傷、入れ歯のガタツキがないか、まずは確認してみてください。また、食事中に咳き込んだり苦しそうにしているなら、嚥下能力が低下しているのかもしれません。
いずれにしても、食事中の様子に変化が見られるなら、早めに歯科・内科・耳鼻科などの医師に相談しましょう。
関連記事:認知症の人が食事をとるとき、どんな環境を作ってあげればいい?
食事を食べてもらうための注意点は?
認知症患者に、毎日きちんと食事を食べてもらうためには、食事の内容や生活習慣において以下のポイントに気を付けると良いでしょう。
食べられなくても怒らず、無理に食べさせない
食事中に怒られることは認知症患者に「食事は嫌、怖い」という認知を植え付けるばかりか、誤嚥性肺炎などの疾患を引き起こす恐れがあります。食べてくれないと焦る気持ちもわかりますが、一食抜いても命に別状はありません。
おおらかな気持ちで、楽しい食事を提供するようにしましょう。
様子の観察と、本人への確認を欠かさない
体調や排泄、口内の問題などから食べられない状況に早めに気が付くため、毎日観察と「今日は調子どう?」という声掛けを欠かさないようにしてください。また体調以外にも、食事中の様子から食器や道具が合っていないと感じるようなら、お皿の色を変えたり、箸からフォークやスプーンに変えてみましょう。
食事のタイミングは、本人の習慣を尊重して
生活や食事のタイミング・メニューが、もともとの習慣と大幅にずれていることが原因で、食事を食べなくなることもよくあります。
本人の過去の食事習慣をベースに、食事の時間帯やメニューを合わせてみましょう。
おなかが空くよう、体を動かす生活習慣をつける
散歩や座ったままできる体操、音楽にあわせて体を揺らしたり歌うなどして、おなかが空くような刺激や運動を生活のなかに取り入れるようにしてください。
おわりに:拒否する原因を見極め、認知症の人にも楽しい食事を
認知症の人が食事を拒否する原因は人によってさまざまです。例えば食事を認識できない、食べ方がわからない、環境が気に入らない、食事が嫌なものになっているなどが考えられますが、ほとんどの場合、本人なりのきちんとした理由があります。
観察と本人への確認から原因を見極め、特定できれば食べることも多いですから、認知症の人、介護する人の双方にとって食事が楽しくなるよう工夫してみましょう。
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