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認知症の医療費を軽減できる自立支援医療ってどんな制度?

認知症

認知症は、2019年現在の医療技術では治療することができず、あくまでも進行を抑えながらつき合っていく疾患です。ですから、認知症を発症してからの期間や受ける介護サービスなどによっては、医療費が高額になってしまうこともありえます。

そこで、医療費が生活を圧迫することのないよう、医療費の自己負担額を減らせる制度が用意されています。今回は、その中の1つ「自立支援医療」という制度についてご紹介します。

認知症の経済的負担を助ける制度の種類は?

認知症患者さんは、通院や介護サービスなど、さまざまな支援を受けるにあたり、医療費の経済的な負担が大きくなってしまいがちです。そこで、認知症患者さんの経済的な負担を軽減するため、以下のような4つの制度を利用することができます。

自立支援医療制度
  • 認知症で通院している場合、外来や投薬、デイケア、訪問看護などの医療費の自己負担額が1割になる
  • 市区町村の障害福祉課や保健福祉課などで申請する
高額療養費制度
  • 医療機関や薬局で支払う自己負担額が1ヶ月単位で一定額を超えた場合、超えた分を後日、加入している医療保険から支払ってもらえる
  • 保険証に記載してある保険者に申請する(国民健康保険なら、市区町村に申請する)
限度額適用認定証
  • 入院するためにあらかじめ医療費が高額になることがわかっているとき、事前に加入している医療保険に申請すると、「限度額適用認定証」が発行される
  • 窓口での支払いを自己負担の限度額までにすることができる
  • また、高額医療費制度で払い戻しされるまで無利子でいったん借りておくことができる「高額医療費貸付制度」という制度もある
高額介護サービス費
  • 1ヶ月間で利用した介護サービス費の自己負担額が一定額を超えた場合、超えた分が後日返金される
  • 市区町村の介護保険担当窓口で申請する

このように、そもそもの自己負担額を下げられる制度や、自己負担額が一定額以上にはならないように申請できる制度があります。年齢や所得に対する上限などもありますが、経済的な負担が大きい場合はぜひ一度、主治医や市区町村の担当窓口に相談してみてはいかがでしょうか

自立支援医療ではどんな支援が受けられるの?

自立支援医療制度とは、精神通院医療制度とも呼ばれ、通院による精神医療を続けなくてはならない人の通院医療費の自己負担を軽減するための公費負担医療制度です。自立支援医療制度の対象となる主な疾患は以下の通りで、認知症以外にも精神疾患によって通院中の人が利用できます。

  • 統合失調症
  • うつ病、躁うつ病などの気分障害
  • PTSDなどのストレス関連障害、パニック障害などの不安障害
  • 知的障害、心理的発達の障害
  • 薬物などの精神作用物質による急性中毒またはその依存症
  • アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症
  • てんかん

医療費の負担を軽減することができる医療の範囲としては、「精神障害や、当該精神障害に起因して生じた病態(躁状態、抑うつ状態、幻覚妄想や情動障害などの症状)に対して、精神通院医療を担当する医師による病院または診療所に入院しないで行われる医療」と規定されています。つまり、外来の診療やそれに伴う投薬、デイケア、訪問看護などは含まれますが、入院費や医療保険適応外のカウンセリング、精神疾患と関係ない疾患の医療費は含まれません。例えば、風邪で病院にかかったときの医療費には適用されないということです。

自立支援医療制度を利用すると、医療費は以下のように変わります。

一般の人は、公的医療保険で3割の自己負担が、1割に軽減される
  • 例えば、もともと1月に2,100円を支払っていた人は、700円に軽減される
  • ※ただし、市町村民税が235,000円以上となる一定所得以上の世帯は対象外
1ヶ月当たりの負担にも、所得に応じて上限がかかる
  • 低所得世帯とされる世帯(市町村民税非課税)の場合、負担の上限は5,000円または2,500円まで
  • 中間所得世帯とされる世帯(市町村民税は235,000円未満)の場合、高額医療費の自己負担限度額まで
さらに、統合失調症などにより、高額な医療費の治療を長期間続けなくてはならない場合、中間所得世帯・一定所得以上の世帯にも1ヶ月当たりの負担上限額が定められる
  • 中間所得世帯で市町村民税33,000円未満の場合、負担の上限は5,000円
  • 中間所得世帯で市町村民税33,000円以上235,000円未満の場合、負担の上限は10,000円
  • 一定所得以上の世帯の場合、負担の上限は20,000円

3つめの「重度かつ継続」の場合は対象者が少し限定されており、以下のような人が対象です。

医療保険の「多数回該当」かつ、以下のいずれかの精神疾患の診断を受けている人
  • 直近の12ヶ月間で、国民健康保険などの公的医療保険の「高額医療費」の支給を3回以上受けた
  • ※以下のいずれかの精神疾患の診断を受けた人が対象
  • 高次脳機能障害や認知症など、症状性を含む器質性精神障害
  • アルコール依存症や薬物依存症など、精神作用物質の使用による精神および行動の障害
  • 統合失調症、統合失調症型障害および妄想性障害
  • うつ病、躁うつ病などの気分障害
  • てんかん
3年以上精神医療を経験した医師から、以下のように診断を受けた人
  • 情動および行動の障害または、不安および不穏状態を示すことから、入院によらない計画的かつ集中的な精神医療(状態の維持や悪化の予防のための医療を含む)が続けて必要である

重度かつ継続とされる疾患の中に認知症も含まれていますので、症状や医師の判断によっては認知症の人で世帯の所得が一定以上でも負担の上限額を考慮してもらえる可能性があります。ぜひ、主治医に相談してみましょう。

自立支援医療の申請方法は?

自立支援医療の申請は、住んでいる市区町村の担当窓口で行います。市区町村によって担当する課の名称が異なりますが、障害福祉課・保健福祉課などが担当している場合が多いです。申請に必要な書類は、一般的に以下のようになっています。

申請書(自立支援医療支給認定申請書)
  • 市区町村の窓口または医療機関で入手できる
医師の診断書
  • 通院している医療機関で記入してもらう
  • 「重度かつ継続」に該当する場合は洋式が異なることもある
  • 精神障害者保健福祉手帳と同時に申請する場合や、前年にも申請して診断書を提出している場合などは省略できることもあるため、市町村の窓口に確認する
同じ医療保険世帯の所得の状況などが確認できる資料
  • 市町村民税の課税証明書または非課税証明書
  • 非課税世帯の場合、年金の振込通知書など、本人の収入が確認できる書類も必要
健康保険証の写しなど
  • 世帯全員の名前が記載された被保険者証・被扶養者証・組合員証など、医療保険の加入関係がわかるもの
マイナンバーの確認書類
  • マイナンバーカードなど、個人番号が確認できるもの

その他、自治体によって必要な書類が多少異なる場合がありますので、まずは市区町村の窓口に問い合わせてみるのが良いでしょう。

申請が認められると、「自立支援医療受給者証」が交付され、以降は毎回、医療機関を受診する際にこの受給者証と「自己負担上限額管理票」を提示します。受給者証の有効期限は1年以内となっていますので、引き続き自立支援医療制度を利用する場合は、更新の手続きが必要です。概ね有効期間終了の3ヶ月前から受付が始まりますので、忘れないようにしましょう。

自立支援医療制度を利用して医療費を軽減できるのは、各都道府県または政令指定都市などの自治体が指定する「指定自立支援医療機関」で、受給者証に記載されたものに限られます。ですから、通院している医療機関や、今後通院を希望する医療機関が指定を受けているかどうかは医療機関に直接問い合わせるか、都道府県の担当課に事前に確認しておきましょう

おわりに:自立支援医療制度を利用して月々の医療費の負担を軽減しよう

自立支援医療制度は、主に精神疾患に関する通院治療や投薬治療を受けている人が対象の制度ですが、認知症もこの制度の対象者に含まれ、医療費の自己負担を3割から1割に軽減できます。

自立支援医療制度を利用するためには、申請書や医師の診断書、健康保険証やマイナンバーカードなどが必要です。必要な書類は自治体によって異なりますので、まずは主治医と自治体の窓口に問い合わせてみましょう。

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