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睡眠不足が認知症の原因になることがある?

認知症

睡眠は、疲労の回復とともに日中の記憶の整理や成長ホルモンの分泌など、さまざまな脳と体のメンテナンスを行う時間であることがわかっています。最近の研究では、さらに認知症の予防にも関係していることがわかってきました。つまり、逆に睡眠不足は認知症の原因になりかねないのです。睡眠と認知症の関係を知り、十分な睡眠を摂りましょう。

認知症と睡眠不足はどう関係しているの?

認知症は原因疾患によってさまざまなパターンがありますが、中でも最も多い「アルツハイマー性認知症」の原因は、「アミロイドβ(ベータ)」というタンパク質が脳内に沈着し、神経細胞を死滅させることだ、と考えられています。この「アミロイドβ」は日中の活動で生み出され、脳に蓄積されていく物質です。そのため、アミロイドβの産生をなくすことは不可能です。

そこで、溜まったアミロイドβを排出する必要があります。脳以外の全身には老廃物を流し出すためのリンパ組織がありますが、脳にはこのリンパ組織がありません。そのため、脳の老廃物はアミロイドβも含めて「脳脊髄液」に排出されます。この排出作業を睡眠時に行っているという仮説があります。脳は睡眠時には縮み、できた隙間の脳脊髄液に老廃物が染み出し、排出されるというものです。

脳が縮んでいるかどうかはまだ明らかになっていませんが、脳が睡眠中にアミロイドβを排出していることを裏づける実験結果があります。2013年にアメリカ・ワシントン大学の研究班が発表した論文によると、入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒などのある睡眠が不安定な人は、睡眠が安定している人と比べてアミロイドβの蓄積が5.6倍であるというデータです。さらには、実験的に24時間覚醒を続けた結果、通常の睡眠と比べてアミロイドβが増加したという報告もあります。

このように、不安定な睡眠や徹夜などは、アルツハイマー性認知症のリスクを高めることが示唆されています。しかも、そのほかの研究からも睡眠不足は記憶や学習能力を低下させ、糖尿病・高血圧などの生活習慣病のリスクを高めたり、うつ病を発症しやすくしたりすることがわかっています。これらの疾患は、やはり認知症のリスク要因でもあります。

ですから、若い頃から睡眠時間を十分に確保するとともに、眠れない・途中で目が覚めてしまうなどのことがない質の良い睡眠をとるようにして、認知症予防につなげることが大切です。

認知症予防のためには、どんな睡眠習慣がおすすめ?

前章で、睡眠が認知症予防に大きな役割を果たすことがわかりました。認知症予防のための「良い睡眠」には、睡眠の「時間」と「質」の両方を確保する必要があります。特に、中高年になると加齢によって眠る力が衰えてくることもわかっています。良い睡眠を確保するために、以下のようなことに気をつけましょう。

昼間の活動量を増やす
  • ウォーキングなどの運動を一定時間する(特に、夕方に適度な運動をするのがよい)
  • 積極的に外出したり、仕事や家事でこまめに体を動かす
  • 活動量計や歩数計で活動量を測定すると、モチベーションアップにつながる
太陽の光を浴びる
  • 明るい時間に外出して太陽の光を浴びると、夜間にメラトニンの分泌が盛んになる
  • メラトニンが多く分泌されると睡眠に入りやすくなり、体内時計もリセットされる
深夜の室内照明は暗くする
  • 夜遅くに強い光を受けていると、メラトニンの分泌が減り、睡眠障害になりやすくなる
  • 間接照明やスタンド照明など、明るさを抑えたものがおすすめ
  • パソコンやテレビ、スマートフォンを寝る前に触らないのも大切
規則正しい食事
  • 体内時計のリセットに重要。特に、朝食をきちんと摂る
生活習慣病を管理する
  • 糖尿病や高血圧で睡眠が不十分になりがちなので、生活習慣病がある人は注意

これらはあくまでも一例で、睡眠に関しては個人差が大きいので、さまざまな方法を試しながら自分に合った方法を探してみましょう。

また、アルツハイマー性認知症の予防のためには、昼寝の習慣を取り入れるのも効果的とされています。適度に昼寝をすると心身がリフレッシュされ、午後からの仕事や勉強の効率が高まりますが、アルツハイマー性認知症の発症リスクも約5分の1に下げることが報告されています。さらに、アルツハイマー性認知症のリスク遺伝子を持つ人であっても、昼寝によってアルツハイマー性認知症の発症リスクを下げられると指摘されています。

ただし、どんな昼寝でも良いわけではありません。アルツハイマー性認知症のリスクを下げるための昼寝は、30分以内が効果的です。それ以上の昼寝は逆効果だとされていますので、注意しましょう。最近では会社主導で昼寝の時間を取り入れているところもあります。昼休みの休憩室など、15分〜20分の昼寝タイムを取り入れてアルツハイマー性認知症の予防を心がけてみてはいかがでしょうか。

おわりに:睡眠不足はアルツハイマー性認知症のリスクを高める

睡眠不足は、認知症の中で最も患者数が多い「アルツハイマー性認知症」の原因であるアミロイドβの蓄積を増やし、アルツハイマー性認知症の発症リスクを高めてしまいます。そこで、自分に合ったやり方で睡眠の質と十分な時間を確保しましょう。

アルツハイマー性認知症の予防には、30分以内昼寝も効果的であることがわかっています。昼休みや家事の合間に、ぜひ短い昼寝を取り入れてみましょう。

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