認知症になると、脳機能の低下によって記憶障害や道がわからなくなるなどの症状が現れるようになります。誰でも発症し得る病気ですので、予防対策があるなら知っておきたいところですよね。
今回は認知症の予防対策について、日常生活で取り入れられる習慣やトレーニング方法などの具体例と一緒に紹介していきます。
認知症って予防できるの?
認知症には、脳の変質・神経細胞の減少が原因で起こるアルツハイマー型やレビー小体型、脳血管の病気が原因で起こる血管性認知症など複数の種類があります。
このうち血管性認知症は、原因疾患である脳梗塞、そして脳梗塞の原因である動脈硬化・高血圧・糖尿病・脂質異常症を防ぐことで、ある程度防げると考えられています。
アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症の予防対策は現状では確率されていませんが、近年の研究では、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病、運動不足からくる肥満は、アルツハイマー型認知症の発症リスクが高くなることがわかってきているのです。
つまり生活習慣病を防ぐための対策を取ることで、アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症はある程度予防できることになります。
特に、本格的に認知症の初期症状が現れる前段階「軽度認知障害(MCI)」の段階で生活習慣病の予防対策を取ると、認知症の予防・発症遅延に効果的とされています。
認知症予防のためにやっておきたい対策は?
ここからは、認知症予防のために日ごろの生活に取り入れるべき習慣について「運動」「知的作業」「食生活」「コミュニケーション」の4つの項目に分けて、解説します。
認知症予防のために取り入れるべき運動習慣
適度な運動は血圧や血糖値、血中のコレステロール値を下げ、さらに全身の血行を促進させて生活習慣病発症のリスクを下げてくれます。
また、運動にあたり体の動かし方を考えたり、うまくなるために練習を工夫するなどの行為は脳を活性化させるため、脳変質を伴う認知症の予防に効果的です。
本人が気持ち良いと思う程度の負荷で、無理のない範囲で長期的に運動を続けましょう。
認知症予防のために取り入れるべき知的作業の習慣
習慣的に行っている作業に、脳を動かす知的作業を取り入れて体と脳を一緒に動かすのも、高い認知症予防効果が期待できます。
例えば、散歩で体を動かしているときに目に移ったものの名前を思い出すよう習慣づける、地図を見ながら知らない町を散歩してみる、などがこれに当たります。
運動ではなくても、頭で次の動作や全体の構図を考えながら手先を動かす楽器演奏、手芸や工芸、料理なども良いでしょう。
認知症予防のために取り入れるべき食習慣
食事は、生活習慣病や認知症の発症リスクに大きく影響を及ぼす項目です。
生活習慣病と認知症予防のために、以下のポイントに留意して食生活を見直してください。
糖分と塩分は控えめが基本と心得る
高糖分・高塩分な食生活は、生活習慣病の代表格である糖尿病・高血圧の発症リスクだけでなく、脳血管性認知症発症のリスクも増大させます。
認知症予防のためには、日々の食事の糖分・塩分は控えめにするべし!と覚えておきましょう。
いろいろな栄養素を、バランスよく摂るようにする
きちんと1日3食摂っていても、特定の食品ばかり食べていると栄養が偏り、体の不調や生活習慣病、認知症が生じる原因となります。
特に肉や魚、大豆製品や乳製品に多く含まれるタンパク質は、高齢になると不足しがちです。
ごはんなどの炭水化物や、認知症予防に良いと言われる特定の食べ物ばかり食べるのではなく、栄養バランスの良い食生活こそ重要だと覚えておいてください。
認知症予防のために取り入れるべきコミュニケーション
他者とのコミュニケーションは、脳を活性化させてくれます。
散歩や知的作業を一緒に行うなどして、近隣の方や家族と積極的に交流の機会を持ちましょう。
認知症予防トレーニング コグニサイズ®︎とは?
認知症予防のための運動としておすすめなのが、コグニサイズ®です。
コグニサイズ®は、運動と知的作業を組み合わせ、国立長寿医療研究センターが認知症予防のために開発した運動方法です。
コグニサイズ®は、英語で認知を意味する「cognition」と「exercise」を組み合わせて作った名前です。
内容としては、軽く息がはずむ程度のステップ・ダンス・ウォーキング・バイクなどの運動中に計算やしりとりなどの知的課題を課し、体と脳を同時に動かせるようにしています。
詳しい手順はパンフレットに記載されていますので、以下のリンクを見ながら、コグニサイズ®に挑戦してみましょう。
おわりに:日々の食事と生活習慣を工夫すれば、認知症はある程度予防できる
認知症には脳血管の病気が原因のものと、脳の変質や神経細胞の減少で起こるものがあります。これらの認知症を、完全に予防することは残念ながらできません。
しかし生活習慣病である高血圧・糖尿病・脂質異常症と、肥満や運動不足を防ぐ対策を取ることで、ある程度の予防は可能です。食事の内容に気を付け、散歩やコグニサイズ®など適度な運動と知的作業を日々の生活に取り入れて、全身の健康と認知症予防に努めましょう。
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