認知症には、アルツハイマー型やレビー小体型、血管性など複数の種類があります。
今回はこのうち「レビー小体型認知症」について、発症のメカニズムや代表的な症状、有効とされる治療・対応の方法などをあわせて解説していきます。
レビー小体認知症ってどんな認知症?
レビー小体型認知症は、認知症全体の20%程度を占める認知症の一種です。発症は高齢者に多く、さらに女性よりも男性が発症しやすいといわれています。1996年に診断基準が確立され、アルツハイマー型認知症と区別されるようになりました。
何らかの原因で「レビー小体」という特殊なタンパク質が脳の大脳皮質や脳幹という部分に蓄積され、少しずつ脳神経細胞が破壊されることで発症します。
症状として、他の認知症にも見られる記憶障害や見当識障害とあわせて、幻視や夢遊病のような症状、薬剤への過敏症、手足が震えるパーキンソン症状が現れるのが特徴です。なお遺伝性は確認されていませんが、若い頃にパーキンソン症候群を発症した人が、年齢を重ねてからレビー小体型認知症へ移行していくケースは確認されています。
パーキンソン症状ってどんな症状のこと?
パーキンソン症状とは、筋肉のこわばりから起こる以下のような症状を指しています。
- 何もしていなくても手や足、首などが震える振戦(しんせん)がある
- 少しずつしか歩けない、歩き始めると速くなりなかなか止まれない
- 体のバランスが取りにくくなり、転倒しやすくなる
- 表情が仮面を被っているように乏しくなり、声も書く字も小さくなる
- 動作がゆっくりになり、考えるスピードや物事への意欲も低下する
レビー小体型認知症では、上記のようなパーキンソン症状を併発することが非常に多く、代表的な症状の1つと考えられています。
どうやって治療するの?
レビー小体型認知症への治療は根治ではなく、症状を抑え、進行を遅らせるための薬物療法や運動療法がメインとなります。
薬物療法では認知障害や異常行動に有効とされるアリセプト、パーキンソン症状の緩和に効果的とされるレボドバなどの薬が使われています。また、運動療法としては、パーキンソン症状の改善に有効的な体操などが取り入れられています。まずはできるだけ早く医師に相談し、現状と今後の治療法を確認しましょう。
医療機関に相談する以外に周囲ができる対応としては、以下が挙げられます。
- パーキンソン症状で転ばないよう、家の中から滑りやすいもの、つまずきやすいものを無くす
- パーキンソン症状を少しでも緩和できるよう、日常生活の中で体を動かしてもらう
- 認知症による幻視や幻覚を否定せず、一旦受け入れて本人を安心させてあげる
認知症に、家族だけで対応するのはとても大変です。早期に発見・治療を開始すれば進行を抑えられますので、早めに医師に相談して一緒に対応してもらいましょう。
おわりに:レビー小体型認知症は、振戦やすくみ足などパーキンソン症状を伴う
認知症のうちレビー小体型認知症は、一般的な認知症症状に加え手足の震えやすくみ足、動作や反応が緩慢になるパーキンソン症状を伴います。このためレビー小体型認知症の治療では、記憶障害や認知障害と合わせ、パーキンソン症状への対処も行われます。具体的には、パーキンソン症状の緩和に効果的な薬物の投与や、運動療法の指導などが受けられます。早めに医療機関に相談し、医師から今後の対応や治療へのアドバイスをもらいましょう。
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